第111話「転・原初の3人の伝承」
ここにきて自己投影しない、自分の言葉で語っていない。ゲーム盤感覚で対戦相手の心理描写の読み合いを無意識に訓練してしまったのが仇となっていた。ズバリ「相手は今何を考えているのか?」が作品へのノイズになっている。
双矢鏡の件もそう、1つの理の件もそう、3人で1人前もそう、左右の眼の件もそう。つまり自分の言葉で語っていないのである。
何処かで見た作品の寄せ集めでアイディアツリーを繋いでしまうような。しかも無意識。なので霊感的な意味でツギハギとか言われる。
簡単に言うと、外部からインプットし過ぎたのである。
……ただ、だからといって神楽スズが悪い訳では無いが……。
というわけで今鍛えられる範囲だと、自分の心を形にする思考回路の形成。三人称から一人称への描写的思考回路の鍛錬。であろうか?
流石に鍛えてどうこう出来るものではない覇王色? は他の人に任せるとして。とりあえず便宜上武装色の思考回路を正さないとろくに会話も出来なさそうであった。
ダブルバトルじゃなくてシングルバトルの戦いかとも1周回って勉強したほうが良さそうである。
GM姫が一応指針をとる。
「えーてわけで、いきなり長文も無理そうなので。5人分の短編一人称を語ってもらおうと思います」
天上院咲にとっては100万文字も書いた後なのに急に思考回路を変えろ、路線変更しろと言われているようで頭の車線変更? が難しいい音がしてきそうである。
「えっと、じゃあとりあえず1番慣れてる私からやるわ。たぶん下手だけど。鷹の目みたいな感覚でしょ?」
視点固定の話である、この場合。天上院咲単体に憑依して見える範囲、思い感じれる範囲で描写する訓練である。
「そゆこと、じゃあやって」
◇咲視点
私は意識を集中させた、今まで三人称視点。いわゆる神様視点をやってきたがいきなり心と視点を一体化させろというのも困る。お姉ちゃんはいつもそうだ。……まあ、桃花先生や戦空の話を聞いてる限り。私に出会う前はもっと破茶滅茶だったらしいが……。
……これ、憑依って言うか自分に意識を憑依させる感じだからちょっと心がストンと落ち着く。
「ん~~これ以上は無理、慣れてない」
「うい、じゃ次。あまりにも意識の外に居る戦空」
次の姫も指示。
◇戦空視点
「ほい」
ウチはどうやら家の内側に居るような……18番のせいで囚人扱いされてるのか甚だ疑問だが。どうやらこの18番の霊的な固定概念さへ捨てれば晴れて自由になれるらしい。てか閉じ込められた記憶がない……どこでそうなった? アレか? 結界張ったまま解除してないからか? だとしたら「出たければ出ればいい」という感じで、内側からしか自分で開けられえない風だと思う。……あとブタさんが何かやってたっぽい。
◇和季視点
「ふむ」
俺が直接やっている実感は沸かないが、こいつらの舵取りというか軌道修正はやはり骨が折れる。今はかなり大人しいが、何してもいいんだ。となった時のこいつらの爆発力は知っているのでそこは注意だよなあぁ~~、どうやってなだめるかだよな……。
◇桃花視点
「はあ……」
秘十席群のやってることは解るし。私は部外者扱いなのも解るんだけど、あいつだけ傷ついてるのが何か心配だな……。そりゃ世間知らずでやることやり遂げたのは解るけど。私の重責をあいつが代りに負ってるだけだし。ついでに後から押し付けられた形になるし。何だかなあ~~、という気持ちはやはりある。……こいう優しさのせいで闇に対して足手まといになるんだろうけど……。傷ついてないと言ったら嘘になる。
◇
だいぶ時間を頂いて、天上院姫は世界の観測、もといデータ分析を行っていたが。どうやら18という数字やお茶&理由にも霊感が入っていたらしいことを発見した。これも変わらない世界の冒険とも言えるが。当時は想定していなかったためちょっと修正が必要であった。
ズバリ。ヒルド、フェイ、ケンチャの3人分の再イベントである。
伝承と共に風化され、今やこの3人の足取りや情報は皆無だった、それが遺伝子的というか、祖先と言うか、家系図の一番最初に設計されていたため。現在残っている公式情報はわずかにしか残っていなかった。
……というかミュウが気にしていなかった。
「んん~~、風イベントに組み込みたいが、あっちは4人のスズちゃんイベントやってるし。波イベントかな~~。ズバリ! 〈原初の3人〉というイベントで!」
ヒルドに関する公式イベントはわずかしか無いし、咲の頃にイベントを開催したがあれは仮想世界のNPCキャラであり。しかも無自覚開催でった。
伝承がここまで社会に組み込まれているのも知らなかったし。今ここに居る舞台はゲーム風ファンタジー世界。
なら自覚が出来上がった状態での真の公式3イベントはあってしかるべきだった。
勿論、全部知ってなきゃいけない姫と桃花は原因は解っている。作って、忘れて、変化して、解明して、思い出しただけだ。
桃花は皆に投げる体で必要なイベントの内容を姫にまとめさせる。
「スマブラSPの最後の3名って要するにX&X&Xって事でしょ? どれ選んでもいいけど3人で挑まないと奇跡は起きないって言う」
さっきまでゲーム機を握っていた桃花は〈元ネタは自分達〉という所から行き着き、次に〈コントロールできるのも自分のゲーム機だけ〉という結論に行き着き、急いで反転していたスピリッツをゲーム的に解放していた。
光の敵と闇の敵を倒すのに3人必要だったのでここでその因果関係が解った形である。
ぶっちゃけ本当にあってもなくてもどっちでも良いのだが、どちらかが確定してもどっちにしろプレッシャーになるのでそこは曖昧なままで行く。
重要なので最後の決戦選択画面が3人だったことだ。
「だな、風の精霊ヒルドから何一つ変わってないことを意味する」
ここでこのイベントの情報をゲーム風にまとめ始める。
まず最初に解ったのは風のヒルド。ただしこの場合、風使いがブロード、リスクと居たのでキャラが重複していたのでヒルドの発見が遅れたこと。これも難易度は簡単ではなかった、文法が難しかったのもその難易度の1つとして挙げられる。風と風は繋がっている事は1つの理で紡いでいたが、3人目までたどり着かなかった。
次にフェイ、元ネタのファイ、5というΦがあったおかげで何とか発見出来たが、これもうみねこ咲で出た情報により。+フェイは最初から居たが、外界の各作品ごとに別のキャラに成り変わっていた+という問題点もあった。これはこれは姫も予想していなかった事である。
そして最後にケンチャ。理由から理系に発展し、敵キャラ、古文書など考古学へ発展し。更にフェイが友達が欲しいと発言したのに、宿敵、ライバル、ヒルド以外の男友達がケンチャに変わっていたこと。恐らく少年漫画や劇場映画の男と男のバトルの関係上、女性を傷つけることへの道徳的・または真実的な所で歪曲したと思われる。
理系とは数学と科学、また元素記号など多起に渡り、これが敵となってしまった。
更に追い打ちをかけるように難易度が爆上がりしたのが、これが桃花が高校生の時期で。
使用したのがアナログ原稿、インク、CDプレイヤー、ラジオ、当時の低機能な携帯電話。のみであった事。
カラーの無い白黒原稿で、口から口へと伝わる口伝で、紙に存在してなかったり。元の原稿用紙は出版社に焼却処分されてコピーしか無かったので桃花&姫は終わった話だと思っていたこと、などである。
更に場外乱闘案件だが外部隠蔽工作が働き、マジで隠されていた事などがあげられる。
それをわかるように、理解出来るように仕組みを組み立てられていたのは、本当に元ネタである〈ただ1箇所ここのみ〉であったためである。
姫と桃花は難易度調整を考える。
「控えめに言って簡単な難易度じゃないよね……?」
「じゃな、とはいえ終盤にコレを理解しろ、というのは酷な話なので。序盤の隠しイベント、という風体のイベント生成かな?」
この伝承というのは発生時点と発生後の時間差が広がれば広がるほど難易度が爆上がりする。
特に、桃花がノートパソコンを手に入れてからは。変わる事が当たり前になっていたので、変化や進化が普通だったし、忘れていた。
「これを今風の序盤隠しイベントに組み込む形の設計か~~……」
「他のプレイヤーが入手できるレアアイテムとしては〈不変系〉アイテムや装備ってこと? 不変っていうか元に戻す系……?」
姫がどの段階で組み込むか考え、桃花はイベント報酬を考える。
「まず地理的にはどこ? アシアー大陸でしょこれ?」
「じゃな、……とはいえ雲の王国ピュリアじゃ芸がないから、魔うさぎの林……の上空とか?」
「高度高そう……、これ概念系だよね?」
「……したくはないが控えめに言ってそう……この段階で空を飛べなきゃ発見出来ない」
「あーあと昔話だからこれ最古来歴?」
「あーそっか400年前は固定だもんな、最果ての軍勢が最古来歴1年に居るからそこと重複するのは困るから……その100年後の最古来歴500年頃の伝承?」
「……まあ軍勢イベントとダブルブッキングするのややこしくなるのは解る……」
姫の気苦労に桃花は呆れる。あと時代設定前にも言った気がするが忘れた。
まとめるとこうなる。
◇
EWⅡ公式イベント《原初の3人の伝承》
最古来歴500年~1000年頃。アシアー大陸内にある、3つの伝承を追跡する隠しイベント。ただし伝承は口のみで、紙に残っていない。空を飛べる事も必須。
アシアー大陸のどの街でも隠しイベントは発生可能。3つの情報を繋ぎ合わせて最終的に〈魔うさぎの林〉の上空に存在する概念系3階層までの道のりを発見し。隠しイベントの発生。
参考までにヒルドは自然系、フェイは結界系、ケンチャは機械系。キーワードは友達。
報酬は不変系・元に戻す系のアイテム&装備。
この場合の元に戻すというのは特異点的な意味合いで、いくら改変しても、上書きしてもこの存在という名のアイテムがあれば元に戻るので、座標とか指標として物語が長くなるほど威力が増す。みたいなニュアンスとなる。
毒抜きという呪詛祓いが必要。
◇
「バトルは必須?」
「したいプレイヤーはすればいいし、それ以外は無理にバトルする必要はない。というか勝てない、救世主案件だし実際に起った話だ。出会えるかもしれないが勝つ負けるの話じゃない」
姫はそう言い、桃花は念のためと提案する。
「障害イベントとして毒抜きはいるかもしれない。河豚の毒が厄介だったから。あと18の霊感とかお茶の霊感とか……」
理論で視覚化して絵にしているので。実際には描いていない案件なので。声の中に含まれる内容の毒の抽出、みたいな形のない毒抜きイベントが必要かもしれない。感覚としては本体と悪霊を分離させるアレに近い。それの声バージョン。形が無いのに更にその無形から分離させる感じの毒。ほぼほぼ呪詛祓いである。
「……あとは各々のプレイヤーが感じた通りに足したり引いたりしてもオーケー?」
「うん、まあ私としては終わった話だし。元に戻す系のイベントだから内界ではあんま意味ないし……。今回の公式イベントは、原初のイベントをどうやって残すのが正解か、という指針? みたいな意味合いが近いから私達が挑むのは違う。私達、創生源種は理解した段階でゲームクリアだよ」
桃花は、確かに。と、言われてみればそうだった。
というわけで、ゲームマスター姫はイベントと言う種をプレイヤーに蒔いた。
《EWⅡ公式イベント発生! 原初の3人の伝承》




