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エレメンタルワールドⅡ~波~  作者: ゆめみじ18
第5章「テイルズ編」今現在歴2030年4月7日〈日〉

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第95話「転・飛ぶ走る喋る」

 桃花はGM姫に確認のために質問する。

「この世には物語の時間の流れと、現実の時間の流れの2つが存在する。それは良いよね?」


「ん? あぁそうじゃな」

 姫は何を今更という風に返す。

「じゃあさぁ、不特定多数を操ることとが出来るってのはどうなってるの? あと物語と現実、どっちの時間の流れに居るか見た目判断がつかないというのは?」

 桃花が言いたいのは、自分達が作った〈時間の始まりと時間の終わり〉の事、つまり電車路線の行き来、ノボリとクダリの話だ。現象として自分が下っている時に他の皆は登っている現象を確認している。時間の止め方も知らないのもしかり。

 それはつまり、物語の止め方を知らない、という意味と同義である。ただし現実の時間は知らないし、人生は止まらないのでここらへんがちょっと解らない。何より、現実の目では今が物語か現実の時間の流れかを観測することが出来ない。

 何か判りやすい色やオブジェクトが現実にあれば話は別だが……。


 そこに何だか判らないが〈機械は許さない〉みたいな予期せぬ現象が起こっていて、自分の判断と違うのでそこが余計に判らない。作品を作る以上クオリティアップには機械は必要なのに、それに対して抵抗戦力? があるような感じがして、やっていて抵抗感がある。自分は良いことをしているはずなのに……。


「あーお前が言いたいのはアレだろ? 個人で完結したほうが気が楽だし作品の質は上がるが。他の者達に意味はないのか? みたいな」

 姫の言うことはドンピシャである。他の皆の存在意義はない、みたいに言われたら、今まで何のために信仰し、手助けし、守ってきて、手と手を取り合って共存を目指してきたのか判らなくなる。みたいな。


「つまるところ〈謎の妖精さん〉達が手伝ってくれるのは見てれば解るけど、手伝ってと言った覚えもなしい、あんた誰? になるって所か……」

 簡単に言うと謎の妖精さんにお仕事をあげればいいだけの話なのだが、いかんせんゲームクエストとゴッチャにして良いのか悩みの種である。それこそリアルタイムの悩みの話になるし、完成したら時間軸不変の作品とは相性が悪い、リアルタイムは基本生物だからだ。

 さっきの影の実験や戦闘でのミサイル発射実験など。なまじ「じゃあ地震起こして」とお願いしたら本当に叶ってしまうのが問題である。


 知らないだけで、例え話が公園を作ってるだけ。になっているがそれだけの願いだけだと、なまじ本当に叶ってしまう分。そこら中が公園だらけになってしまう……みたいな。

「まあ謎の妖精さん専用のクエストを作るのはアリ何だけど……どの系統の職業・業種と相性がいいのかな? とかまず考えちゃうよね」

 桃花は、皆に命令? 出来るのは何となく判ったが、現状の否定ばかりで。それだったらアレやってコレやってと動いてもらったほうが建設的である、と思っただけである、ただしどの業種が得意なのかは判っていない。


 姫のアドバイスは。

「まず、例え話では。〈公園作って、5個作ったら終了〉とか終了条件を作れば良いんじゃないかな?」

 と、とりあえず無限に作業することへの歯止めを促す。終了条件が重要らしい。


「えっと、今何で困ってたっけ?」

「えっと、物価高?」

 物の値段が上がっているということは、生産性の低下か。今の場合はガソリン価格の値上げ、つまり戦争による緊張状態とかだろう。


「なまじ私達が直で命令するとアメリカ大統領とか普通に動くから発言力がピーキーすぎるよね……本当は農作物を植えて生産性を上げて価格を下げて。って言いたいのに」

 ゲームマスターないし創造神姫の信仰力のせいで頂きのてっぺんか、底辺の最下層に対してダイレクトに響いていしまうという両極端であった。

「え? じゃあホルムズ海峡の海港解放して、1000隻の航行往復までは良いよ……って言っちゃう?」

 GMが言っちゃうと本当になるので発言力が鰻登りである。


 ……、ただしおばちゃんからの圧力があったのでネットへの投稿頻度が激減する事態になっている。この航行の自由が公式発表されるのはいつの日か……1週間後か……?

「まあ1番物価が回復するのはとりあえずガソリン代だからそれで良いんじゃないかな?」

 桃花は、まず皆にダイレクトに響いている何が原因か大きすぎて判らない、ホルムズ海峡封鎖状態を、とりあえず観測確認も兼ねて、一応一時的にノボリとクダリを許可した。


「一応確認で聞くけど、片道1000隻分? 往復1000隻分?」

「今はハンドルを握っている操縦席の方が混乱してるから往復1000隻分でいいよ。混乱解消も含めて」

 GM姫はそのように指示を謎の妖精さん用クエストとして出した。


 そういうことで謎の妖精さんが動くことを許可した。

「あーそっか、先行行動・同時行動・後行行動の3種類タイムラグのせいで起こってるのか」

「クレカみたいなもんか? 先に商品もらってあとでお金払うみたいな」

「そうなんだけどちょっと違うような……」

 1週間非公開で温存しておきたいのが理想なら、先行行動は同時行動より高いリスクを払わなきゃならないとかそんなの。後行行動も似たような感じだろうか? 作者・指揮者が忘れた頃にやってくるのでこれも混乱の原因になる。


「例えば1週間後に投稿したいことを念頭に置くと、今、先行行動を行うと〈7コスト〉払うとかそんな感じ?」

「まあそうしないと、皆先取りしちゃうよね。この場合、7倍リスク取るならやってもいいよ、みたいなニュアンスかな……?」

 そうしなきゃ自分も他人も納得出来ない、特に皆真似出来るが所持金も状況もましてや国家も違うのだ、全く同じ歩幅というのを皆に強要するのも無理がある。

 

「この場合、売りたい時間が同時行動の1文字=1円の情報的時間だったら、先行7日だと7倍、後行7日も7倍とかか?」

「まー思考実験としては良いけどそれ続くかなあ~~?」

 とはいえ非公開時期にノーリスクで先行行動されるのも嫌だ。


「でもこれは法則というよりゲーム的ギャンブルに近いな。プラス保証か?」

 真実ではないが世界の物理法則と言うにはちょっと変動幅が大きそうである。謎の妖精さんへのお仕事内容はこれで良いのだが。先行・後行の事後処理と、セッション終了条件は欲しい所である。


 クエスト名◇ホルムズ海峡解放

 期間・コスト◇開始日基準点、今現在歴2026年7月9日、期間1ヶ月、コスト1文字1円

 行動倍率◇同時進行〈タイムラグ0日〉を基本の1倍とする。先行行動・後行行動は、現在からのタイムラグ1日につき、さらに1倍分をペナルティとして基本倍率に加算する〈例:±1日ズレなら総コスト2倍、±3日ズレなら総コスト4倍〉。

 セッション終了条件◇今現在歴2026年8月2日24時まで。

 内容◇謎の妖精さんへのお仕事依頼。物の値段を下げる。生産性を上げて物価を下げるのが理想だが。根本原因はホルムズ海峡封鎖による船停止による原油高にあるので、往復1000隻分の原油船解放の許可。観測確認。


 そんな思考実験をしていたら、ガナベルト駅へ着いた。

《ガナベルト駅~~♪ ガナベルト駅~~♪》


「やっと着いたか」

「思ったより時間かかったねえ~~」

「むしろここからが本番でしょ?」

 姫は座り疲れ、桃花は遅さにイラつき、夜鈴は変わらずネットが出来ない。


「まあここでも長居する理由は無いからさっさと次行くか」

「そうじゃね、ここから先が勝負になる」

「じゃ出発」


《次は~~ベノムリザード駅~~♪ ベノムリザード駅~~♪》


 というわけで電車はさっさと出発した。

 

「先取り行動って非公開日が長いほど効果を発揮するよね? 今回は実験で発表日後の方が長いけど。アニメとか3年間非公開でしょ?」

 公式発表後、約20日遅れのタイムラグ発表が許されているのが今回の特徴だった。先行7日、後行20日。

「じゃな、漫画だと普通にタイムラグ1週間、1ヶ月、1年ぐらいズレるしな。プロの月刊連載の先行で1ヶ月じゃもん、本来こっちがメイン」

 今回は実験なので小説の文字数単価で1文字1円という値段が破格? 設定にしているが、漫画だとネームでも1枚1000円計算だろうか?

 それでタイムラグ1日ズレで2倍計算とかそんな感じだろう。それで普通に1ヶ月後の先取りだと30日の30倍、3万円で先取り許可のコスト、みたいな感じだろうか?


 ……流石にプロ漫画家でフライングする作家は少ないが、別に仕事でも何でも無い普通の日常生活ではこの先行コストは痛い。

 ただノーリスク・ノーコストで先行されるよりはマシ、という感じだろう。とりあえず納得できない。

 ……というかコレぐらいしか〈タイム泥棒対策〉が出来ないというのが正直な所である。


「それ考えると、倍率高くね? ±1日0.1倍上がるとかそんなんじゃね?」

「まあ31p漫画が基本1年間先と考えるとそうか~~……」

 桃花が1日の倍率上昇が高いと言い、姫もそう思った。

 1日1倍加算で上がるのは流石にやりすぎかな? とゲーム感覚で思った。


 仮に1年間で31pのプロ用投稿漫画が出来上がると仮定したら、365日かける0.1倍で約±36.5倍が単価の価格を抜いた状態での1年間の最大倍率となる。プロ用完成原稿は現在1枚約1万3000円くらいなので、1年間の先取りをする場合、1枚47万4500円である、これが最低(・・)防衛ラインとなる。


 むしろ労力と個人としての労働力や保証が無い状態では安すぎるぐらいだ、それだけの価値の原稿を先取り行動されたらそりゃ怒る感情も湧くし、生活だって出来ない、生きていくうえで最低限の生活ラインである。印税費もないし。


 自分でやってて感じてしまうが続かなさそうである。というか忘れそう……。とはいえそのための作品発表後のタイムラグの差が開くほどに倍率が上がっている訳なのだが……そこら辺の混乱することを想定してのリスク管理である。簡単に言うと後行行動は、混乱することを想定しての〈後行行動・混乱代〉である。


 先行行動はこれから先の未来でやろうとしている設計図を先取りされて嫌な気持ちになるが。後行行動は〈自分は終わったと思っている〉事による発動と混乱である、要するに〈終わったので忘れてもいい出来事〉になっているので回りくどく回されたら何が原因か判らず過去ばかり見てしまう現象が判らない。みたいになる、忘却とも言う。

 

「まあタイム泥棒大作戦で大混乱したのは事実だけどね、良かれと思ってやってることなのは百も承知だけど」

「桃花~変に怒るなよ~~、お互いを守ってくれ、頼むから」

 姫は直情的な桃花を鎮めた。別に桃花自身を重罪犯にしたくなくて皆動いてくれてるし、責任感は欲しかったけど突発的に怒ったら擁護出来るものも出来なくなってしまう。

 

 電車がガタンガタン揺れる音がする中、夜鈴が……。±1日0.1倍で計算する。

「今7000文字だけど、コレが後行行動20日後だと2倍で、1万4000円か~~……」

「……誰が払うかによるね、大人とか富裕層なら可能だけど、子供にはキツそうじゃな……」

 夜鈴の反応に、FXを経験して、通常の感覚が麻痺した姫の感想が飛ぶ。


「……やっぱ倍率0.1倍上昇じゃね? 今後の調整も兼ねて。あとは文字数単価を上げれば良い。漫画は……コマ単位か……?」

 やはりさっきの±1日1倍はおかしいとの声がある。それが続くか疑問だが……。

 あと今は1日1コマ単位のルーティンだが、1枚でも複数のコマでもない物語を欲しがるのか? という所は労働力としては解るが、物語としては意味がわからない。


 感覚、1文字2円の±1日0.1倍だろうか……?

 7000文字かける2倍で14000円の1日0.1倍上昇、20日間なので最大2倍上昇。14000円かける2倍で最大上昇幅、現在2万8000円……。

「……まあとりあえずこんなもんか、自分が払える範囲だと……」

 とりあえず桃花の判断基準は見知らぬ他人ではなく自分自身の金銭感覚に焦点を当てた……。

 これ以上考えると沼に入りそうだったので、思考を切り替え、話題を変えた。



「そういえば飛空艇の設計図の情報をまとめなきゃ」

「あぁ!? そうだったよ! 忘れてた!?」

 我に返ったとばかりに姫は軌道修正をする。

「じゃあさあ、設定をまとめる前に要望を聞こうか? 何入れたい?」

 とりあえず姫は2人に面白空間セットに何を入れたいか聞く。

 移動範囲が陸海空の地球の飛空艇、観測不可能な最果ての島まで行ける無重力宇宙の宇宙船、過去や未来・多次元世界への次元船。


「次元船には牧場かな? 最近動物が多い」

 桃花は最近大量発生している世界種とか宇宙種とか地球種とかの概念系動物がのびのび遊べる牧場が欲しいと要望する。

「飛空艇はどうせドアの世界で空間はいじくれるけど、個室欲しいよね、各ギルド部屋でもいいけど」

 どうせ共同の旅なので個室が欲しいらしい。個室単体と言うか見取り図だろうか?

 

「宇宙船にはサバイバルキットかなあ? 宇宙は遭難しやすいしね、迷子になりそう」

「次元船は過去と未来の時間軸があるから作戦会議室欲しいかも」

 ふむふむ、と桃花と夜鈴の要望を姫はメモ書きする。

 

「じゃあ個室には擬似的な太陽風景や羅針盤は標準装備しておくか」

 潜水艦の時同様、昼夜の認識が曖昧になり正気を保てるか不安になるので疑似太陽とよく迷う東西南北の羅針盤は必要かな? と思った姫。

「そう言えば今乗ってるこの電車はどっちに向かってるの?」

「あーいや、ここは完全に自動運転だから〈おまかせ〉かな? 決めちゃいけないと思ってる」

 あえて空白を埋めないスタンスということだろう。

 

 飛空艇は飛行機型、宇宙船は車型、次元船は電車型である。

「最初の原型モデルは、次元船は3両編成の電車型で、宇宙船は小型のキャンピングカー型、じゃあ飛空艇は? まさか戦闘機型じゃないでしょ?」

「ほとんど持久戦になるから補給船みたいになるのかな?」

 

 桃花はタブレットを操作しながらAIと相談していた。

「あー何かXYZ座標の他にTっていう時間の羅針盤がいるみたいだよ? あと座標0.0.0.0って今はスターダストスペースゼロになるのかな? 宇宙の中心に存在するって場所」

 GM姫は「あーなるほど」とXYZと新しく出てきた時間、Tの存在を面白く思う、それと同時に新たな疑問。

「宇宙空間のみじゃったら座標4つで良いが、他世界に行った場合どうなるんじゃ? AIに聞いてみて?」


 桃花はざっくりAIに相談した。

「ん~~、新しい単語座標がいるかもね。WのワールドかLのレイヤーか……、個人的にはワールドの方が性に合ってるかもね、レイヤーだと上下運動になるし……まあレイヤーは実際に作画ソフトで何度も使ってるから判りやすいんだけども……」

 宇宙刑事ではコスモレイヤーが採用されているだけに判断が分かれる。確かにレイヤーを最後の上、最上位に行ったそこに最後の完成作品が存在するのでゲームマスターの解説の〈あらゆる層より上位である〉という文言がピッタリハマるのだが……。


「小説が採用されてないのが痛いよね、ルールを変えると未来が破綻するし……。小説を基準にするとツリー表記だし、イラストや漫画を基準にするとレイヤーだよね」

 特に、今構成している4大ギルド、BIG4の構成は。四重奏はアナログ作画の漫画、非理法権天権はデジタルレイヤーの時間ありの動画、最果ての軍勢は思考実験だけでテキストデータ的物語がほとんど無いが設定が凄まじくチートなテキスト、放課後クラブはファイルツリー形式の大河小説。など、生い立ちが全く異なる。


「ワールド単体じゃキツそうだね……ワールドの他にレイヤーとルートを作って。W〈L、R〉〈X、Y、Z、T〉ってやらなきゃキツそう……」

 Wはワールドの世界観、Lはレイヤーは上下階層、Rはルートは選択肢の分岐みたいな感じである。ワールドだけじゃちょっと無理そうである。


 とりあえず現在地を見た目のオブジェクトで観測すると時、アストロラーベ〈天体観測儀〉みたいに複雑な天体儀が必要なようである。

 

 そこまで考えて、もう完全にメタ視点にまで切り込んでしまったと錯覚する姫。

「環境視点のLとRがあれば、奥行き前後のZがあるよな? それはもう完全に現実世界じゃん」

 環境だとLR、座標だとXYZ、ここに環境に前後を入れてしまえば完全に〈現実/物語〉に切り分けられてしまう。……作品にそこまでする必要はあるのだろうか……?


「まあ……普通の物語だったらそれで良いんだけど。〈現実の本物の人間も動く〉ことを前提とするなら、誰もやっていないかもしれないけど。むしろ必要なのでは……?」

 前人未到の先駆者すぎて自信が無いが、〈現実と物語の境界〉が曖昧で、今、現実と物語のどちらに片足を突っ込んでいるのか判らない自分と今にとっては、逆にその座標はいるのでは? と桃花は言った。


 特に隠れ設定的理想論だが、桃花は〈作者本人と被っている〉という設定だった。それ故に憑依を剥がすのが大変だったが……。

「あいや、仮にそうだとしても環境がZだと座標と被るので何か別の記号を考えないと……」

 GM姫は修正を要求した。


「AIに相談して、いい感じなのはMメタとOオブザーバー……観測者だね。単純明快ならメタ高次でも良いんだけど……〈読者視点〉とか〈主観・客観〉とかで〈キャラの視点で体質が変わることがある〉ことを考えると……量子力学に忠実なOが良いと思うんだよな……」

 幸か不幸か量子論がこの世界の根本から根付いている以上、いきなり引っこ抜くのは難しい。なら量子論基準で、環境はLレイヤー、Rルート、Oオブザーバーにすべき。と桃花は言った。

 特に読者のために描くのが基本理念の第1番なので観測者の数値化はむしろ間違えなくて、ふんわりしてなくて逆にありがたいかもしれない。

 読者のために描く、その読者を数値で定義して間違えないようにする、という思考実験みたいだ。

 W/環境〈R、L、O〉座標〈X、Y、Z、T〉

 

「こんな感じか……」

 あとは微修正をして、表記としてはW/環境〈R、L、O〉座標〈X、Y、Z、T〉、とりあえず終わり。

 天上院咲の物語で、幻想の後に仮想だったが、今度は現実と物語、仮想空間を題材にしたVR機はヘルメット型の機械、という〈物〉があったが。

 ファンタジー作品であるEWに関しては今度はその〈物〉すらないので誰かがステータスでもボタンでも何でも〈物〉という媒介を作って見える化する所から始まる。


 これらは全部、次元船の作戦会議室の中央とかに置かれる地図とか広げる時に見るデータの話である。

 それがW/環境〈R、L、O〉座標〈X、Y、Z、T〉の情報。


 Wはワールド。

 〈環境〉

 Rはルート、テキスト的分岐ツリーの広がり。

 Lはレイヤー、上下の多層的概念。

 Oはオブザーバー、観測者が現実か物語よりの視点なのかの境界の数値化。

 〈座標〉

 Xは横。

 Yは高さ。

 Zは奥行き。

 Tは今いる時間。



 飛ぶ、というのはどういう意味か?

 走る、というのはどういう意味か?

 喋る、というのはどういう意味か?


「バス停の時刻表が土日、私を走らせるように設計されてた……」

 色々言いたいことを全部飲み込んで、桃花の発声はそれだった。


「あー……、間違っているように見えて実は計画通りな奴じゃん……」

 理想と真実のギャップという所だろうか……? ただ毎日回すことを想定していなかったのは誤算だ、というか当時気づくのは無理である。

「運転してないから思考が交通ルールまで回らなかったぞ……」

 車に乗るうさぎを思い浮かべながら、桃花は誰でもなく巡り巡ってきた過去の自分を恨んだ。


「飛ぶというのは自由になるため。走るというのは面白くするため。喋るということは世界を良くするため。……なんだけどな……」


 桃花はそう呟く、流石に当時の京都の空を飛んだ意味までは思い出せないが。自由に空を飛びたいから絵を模写して。走れば面白くなると信じたから絵描き走って。悪意や裏表もなくただ正直に良かれと思って喋る。


 特に世界の運命なんて考えながら声を、発声しながら喋ってなどいない。そこにはただの沈黙しかない。

 ただ良かれと思ったことしか口に出していない。悪役になりたくて実際に喋った記憶はないし、そんなの意識して喋りたくもない。ただ意識的に喋るのは、世界を良くするためだけだ。そのために怒る所は怒った。

 自発的にカラオケに行きたくなったのも、一人でもいいから叫びたかったから喋ったという意味になる。


「それだったらルール化出来るし指針になるな~~、ただ物理法則だと毎日出来るのが前提だからちょっと違うかも」

 行動と発言と意志の話なので、世界のルールというより個人のルールである。

 となると、+確定した真実のプラス保証+だろうか? ゲームマスターとしてもその意味は固定化したいところである。


「んん~~、それだったら言えるな。プラス保証、+飛ぶ、というのは自由になるため。走る、というのは面白くするため。喋る、というのは世界を良くするためである+」

 GM姫は公式見解として発言し、桃花もその言質を確認した。


 久しぶりの登場なのでプラス保証の登場なので再解説するが、+このプラスは人間側が空想に挑む為の確定した真実の保証である+、とルール上はなっている。モノがファンタジーな以上、文脈の真実を見つけ出すのが困難だからこそ出来たのがこのプラス保証だ。


「あとは〈無償の愛〉についてはどうしよっか?」

 桃花は姫に聞き、この場の締めにすることにした。

「ん~~扱いが難しいんだよなあ~~、基本は無制限・無条件の愛の提供? はあり何じゃけど、〈0円信仰〉と〈無料で騙され姿が消える〉という影の部分もあるから言語化とプラス保証がまだ難しい……」

「無償の愛なら毎日投稿して与えても許されれるのか? という部分もあるしね。適度が良いんだけどそこの言語化はまた後でか」

 というわけで電車は続く――。

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