第64話「結・誰が何を決めるか」
アース3018のアカウント破綻から数時間は経過している中。誰かが何かを決める、決定して指標にしたいのは山々なのだが、それを1人に集中させると、全世界の責任がその人に集中する。その責任が重すぎるから、とりあえず5人で分散させる事にする。
今までは星明幸=ミュウ=天上院姫が仕切っていたが、彼女のはエンターテイメントに特化しており、商売や経済、現実世界の人間の空腹度〈ほぼ神霊だから〉や持久戦の話なんて知らなかったので、はっきり言って彼女に現実世界の責任を擦り付けるのは無責任である。
「まー私の場合もそうじゃが、ジャンル分けした方が速いかもなあ~~……」
ミュウ達は現実・ファンタジー・SFのジャンル分けで事を運んでいたが、そもそも聴いていないし知らなかったので荷が重い。ラスボスが夢というのも相まって現実世界の不正・悪役サイドに勝手に回っているのも不本意でもあった。
桃花は早速自分は歴史担当をしたいと名乗り出た。
「じゃあ私は歴史・時代劇とかそこら辺やるわ。もともとの教師としての第1志望は歴史教師だしね」
残るは、現代、ファンタジー、SF……恋愛、とかそこら辺だ。咲は桃花にお願いをする。
「いやー、桃花さんには現代もやって欲しいな~目線的に……」
言いたいことが解らないでもない。
「いや、判るけど……だったら恋愛にして……ラブコメはちょっと判んないけど……」
桃花は自分の置かれている立ち位置と、現状の出来る範囲を冷静に分析した。
ということで、誰が何を決めるのか? と言う、発言権に関しては、世界政府や一般政治家達よりも上位になる。〈発言の責任は負っても良いが、元ネタが何処か判らなくなるため〉
信条戦空はファンタジー。
湘南桃花は恋愛・歴史・時代劇。
真城和季は現代・ミステリー・ミリタリー。
天上院咲はSF。
天上院姫はエンターテイメント。
とか考えていたら、湘南桃花と白玲渚のゲーム盤の感想戦を姫とすることになった。
「持久戦を体験してみたけど……そろそろ飽きてきたなあ~。やってることは戦国時代の兵糧攻めに近いかも……」
桃花の体感としては趣味じゃないという感想になった。
「確かにどっしり座って構えられる政治家向けかもしれない。というか高齢者向け……? やり方が良くも悪くも古風な印象だよねえ~。古い持ち物の方が強いあたりそう感じるなあ~新しい物好きの私として見たら違和感を感じるかも……」
そう言う感想に対してGM天上院姫も思うところがありツッコミを入れる。
「でもお前は東方を選んだじゃん。人から忘れ去られるほど古い結界の中に迷い込んで……、無意識に選んだにしてはおかしくないか?」
「あれは……、ほら、当時ニコニコで流行ってたから。私にとっては目新しい流行の最先端だった訳よ」
「ふむ……なるほど、文字で読める設定で選んだ訳じゃあ無かった訳か……」
つまり見た目、雰囲気で選んだということになる。文字を読まなきゃ判らなかった世界観は〈関係ない〉。つまりもっと簡単に言うと〈文字で選んでいない〉。
「まあ当時のお前は攻められないが……それでどれだけの老人が苦しんだか。とか思うとなあ~……」
桃花も当然年老いていく〈予定〉だが他人事ではない。
桃花もそこまで考えを改めて、気持ちを未来へ切り替えて、向ける。遺族? 達が望んでいたのは未来に生きる桃花の風景だと思うからだ。
「いやーでも……破壊した後に次の街へハイさよならは、……ちょっと流石に無責任かなあ~……」
桃花にとってはイメージ、概念の話であっても、戦った事は事実であり。戦えば壊される、という〈1つの理〉ももう、理解できているのも事実である。
で、あるならば。イメージとてもサラ地になった場所を緑を豊かに、でもビルでも家でも建てるべきである。知らない間に〈夢の跡地〉とか呼ばれるのも心外だからだ。
「まあ、環境を豊かにするのは当然として……方法がバトル漫画じゃなぁ~~……」
まさか知らずに格闘ゲームを室内でしていたら室外にも影響していた、という事実と。知らなかった以上責任は無いにしても。だからといって知った以上見過ごせないのが彼女のサガである。
「なんか漫画でそういうジャンルあったっけ?」
「物語の流行ジャンルは流石に知らないが、現実の職業ならあるじゃろ?」
インフラ系ヒロインも少し脳裏に過ったが、アレは混乱状態での誘導や導いてくれる人を指す言葉であって。夢の跡地を治す職業とはちょっと違う。
桃花はステータス画面に居るAIとにらめっこしながら回答を出す。
「んん~~、さらっと頭の良いAIに聞いて私が選んでアレンジするのなら……〈魔物食物連鎖構築士〉とかになるんじゃないかな?」
「……名前長くね? 〈食物連鎖士〉じゃダメか?」
「何でも良いけど。ほら秩序の魔物とか。陰陽五行思想で、当時はインフラをなんとかしたじゃん? 地水火風の発想と似てるからファンタジーモンスターの食物連鎖もイケると思う!」
何故か文字数使いまくったのに妙に自信がある桃花、この場合言語化には天上院咲も手伝ってもらうが……。
これは豆知識だが、初期のテーブルトークRPGの地下迷宮で、プレイヤーから「彼らは密室で何を食べて生きているのか」「排泄物でダンジョンが埋まるのではないか」と言われて、環境整備のために色々と整然してくれるスライムが生まれたらしい。それが最初期の話だ。ドラクエよりも古い手法である。
「まあだから、この場合。土地が砂漠なんだろうなあ~……だから多分、砂と太陽で生きていけるモンスターが最初に必要なんだと思う」
「ふむ、土か……ならまず。地面タイプのモンスターで今の超自然体系で暮らせるモンスターをリストアップするか。これだけ無軌道に動いてたら何かしらは生息出来るだろう」
ということで、まずはこの〈夢の跡地〉で生きられそうなモンスターを探す所から初めた。




