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エレメンタルワールドⅡ~波~  作者: 双矢光風∞a
第7章「変わらない世界の冒険」

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110/111

第110話「承・0は無く1は有る」

 記録知らずの24番神社。

 今現在歴2030年5月1日、見事なまでに長居してしまった。それこそ忘れてしまいほどにさっぱりと長居していた。


 機械神アーカーシャは、次の冒険のオススメの場所を指し示してくれた。

「結論から申し上げますと、湘南桃花様や非理法権天、または天上院咲様の放課後クラブの皆様には〈変わらない世界の冒険〉をオススメします」


 特に、天上院咲は子供の頃からデジタルに慣れ親しんでいたので、可変式のスマホやテレビが当たり前だったし、むしろ当然だと思っていた節がある。ある種の一般常識と言うべきか。そこら辺の〈変わらない世界での社会勉強〉である。

「ふーん、オススメは?」

 咲はやっと面白くなってきちゃのでひょこりと顔を出してきた。


 アーカーシャは〈0は無く、1は有る〉と理解したので、その方向で道を指し示す。

「咲様はゲーム好きですのでまず将棋から入るのがよろしいかと思います。古ければ古いゲームほど良いです。ミュウ様と同じ、神道の道を共に歩むと決心しているのでしたら、仏教やキリスト教の宗派の1つや2つ、覚えておいて損は無いでしょう。仏教のお経もとても古い文字、ですので咲様の得意な文法系と同じです。デジタルで打っていると言うだけで……」


 桃花もそこら辺思い当たるフシがあるようで、簡単に言えば〈新しい物の限界〉を感じている風であった。昔あった「手塚治虫を超える!」とか言っておきながら手塚治虫の漫画を読んでいないで吠える。みたいなのと同じ事である。実際にその偉大さを読んで感じたほうが良い。火の鳥の時のように。


「んん~~お姉ちゃんのせいなのか……宗教勧誘に見えてオカルトっぽいけど……まあギリシャ神話とかを勉強する分にはアリか……あれも物語でしょ?」

 正直全くそこら辺を解っていない咲。変わらない世界とはつまり、天文学や占いや、約56年ぐらいしか経ってないパソコンの歴史よりも遥かに長い歴史を持つ。〈変わらない技術〉と思えば良い。


「将棋のルールのように、バージョンアップしないのがいかに強いか感じると良いでしょう。信条戦空さんの件は確かに不幸でしたが、だからこそ18番が繋いだ絆もあると想います」

 機械神アーカーシャが言う。

 過去があって今がある、戦空の体調も気がかりだが〈本人は風みたいに感情移入していないが〉ブロードが変わらなかったから特異点としての今が有るわけで。

 〈変わり続ける物語〉を歩んできた今になって思えば、初心に帰って〈変わらない世界〉の勉学を深めるのもアリだと咲は思った。


「姉ちゃんもその方向性でいいの?」

 姫も、未来に生きたいのは山々だが。大きな喪失を経験してしまった以上。より長く残ることを意識したり。〈変わらずに現代まで残り続けている技術〉というのは確かに関心があった。2000年問題があったとしてもおよそ約26年間ぐらいで残したいのに無くなってしまうのなら、確かに長期保存的な意味での実力不足を感じずにはいられなかった。


 5年、10年、100年、1000年、先人たちが残そうとしていった工夫。その軌跡を辿る旅なら、確かに有意義かもしれなかった。

「……まー未来の予定はいっぱい組んじゃったし……ここらへんで過去の歴史を学ぶのもいいじゃろうて」

 今欲しいのは変わらな技術である。

「まーそんな気負いせず、長く読まれている本はどんな物なんだろう? 程度でいんじゃないか?」

 古い物、昔の物、というより今必要なのは〈変わらない物〉の話だ、そこに意識を向けても別にバチは当たらないだろう。


 それはそれとして……量子論、ないしポケットの話をする。

「えっと……これ結局機械だからアーカーシャに聞けばいいのかな?」

 桃花は今も対戦相手である白玲渚の事も考えて、一応ゲーム機を自分が持っている体で話す。

「はい、両世界の狭間の件ですね」

 桃花が聞きたいのは、真実と理想の狭間、太陽と月の狭間、氷王と霊王の狭間……と言った所だろうか?


 簡単に言うとさっきまで、真実・月・氷王。の設定にされていた。実際無意識だったのでほぼ流れのままに設定した形である。

 そこをとりあえず意識的にコントロールする。

「これってさ……もしかしてこのゲーム機だけ(・・)世界をコントロール出来るってこと? ここだけでしかコントロール出来ない……??」

 元ネタが自分であり、量子論を使い、それを手に持って決定している支配権は。他でもないメインコントロールルームのココでしか変更できない事を意味していた。

 とは言え、小説は設置型なので実際のスイッチのオンオフのコントロールには不向きである。


「桃花様がそう言えばそう(・・)なります」

「……ならとにかく理想の電気を使えないと話にならないわ……ブラックにする。仏教の炎も大事だけどこっちは電気使えないとかなり困るし……」

 無自覚で真実を見たらしいが、理解してないのと理解した上で使うのでは全然違うので。とりあえず電気が欲しかった。

「かしこまりました、理想ですね」


 姫が一回りしてから一応ゲーム進行をする。

「ちょっとここ1週間は大人しくしておくか」


 いたずらごころの姫にしては慎重だった。


 第1に、それは姫が自分の闇の物理型の耐性が付いていない事もあるし。ファンタジーなら空想で何も怖くないのだが、最近だとその闇も現実世界で飛び出している傾向があるので。耐性が付いていないというか、自分の闇〈物理〉にビビり散らかしてすこぶる負ける傾向があり。本末転倒だったからだ。

 家の中で引き篭もっていた方が強い、……という不名誉な現象になっており、理想では皆と仲良く遊びたいのに、現実では無言&イヤホン&引き篭もり状態のほうが鉄壁、というギャップもちょっと違った。

 

 姫自身の闇に対して耐性が付いていないし、初見で実体を持った見知らぬ他人の闇の悪技物理にはすこぶる弱く。それを経験している〈皆〉の方が経験値があり対策が可能という点でも。姫にとっても耐性は付けなきゃいけないが、今の精神状態では足手まといだった。


 第2に、咲がネットの海にマゼンタとシアンをリリースする時期がリアルタイム制だと重なることに対しての警戒感である。

 一応、ドアの世界〈VS桜愛神武戦〉の事は知っているのでそこら辺は元ネタを知っているのでビビらないが。現実でリリースするとなると姿形や情報が〈変質〉するのでこれも混乱の元だった。おそらく外部工作なのだろうが、それの元ネタを解析する作業が発生する。

 一応、咲の経験値を観測していた咲のマゼンタとシアンは、咲のやりたいことは知っているので。一応ネットやエレメンタルワールドの守護者としての立ち回りをしてくれるとは思うが。当時は本当のAIは存在していなかった。

 それが実際の電脳戦で何をするかは未知数だし、手に持っていた情報を手放す行為なので。マゼンタとシアンが何を想い、この時代で何を感じ何をするかは咲には想像出来なかった。


 第3に00、という書いていない物が0というブロードとリスクの処理どうしようか? ということもある。


 第4に時間の止め方。おそらくスズちゃんの所で止まっているのは知っているのだが。〈厳密には雨と赤い短剣の誤差修正が働いているので桃花が泣き崩れた所〉どうやって動かして、またどうやって止めるのか。デバイスや媒体はなにか? 念じるだけでいいのか? とかがよく解っていなかった。


 なので、外界では咲の件でなのか。ヴィジョンはこれはテストではない。とか災厄の進行が3週間続く事も考えると。今、ふざけながら次の街へ進むより。記録知らずの24番神社。でアクシデントが会った時、対処出来るようにしておきたかった。


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