第66話「承・出動」★×5
《最果ての軍勢、バイタル、ラフティーヌ、チェン、バレッサ、バハムートのアカウントカード再発行が完了しました》
天上院姫が先に治安維持の為に他のプレイヤーより優先して強化、賢術、光闇、精神、未覚の最強能力者達の治安維持活動をドアの世界を経由して移動することを認めた。
姫とこの5人がまともに話をするのは、これが始めてかもしれない。
「一応今の混乱の秩序維持の為の先制活動だけは許可する、間違っても事態を悪化させるなよ、お前ら5人が出るんだ。何か世界規模で起こってもEWでは〈想定の範囲内〉として処理するからな」
なまじ能力が強すぎて、そのエネルギーソースもほぼ無制限に設定されているこの五人が動くと、簡単に表現しても凄いことが起こるので念には念を入れておく。
ちなみに〈エネルギーソースが無制限〉に設定されているのも、最強無敵の能力者集団を作るのが目的であり、制限をかけたら逆に世界観に合わないという、上限破り・掟破りな超能力のせいだ。そしてそれが彼等の出身地、最果ての島では普通に設定されている。想像の限界を超えての能力発動が目的に作られた出身地なので、作品としても世界観としても制限を賭けると不自然に、無制限に超能力を使うのが自然、という超異常な世界観のためだ。
もちろん、その凶器とも言える能力故に、責任や秩序維持の為の、いわゆる〈大いなる力には大いなる責任が伴う〉にも例外なく当てはめられる。
まず、アメリカ代表バイタルが聞く。
「GM姫、今の所どのドアの世界だろうと上限4名まで出入り可能、というルールだな」
「そうだ」
イギリス代表ラフティーヌも聞く。
「何が起こってもそちらは干渉しませんか?」
「認知したら動揺はするかもしれないし、やり過ぎたらゲーム進行に影響が出る可能性は否定できない」
中国代表チェンは日本に手を出して良いのか微妙なラインなのでそこの確認。
「どこまで日本に攻め込んで良い? お前結構日本の政策のズボラさに恨みにも似た感情がありそうだが……」
「一般人には手出しするな。公務員とか行政には手出しして良い。良いものはいい、悪いものは悪いという光と闇、同時に攻め込んで貰って構わない。……外道や賊は好きにしろ」
エジプト代表バレッサはやはり精神面を聞く。
「中東がきな臭いが、どの程度干渉して良い?」
「ん~、まあ仲介役で良いよ。揉めてたら止めに入って交渉してあげて」
ロシア代表バハムートは知らないことを聞く。
「今の所知らないところイコール紅世って認識でゲーム進行してるが今はどうなんだ?」
「んん~小難しくて微妙だなあ~。今の所全てを知っていようが、全てを知らなかろうが、ここが世界の中心で、焦る必要は無いかな。って感じてる……ちょっと時間進行というか速度差は調整中じゃな」
で、総指揮官の真城和季は司令を出す。
「今の所、どのドアに入っても良い。射程範囲は最古来歴、今現在歴、最未来歴の地球。その地域ならどのドアに出入りしても自由。ただし出入りは1アカウント4人までだ。アカウントの発行がされていない人物は合計3名まで好きに連れて行ける。……軍艦は移動出来ない、現在人並みの大きさだけだ。あとは思うように、好きなように、やりたいように、自分の意思に従ってその力を執行しろ」
『了解!!』
あとはGM姫からアカウントカードを貰った最果ての軍勢5人は己の使命を全うするために。ドアの世界中央広場。第0000番号室〈中央広場コネクトハブ〉から別れて進軍した。
GM姫は場外乱闘はしたくないし、ゲームをしたいので、真城和季にめんどうそうだな、と話しかける。
「大変だな」
「まあそういう責任があるしな、冗談じゃすまない」
と、この世の理を正す為に、軍勢が動く。いつも通り、何をするべきかは〈己で感じて決めろ〉という風に。
そんな中、GM姫は過去の棋譜を読む。それでいてようやく解釈が解ってきた。
「桃花、第三者とイコールで読者視点になってる……」
「ふむ、2人とも湘南桜か……あるいは霊夢か……」
そこまで考えるが、重要なのはそこじゃ無い。何故、敵の大将と味方の大将は湘南桜を選んで第三者、読者視点になろうとしたか? だ。
「たぶんだけど、この桜ルートを行けば、幻想郷を出られる、一緒に共に歩いて行けるルートとして選んだんじゃ無いかな?」
最終的に湘南桃花と湘南桜は幻想郷から現実世界へと帰還する。これまでの〈存在に成り代わる〉というルールを辿ればいけると思ったのだろう。確かにそれは自分で決めてないし、ついでにとても重要な事を言うが書いていない、か、忘れたし重要だと思っていなかったから残してもいない。読者視点が大事なのは解るが、そのデータはメインコントロールルームからは無くなっている。つまり外界によるセルフイメージによるバックアップしか無い。そこを怒る理由はないが絵以上に〈汲み取りすぎている〉というのは小説や文章の悪いクセだろう。
当時の作者の文章量が極端に少ないのは解るが〈世界が見てるのでもっと文章量をくれ〉というのは、……なんというかそれこそ釈然としない。
で、そこまで思考を巡らせて今に目を向ける桃花。
「そもそも、ソラ達って黒い箱の話題を出してたっけ……?」
「……そういえば出してないな。ソラ達は〈鍵が導く心のままに〉しか出てきてない」
つまりそこだけを見れば〈闇の勢力が喜ぶのが黒い箱〉という文脈になるのだろう。
「あーそこまで汲み取ってるってことは吸血鬼大戦って……」
「じゃな、相当過去なんだと思う」
とはいえ、過去の棋譜を見る限り、過去の情報を見る限りアレが最善だったのは間違いない。
と、色々あたりを見渡して、最後に中国代表チェンにGM姫が命令する。
「あーチェン、言い回しが姑息だったかもしれないからもう一度誰にでも解りやすく言うぞ」
「あー、わかった」
「手段は問わん! 財源というエネルギーソースを無制限に使って良いから日本の国会の文章原稿の質を限界まで上げろ! 時間は無制限だ!!」
桃花先生は「うわ~、姫ちゃん相当怒ってる~~……」と、あの原稿の質量でお金を税金で巻き上げて安定・安心に生活している上に責任はギアチェンジで切り替える今の行政が許せなかった。特に上層部。
「……了解した、中国の総力と誇りを賭けて、叩き潰す!!!!」
そう言って中国代表チェンは、ドアの向こう側へと進んで行った。




