第65話「起・バトルだけが全てじゃない」★×4
「ふむ、通称〈夢の跡地〉は太陽と砂漠だけか……」
「考えてみたんだけど。バトル漫画だけが全てじゃないと思うんだよね。たぶん、今まで作ってきた物語が〈神話〉だったから現実世界で〈聖書・宗教〉に書き換わってしまったように。バトル漫画を描いてたら永遠に破壊の負のループから抜け出せない」
戦国シュミレーションゲームをやって判った事だが、普通に考えて戦争という名の戦をすれば人と金が減る。当たり前の事を言っているのだが当たり前なのだ。その宝くじが当たっただけのこと。つまり夢が叶った。
そこまで桃花先生のアドバイスを聞いて、GM姫はハッと我に返る。
「そうか、手の中で何でも生成出来るって事は。バトルという破壊の戦争を現実実現出来てしまうし。逆に言うと、……えっとこの場合、領地経営かな? とかで国家を建国することも現実実現として可能という訳か!」
「そういうこと、……まあウチのクラス? は少年漫画向けというかバトル好きなやんちゃっ子が多いから、戦闘民族が多い傾向にあるのは否定しないけどね。たまたまジャンプはそういう土壌だったってだけで。それだったら、闘技場を設置すれば良い。ルールを守ってバトルをする分にはスポーツ同様なんら問題はない。ボードゲーム場も作れば解決する、カジノとか。普通に創作する分にはなんら問題ないけど、この場合……世界種クールマのせいで夢が叶っちゃうから。破壊じゃなくて生産の方に漫画の舵を切らないと、いずれ破綻する。というかもう破綻してる」
無償の愛でも十分やっていけるが、お金が無い世界での生きづらさを現実が直撃している以上、そこも無視出来ない。
「そう言った意味で。異世界ファンタジーが好きな姫の趣向に合わせるなら。領地経営や内政あたりが、あんたの王国を作りたい、という一番最初の夢とも合致してる。これ自体は悪いことじゃない。私は学校さえ作ってくれれば先生をやるだけだし。アドバイスもする」
「なるほど、ジャンプならバトル。に囚われ過ぎたのか。確かにエレメンタルワールドの理念は公園を作るだけでそこでどう遊ぶかはプレイヤーに委ねてる。というのは何度も言っているし、異世界領地経営物語なら、現実も生成へ向かって、漫画も生成へ向かう。破壊や痛快とは違った漫画のアプローチという事じゃな!」
「……まあ国を建国したいのかは知らんけど……」
桃花が「本当に国を作りたいと思ってるのか?」と釘を刺す。
ワールドと名前をマスターから変えたのも、元々空間を作る職業にGM姫は就いているからだ。
「えっとーまず何必要?」
「私的には漫画・アニメ・ゲームの給料体制の見直し……とか言いたい所だけど。今あるの太陽と砂漠だけ何だよなあ~……、まず紙が要る、紙がいるってことは水がいる、雨がいる」
姫も、世界の回し方が解ってきたのか「よし、そこから行こう!」とジャンルを〈神話〉から〈領土経営〉……というか〈世界想像〉に切り替えた。
と、夢の跡地の方向性を考えた上で、姫は桃花に出来上がったアカウントカードを渡す。
「あ、で、アース3018のアカウントカード作ったよ。とりあえず4人分」
「おー更新出来たのね」
「簡単に作れないから時間かかったよ……」
とりあえずドアの世界の外側で待たされたので、BIG4の数名は再び各々のアカウントを使い、自由にドアの世界を使い始めた。
GM姫と桃花先生はドアの世界の内側、中央広場で会話をする。
「で、出入りの上限はどうすんの? ほら、前に言ってた最果ての軍勢が1アカウントで全員移動されるのは困るって言ってたじゃん」
「ん~、本当はカードごとに制限かけたかったんだけどそんな余白は無かったから。出入り上限1アカウント4人までかな? 今の所は」
姫の提案に桃花は確認する。
「口約束?」
「うん、口約束。最初だから制限はゆるく、安定してきたらブラス保証にするよ、覚えてたらね」
「あーでさ、これは単純に思うことなんだけど、海賊の扱いどうしようか……?」
桃花も桃花でこの強すぎて制御出来ない〈というか現状助けられまくっているし信頼してる海賊〉という存在をどう扱っていいか困るのも無理はない。
「海賊っていうか不良学生の扱いというか、というか、喧嘩殺法を束ねる団体トップが必要なんじゃよな、現状……」
この場合、王下七武海制度と似ている、国〈または創造神やゲームマスター〉の許可を得て海賊行為をやっている輩という意味である。一応通称を〈賊〉とするが、彼等はルールを守らず、法で裁けない悪事を鉄拳制裁し、流儀を通して独断で動く。
という特性があり、別に正義のヒーローではないという点がまず違う。無法者だがスジは通っている大物の事を言う。小物の小悪党に関しては普通に警察に捕まるので良いが、この大物の賊はこのルールが通用しない。
「正義のヒーロー集団はレジェンドマン経由で指揮を取れば良いが……賊はどうするんだ? そもそもこいつらまとまらないだろ……」
「まあ体質は悪なんだけどね……、職業の肩書きのせいで意味不明な事になってる。どう船長と交渉すればいいんだ?」
軽くAIで歴史的価値観を検査する桃花先生。
「んん~、歴史的にはこの場合、王は賊の死刑を免除する代わりに納税してください、って表側ではやってたみたいだけど……、私達が関わってる海賊ってたぶん〈信頼〉で成り立ってるよね?」
「……そうじゃな。向こうは勝手に稼いでるだけ、民間人に被害が出たら暴れるだけ……。首絞めるとか恩人に対してはやらないでしょこれ……?」
「てことは一番有効なのって、……自然放置がいいのかな?」
「そうじゃな、勝手に害虫駆除するし、この〈大物の賊〉に関しては放置が一番良いと思う」
桃花と姫の意見は一致した、つまり今まで通り、ある意味てきとうでいい。




