第92話「結・電車に揺られて」
今現在歴2026年6月22日。
ここに居るのは、ゲームマスター天上院姫と地球種合唱という、運営陣と厄介な鳥しか居なかった。
地球種合唱の1週間の予備テストのようなものは終わった。観測できた内容としてはゲームの新作発表とか大規模地震とか、最後のトドメにキンハの予告トレーラが出て世界が歓喜に湧いたり株価が乱高下したことだろうか。一応その事をGM姫は観測する。
感じとしては楽器の予備動作と言うか、どんな音が出てドコまでの範囲でどの程度響くのか? と言った所だろう。だからこそ一番低い難易度で、一番短い期間で達成可能なように音を鳴らした。
この阿呆鳥の性質と規模間は何となく掴めた姫……とはいえこれは〈試し書き〉とか〈弾き鳴らし〉という範疇なのも自覚している。
「……よし、大体わかった。じゃ次が本番じゃ。今度は本格企画が発動した時の訓練をする。いわゆる祭りの肩慣らしだ!」
「あほー!」
姫としても、今後も元の光が自分とは言え。同じ事象を何年も繰り返してきた身としても。ここは慣れておく必要がある。
「今度は1日1写真、何撮っても良い状況下で。2ヶ月響かせる、大反響だ。ただし土日は必ず休みを入れる。この1日1ボタンを押す、を繰り返せなかったら自分で企画を出すことも。他人の企画に参加しても、結局共倒れになることになる」
「あほー!」
もはや自分に言い聞かせているようだった。題材としては5日間は1日1写真を撮って〈ちゃんと皆働いて〉土日は〈ちゃんと皆休む〉の繰り返し。それが8回連続という構成だ。もちろんスケジュール系の話でこれはリアルタイムの不可逆性のある内容である。
普段はそんな事しない可逆性で遊んでいるのだが、場外乱闘系の最終確認のようなものである。
ただし企画の時のいわゆる〈祭り状態〉を経験した感じ。2週間で第1章構成だったのでそこに合わせる。つまり全4章構成だ。
自分のメインのお仕事。小説執筆、漫画描き、予約投稿、私生活、体調管理をしながら8周間祭りに耐えられる体になるのか? または合唱が響いていると自覚できている状況下でちゃんと観測し、その場の状況を理解出来るか? そこが問題だった。
ただ混乱するだけでは意味がない。ちゃんとトマトを食べて説明&混乱解除までがセットの作業。みたいな感じである。
この必要最低限の動作をちゃんと続けられるかで。今後自分が企画を出すのか、企画に参加する時の自信があるのかが決まるし。
個人的原稿作業の時に「ああ、外ではこういう現象が起こるのね」と予測可能になり慌てずにすむ。
自覚無しの初見で混乱するな、が無理だったのだ。
なので皆に課せられたこの企画のゴールは〈GM姫が自覚ありで初見で混乱せず、このイベントを成功に導けるか?〉が今回のメインイベントとなる。
なのでイベント風に言うなら、混乱、恐怖、鬱、作業の邪魔や致命的な心身・体調不良、友達や身内仲間の不幸はマイナスポイントとなる。
それがこの限られた2ヶ月で必要最小限で留められるかどうか? が皆のイベントとしての主目的となる。
大反響をしても良い範囲、つまり皆がアクションをしても良い範囲は、おおよそ〈マスターデータ1~4ディスク〉の範囲内だと思われる。
「一応考えたけど。基本はコンビニだけ連続で撮りそうな気がするが何を撮っても良いという目的でやる。1日ずつ決めるのめんどい」
「あほー!」
地球種合唱は元気だ。
「……まあ色々言ったが、ちゃんと合唱を2ヶ月自覚ありで観測出来たら大抵のことは何とかなると思うし、最終実験成功と思ってくれてもいいよ?」
GM姫はこのように注意をし、一応、今現在歴2026年6月22日から8月14日までを、祭りの疑似体験実験場として許可した。
「あほー!!!!」
地球種合唱は「わかったー!」と今回も〈許可されている〉ことを自覚しつつ、深呼吸をして風を、空気を響かせた。
「……ちょっとストップ」
……とここで姫は一旦冷静になり「これじゃ皆の企画に合わせているだけだ」と考えを改めた。
そもそも〈何でこの企画は2ヶ月なのか? の元ネタを判っていない〉
今現在歴2030年4月15日〈月〉アライズ駅行きの電車の中。
「どうせ2ヶ月の元ネタは高校2年生の夏休み期間の2ヶ月でしょ?」
と桃花が一刀両断。
姫も2ヶ月という心当たりがやはり夏休みしか無いので、そこに行き着く。過去の夏休みにプレッシャーを持っていかれてるという構図は、過去しか見ていないのでやはりナンセンスである。
「ん~~、じゃあこの〈2ヶ月イベント〉は〈旅のリサイクルショップ〉行きじゃな、わしらがやっても意味ない」
というわけで、もう一度1周間写真をやるのならまだしも、2ヶ月写真をやるメリットが皆無なので……むしろデメリットしか無い。このネタはボツにしてサブイベント行きとなった。
こういう時、信条戦空や黒煌颯護に相談したほうが良いのだが、いかんせんカッコつけたり頭が成熟していなかったりで、一番理解してまともに話が出来るのが年長者の桃花になってしまうだけだ。
で、今発生している桃花の悩みの種は……桃花のおばちゃんの件だ、桃花のお父さんが亡くなってからというもの、お父さんの姉が豹変している……。
「おばちゃんの望みは漫画を描いて欲しい、で一貫してる。ならどうしたら漫画を優先する環境作りに出来るかは私達の仕事じゃないか?」
桃花のおばちゃんをどうしたら止められるか? ないし落ち着かせるかの内容にどうしても思考が絡め取られる。こういう話は邪道で作品をつまらなくするし、誰も幸せにならないのだが。避けては通れない動機だった。
むしろ止まらないんじゃないか? という疑念が頭の中で渦巻く。一番良いのは思考と意識を向けないこと。
第一、これは心の奥底の感情を沸き立たせるものではなく、外的プレッシャーにより漫画を描かせるという負の側面がある。
強制的脅迫概念では漫画は面白くはならない、せいぜい〈おばちゃん死ね!〉とかプロ用原稿用紙に描いて終わりだ。そんな事誰も望んじゃいない。叶えても欲しくない。ただ本能を制御出来ないで何処かでプッツン切れたら終わりというだけだ。
桃花としても発言と行動と態度が全然一致していないのだが、念じれば伝わる、というのがナマジ判っているので微妙に歯車が合わないし、ずっとギクシャクしている。何なら一方的にプレッシャーを感じているし、与えられ続けている。
「おそらく、おばちゃんは漫画を描かせたいんだろうけど。小説は漫画の下書きの部分が多分に含まれてるから……冒険の先読み的な意味で。切っても切り離せない。ん~~、だから更新頻度の問題じゃないかな?」
桃花はそのように論ず、1日1枚絵を完成させる、はイラストだが。漫画はもうちょっと入念な計画書が必要になる。
なので1日1話2000文字の〈本編〉をWEB小説サイトに投稿することがナンセンスだと思われているのかもしれない。
まだ描いていないが、2日で4000文字とか、3日で6000文字とか、そのような〈寝かせる〉期間は小説でも必要である。
そもそも小説版の1日2000文字~3000文字の〈毎日投稿思想の原型〉は〈盾の勇者〉という小説であり、あれは漫画を元に小説を書いているだけなので、小説を元に小説を書いている訳では無いので論点がズレている。
「まあ一番手っ取り早いのが、もう小説サイトを見ない、で良いんじゃないかな? もしくはネットサーフィンの経路を漫画サイトに移す習慣化をするとか……企画サイトだって、企画がぱったりと停まったら見るの辞めたろ?」
今までの感覚からして、動画サイトを見ていたら動画を、小説サイトを見ていたら小説を書きたくなってしまう性分である。
で、あるならば。PCで付けるネットサーフィンの経路に漫画サイトを組み込めば、自然と漫画を描きたくなる流れになるはずだ。
もっとも、個人的にインディーズ漫画を読む傾向があるので、ここはプロの漫画を読んだほうが良いので。プロだけど売れてない読み放題漫画サイトが正常に機能するのかは怪しいが……。
まあ流石に今までの習慣をいきなり変えるのは不可能だし、妄想を膨らませるのが楽しいので、急には変わらないとは思うが……。要するに慣れだろう。
「あとはもう一つ、優先順位が小説>漫画になってる」
これは作業環境の問題で、作業机の眼の前にPC画面とキーボードがあるのが問題だ。
PCは情報収集や音楽・画像資料など多角的に使うので。この場合、手に持っているキーボードを、鉛筆とノートに変えればいい。
熟練しすぎて、無意識にキーボードに打鍵ことが出来てしまっている。つまり意識し直せば良い。
B4原稿用紙を常に開くのは作業スペーズ環境上、ちょっと難易度高いが、ノートならいけるはずだ。
「つまり、もう一度絵を描く準備をするには……?」
「ノートでネタを貯めたほうが良いかもしれない。それが一番簡単。寿命もPCやDVDと違って5年間じゃない、基本死ぬまで残る」
この場合、漢字が描けない問題があるが……そこは電子辞書を持っているのでイケるだろう。
「OK、じゃあそっちで行こう」
確かに非効率ではあるが、長期的保存の観点で見れば。5年間より100年間の方が分があるだろうという結論に至った。
罠、という表現が現代の隠語? の用だがメインサーバーからすれば古巣に戻る、とんぼ返りするようなものであり、かなり気軽である。
つまり昔のノートを簡単に手元のタンス? とかに置き、手軽に戻り、読み返せば罠か古巣が鏡写しに発動する、というだけである。昔のノートを手軽に戻れるようにする環境設備。そこも課題の1つ。
「まあ、ノートをネタ主戦場とするなら。〈検索が大変〉問題が発生するがな」
GM姫はPCの利点である検索を述べる、そこはまぁ今後考えていくしかないだろう。
3人は電車に揺られている……。そこで本題に入る。
「さて、各駅停車の駅数はどれぐらいなの?」
桃花が聞く。
「えっとー、メインが8件、EXが4件かな? で、前回は2件まで経験済みで3件目でリタイア」
合計12駅分という事だろうか? 普通のゲームだと1ヶ月と予想していたが、最近のゲームは2ヶ月を普通に超えてくるので、やはり2ヶ月間は見ておいたほうが良いだろう。
でも、本当に2ヶ月間をこのEWで消費するかどうかはGM姫の気分次第である。メインで1週間、EXで1週間とか普通にあり得る。
そもそも自分で動いてないから本当に2ヶ月間消費するのかはかなり怪しい。
あとこのテイルズ編は、今までのディスティニー問題の精算と、今後の基礎作りの基盤としての意味合いも大きく。参考資料として大いにノートに書くだろう。もちろん応用も、なので長居する可能性が高い。なので先が見えない予報としても、2ヶ月強ぐらいリアルタイムで消費すると思ったほうが良いだろう。少なくとも1ヶ月じゃ終わらない。
《ビエゾ駅到着~~ビエゾ駅到着~~♪》
第1駅に着いた。
「時間は、現実4日間かかってプレイ時間は4時間か」
単純計算で1日1時間プレイしている状態で1つの駅に着いている。
「まあ最初2駅は経験済みだかし、その後はルートも不明だし選択肢も増えると思うよ」
急ぎたいのは判っているが、解らないものは解らない。
ここでウダウダやっても良いのだが知ってる駅で何やっても時間のロスにしかならない。
「さっさと次へ行こう」
「そうだね」
桃花とリミッツはそう言った。
《次は~~ガナベルト駅~~ガナベルト駅~~♪ 発車しま~~す♪》
そう言って再出発した。




