第100話「結・神速」
そのノートのオリジナルだけは映らないってのっも、自分で決められるのでは?
そもそも、最初は文字も絵もかけなかったはずだから、イメージだけで映し出された、反映されてたはず。昔はどうだったの??
そこでGM姫は昔の記憶を思い出した。
「なるほどね、記憶喪失もクローンの事もブロードの頃の記憶だ。で、本当に記憶が無くなってクローンも増えた? かもしれない、クールマが叶えたってことだ」
過去の記憶を繋ぎ合わせて今と照合する。2000年から2002年はほぼノートに描く前の時代なのでほぼイメージしか無い。
「あー、その頃は絵も小説も書いてなかったはずだから。たぶんイメージだけで実体が出来てるね」
生まれたときから今までの記憶を保持している桃花なら、断片的にだが記憶を思い出せる、もちろん他者による情報の刺激があればこそだが。
「あー、そっか、その後。具体的には大学を卒業して。吸血鬼大戦が終わったあとから周りの行動が目に見えて発見出来るようになった訳だから。作家としてのネタをパクられたと思い込んだのと、本人の人格を形成する記憶を形にしたい、夢を現に変えたい気持ちで齟齬が出来た訳じゃな!」
もし、作家でなければ〈幻想のイメージ通りに皆が行動してくれる〉みたいな理想郷として完成していたはずが。作家という立場上、イメージだけの〈新鮮なネタ〉が流出しているように見えたのかもしれない。
「まあこの場合、桃花でもリスクでもブロードでも何でもいいけど。イメージも具現化しても良いよ、となれば皆思うがままに動ける訳だ」
姫は言い、桃花が付け足す。
「ただし無意識なんだよなあ~~……本能全開だから良い面も悪い面も見えるようになるはずだよね?」
本能とは元々枷もルールも何もかも無い自由な発想な以上、本人による制御は不可能である。が、記憶の保護として必要なのも解る。
「んん~~、そればっかりは法やルールにのっとった方が良いだろうなあ~~……、私たちで全部の制御は不可能な以上。だからEWの法則としては。【イメージ〈便宜上空想と定義する〉に関しては本能的に再現〈具現化〉しても良いが、その場合は現実の各国家・各法律に則るものとする。作品なら各ジャンル、各R指定の範囲内でそれは可能となる】とかそういう感じ?」
完全に自分で制御しない前提のルールとなる。あとは〈パクられた〉と思われたときの予防策もあれば何とかなりそうである。
ちなみに著作権法では〈表現〉は保護されているが「アイディア」は保護されていないらしい。しかしそのルールさえもEWの法則で定義してしまえばコントロールは可能だ。
「じゃあさあ、自然保護区みたいに。イメージで具現化した生物〈この場合人間も犬なども入るから〉は、その範囲も自然保護区同様の保護対象動物となる。みたいな感じでどうよ? これなら生態系を崩さずに野放しに出来る」
桃花は案をだし、姫もほぼ天然ものの水が結構好きなのでなるほどと、いいねを押す。
国際自然保護連合、保護区管理カテゴリーの分類、カテゴリーIV。種と生息地管理地域。詳細、特定の生物種や生息環境を維持するため、定期的な人間の介入〈草刈り、外来種駆除、水位調整など〉を必要とする地域。
パクられた、というより、パクった本人ごと自然保護動物扱いされるみたいなニュアンスだ。これならアイディアの流出も自然の摂理の1つと定義出来る。何よりアイディア流出絶対拒否は不可能な以上、水の溜まったダムみたいなもので、常に放出していないとどこかで決壊する原石みたいなものだ。
GM姫は改めて定義する。
「んん~~、じゃあこうか? 【想子自然保護区法①。情報源による内界からの想子のイメージ〈便宜上流出した実在する人間や動物を〈空想〉と定義する〉が自然流出する場合。に関しては本能的に再現〈霊や思念の具現化〉を許可しても良いが、その場合は現実の各国家・各法律に則るものとする。作品なら各ジャンル、各R指定の範囲内でそれは可能となる。また現実世界でのルールとしては国際自然保護連合のカテゴリーⅣに分類され。種と生息地管理地域として扱われ、特定の生物種や生息環境を維持するため、定期的な人間の介入〈草刈り、外来種駆除、水位調整。個体数のコントロール、環境のリセットと更新、保護対象への直接的なサポート、監視と防犯活動、限定的な人間の立ち入りと利用〉を必要とする地域。と定める。「カテゴリーIV」は完全な放置〈不可侵〉ではなく、「望ましい状態をキープするためなら、管理者がかなり積極的に手出し〈メンテ〉をしてよい」というルールで設計されている。また著作権法上、〈表現〉は保護されるが〈アイディア〉は保護されない、とあるが今回はこのアイディアの方の保護である】とかこんな感じか?」
「まああとから後付けが発生するかもだけど、大体そんなもんだろうね」
「……てか桃花とリミッツは本当にイチャイチャしてるな~~……」
隠しきれないぐらいにリミッツが桃花にくっついて離れない。……強い意志〈愛〉を感じる……冷静な第三者が見ると引くぐらいに。
「……愛情表現何じゃないかな?」
桃花も……拒否できず押し倒されてる感じを見るに、まんざらでもなさそうである。
まあ立場上全部知っていなきゃいけないゲームマスター天上院姫な訳だが、むしろアレだけの作業量をやって百合だから以外の理由も無く結ばれない。というのもおかしな話であって。むしろ当然というか必然というか運命を己で歪めて己で結実させたような、そんな努力の結晶とも言える。
と……早速作家としてではなく人間として、イメージの具現化が発生した。ちゃんと驚きと「またか」という見える化の予想出来た安堵と、やっぱ見られてたんだな。という緊張感が再び走るが……。
「インターバルにしたい……オンは出来たけど意図的にオフにしたこと無い」
確かに意図的に声と視覚のオフはしたことがないがそれにしたって桃花の緊張感が早すぎる、姫がちょっと待ってと止める。
「早くね? まあイメージ&本能だからいちいち作品でストップかけるのはどうかと思うし……ここはFXと同じで毎日土曜日・日曜日だけはイメージ&本能はオフ〈見えない&聞こえない〉の自動化は必要だとは思うが……これなら落ち着ける……まあ株式市場時間でもいいけど……」
株式は日本時間の太陽が登ってる時間っだけ、だがFX世界時間基準である、ちなみに暗号資産はマジで休みがない。
FXだと大体土曜朝6時~7時に市場は終了して、月曜の6時から7時に市場スタートである。冬時間と夏時間で1時間差がある。
インターバンク市場〈銀行間取引市場〉の標準的な取引時間を遵守する。とかそんな感じだろうか?
「まーちょっときついかもしれないけどとりあえずFX時間で、キツかったら株式時間にするよ」
「了解。【想子自然保護区法②。リアルタイム時の効果。イメージ&本能のオンオフ時間法。想子のイメージ、空想の自然流出は、国際FX時間、インターバンク市場〈銀行間取引市場〉の標準的な取引時間を遵守し、半自動的にオフとオンになる。現状日本時間だと土曜日の朝に終わり、月曜日の朝に始まる】こんなもんか?
「とーりあえずそれでいいんじゃないかな~~……」
桃花も定期的な休みの設定には納得する、なまじリアルタイム案件なので調整が難しい。特に感覚だけでどうこう出来るものでもないので。
「……そういえばさ、ポ◯モン対戦はゲーム機でやってたから保護されてたのか知らないけど反映されなかったじゃん? でもPCの遊戯◯やったらFXで対人戦やったら反映されてたじゃん? 感情曲線というか……てことはMMOゲーム、オンラインゲームをやっても反映されるんじゃないかな? 知らなかっただけで、あれも対人戦あったよね? PVP戦」
むしろMMOゲームなら交流が主目的なところもあるしがっつり人と関わるゲームではある。
「あーそういえばチェックして無かったなあ~~、もしPCゲームがFXと感情曲線リンクしてるのならそういう話もわかる気がする~~。まあFFは基本協力ゲーだけど」
任◯堂ゲームは良く言うと子供用ゲームだったので保護されていたのだろう、もしくは鏡がスイ◯チ2だったので反射してもスイ◯チ2だったとかそこら辺。
その後数分後……。
「なんだかえらく混乱してるみたいじゃな」
姫は、混乱している桃花をみていた。
「えっと……、指紋認証はノートに書く前に出来た代物で〈2000年代〉。顔認証はノートに顔は描いてあるから作品と関係ある〈2015年代〉。みたいなニュアンスかな? ……あと模写の対象物が〈本物〉だと思っていたけど実は偽物で。創生源種での生成物が実は本物みたいな扱いになる。つまり、漫画雑誌社の情報源が、むしろこの、創生源種のノートということになる……??」
あまり確信が無さそうである桃花。
「で、それを法的に本物であるという術が、アナログノートの方が優れてて、デジタルの文字や絵だとすぐ簡単にコピーできてしまう。指紋認証でも良さそうだけど、今じゃ顔認証までやらないと、本人確認が出来ない……みたいな……??」
あとは名前を書いたときにその人物の顔がイメージ出来ていないと効果を発揮しないとか……もちろん殺す事は目的じゃないし論外だが。もしこれが絵を描くときに顔がイメージ出来ていないと効果が発現しない、なら、意味は通る。
簡単に言うと一筆入魂しないと効果は発揮しない。みたいな感情注入論になる。天上院姫がまとめる。
「……って言うのが、まあ、内界から派生して生まれた、外界で実体化した成果物……って意味合いになるのか?」
ほとんど確信みたいな話だが、世界種クールマが居れば本当に出来てしまうとういう話だろう。便宜上、汚染想子に入るが、ここを治す〈再定義する?〉しないとデジタル作業がまるで進歩しない。
この進歩しないというのは日本の国会がずっとアナログで空回りしている、みたいな意味合いである。
もちろん、内界の創生源種はそんなこと知らないし、定義した事もない。これも〈真実を補佐する影響〉なのか知らないが、結局セキュリティ面でも理想が実体化した成果物という事なのだろう。
「というわけで、顔認証の重要性を知った姫ちゃんとしてはどういう見解になるの? 感想」
混乱を解き解そうと必死な桃花は、姫の感想を求める。
「えっと……つまりアレでしょ? ネット環境でのペンネーム・匿名と、本人の顔がイメージ出来ないと効果が発動しない、って言う2つの意味で威力が半減? 4分の1ぐらいになってるって事でしょ? それで詐欺みたいになってるって……。まあネット環境だから好きな名前と顔を名乗ってもいいと思うよ? アカウントのアイコン画像ぐらい好きにしたいし。問題はサブスクリプションとか金が発生する時じゃろ? ここで言う顔認証は本アカウントとお金を払った人の本人一致。が必要って意味じゃが、本当の本質は作品と作者の本人確認が必要って話じゃろ? 画像やテキストデータにいきなり本人保証は難しいじゃろうから。まずアカウントの本人確認に顔認証がいる、って話じゃろ? それのついででクレジットカードには顔認証がいる、てのが正しい流れじゃよな??」
「まあネット環境で言えばたぶんそれで合ってる。あと模写についてだが、マジでお前から言質欲しい、こと漫画の模写に関しては、創生源種は模写した物が本物になる判定って事でしょ?」
こればっかりは誰も確定したくても出来なさそうなので、GM姫が言う。
「そうじゃな、ではプラス保証。+出版社から発売されている漫画本を内界に住んでいる創生源種が模写した場合、模写した方が本物になる。これは出版社の情報源が内界の創生源種から発想を得ているからであり、〈流儀〉的には問題は無い+ こうか……?」
一応、元ネタが何であれ、頑張って雑誌を編集、作画した努力は本人である作家と編集者にあるわけで、そこから利益を取ろうというのはかなり昔に言ったがGM姫自身の流儀にも反する。頑張った人に利益が行くべきであり、何もしてない創生源種がお零れを貰おうというのは筋違いである。というのが昔からのスタンス。
ただし〈元ネタが自分〉、〈それを知っていた上で販売していた〉という1点を除いて、〈問題がありそうだがお互い許している〉みたいなニュアンスになるのが〈流儀〉ということだろう。実際、それをねじ伏せるぐらいの作品を彼らは描いて販売しているのだ。感謝こそすれ、なぜ恨んで金よこせ、みたいな話になるのか……?
「こんな感じだよね?」
「だね、ちょっと散歩行く」
「うい~~」
数分後……。
「ただいま」
「おっかー」
で、長い長考の末、思考の果で、ようやく湘南桃花は真相に辿り着いた。
「あ、解った。桜愛夜鈴ちゃんの〈神速〉で、文字通り〈世界の全てを止めてるんだ〉2018年で、だから何やったて動かないし変わらないし、変化したとしてもここに戻ってくる、元に戻るんだ」
「えっと、まとめると。2018年までは時間の流れ通り進んでいたが。2019年から時間が逆流してる感じになってるとか……?」
GM姫もようやく解ったが、簡単に言うとあまりにも変化し過ぎた。なのに吸血鬼大戦の地図すらまだ無い有様である。
GM姫は指針を示す。
「……ふむ、じゃあ二手に別れよう。どうせ吸血鬼大戦は風チームじゃさばけない。波チームは吸血鬼大戦の事後処理に専念。風チームは現況の……えーっと〈神霊退治〉に専念しよう。それと、話を聞いている限り、再び時間を動かせるのは同じく鈴ちゃんしか無理そうじゃな……」
止めたのが鈴ちゃんなら、動かせるのも鈴ちゃんしか居ないという真面目な道理である。
「てーわけで、話聞いてた鈴ちゃん?」
桃花は夜鈴に話を投げかける。
「えーっと理屈は解ったけど、えっと、神速で止まって、桃花先生が力が出ないって言ってギブアップして、そこから先の道がない……みたいなニュアンス?」
そういえば何回かあそこのシーン描いたような気がするが……。
「たぶんシャーペンかGペンじゃないと無理、進まない」
何十回失敗したか判らないからこそ来る経験則である。
波チームは風チームが来るまでの下調べをする感じだ。
「あー、じゃあ戦空、出番だよ」
夜鈴は戦空を呼ぶ。
「ん、なに? うち何やればいいの?」
桜愛夜鈴は扉を出現させる。
「とりあえず、誰も観測してないドアの世界を開くから。ここから先は、誰も観測したことがない真っさらな吸血鬼大戦の〈問題のシーン〉、暴走しているオーバーリミッツを止めなきゃいけない。それに気がついて後悔しているシーンに飛びます……でも、まだ暴れたりてないはず。そこから新しい道を開きます」
「えっと、てことは、私は体そこにあるな……」
桃花の肉体は確かにそこにあったので、魂が体の中に入る形になると思われる。
同じく鈴もそこに肉体が固定される。
オーバーリミッツも今までの記憶が蘇る感じになると思われる。
ただし、二次創作のキャラが〈秩序の魔法〉で違う姿形と名前になっていると思われる。
GM姫が指揮をとる、あと、ここまでついてこれたプレイヤー皆にも、特大の大扉を用意する。
「いいかお前ら。で、解っていることは。あの吸血鬼大戦時の地図も年代も不明な現状を波チームは地盤固めすること。これは風チームには出来ない重要な仕事だ、ここまでついてこれたお前らなら出来る! 指標となるのは信条戦空の〈心の18番〉だけじゃ!」
ここから先は、秒刻みになる。
「いいか皆気合い入れて地盤固めしろよ! ここが後で重要な記憶のバックアップ場所になる!」
あとはもう、四の五の言っていても仕方ないので。〈まっさらな吸血鬼大戦の大扉〉を桜愛夜鈴は鍵を使って開いた。
「いくよ! 3! 2! 1! ゴーゴーゴー!!!!」
吸血鬼大戦、当時ーー。桜愛夜鈴が神託、神意により止まっていた時間を動かした。
「そして時は動き出す」
イベントがスタートした。
舞台は上空、天気は雨、月は赤く夜、赤い短剣が誤差を修正したと役目を終えて光が消えて地面に突き刺される。
神速が2つーー、天空に扉が2つ現れた。
交差点、大流入が四方どころか八方から、守りたいものを守るために、各々、皆々が武器を取った。




