ロr・・・少女
この場合フラグ回収は速いとみるべきか遅いとみるべきか・・・
待ってくれていた方(いらっしゃればですが・・・本当に申し訳ないです。
あと、タイトルをもう一回変えるかもしれません。
その時はまた書きますのでよろしくお願いします
目が覚めてからの視界は真っ暗だった。雑草の匂いがすることから草原の様な場所に顔を埋めているらしいことが分かる。
あの野郎今度は落ちるとかじゃなく直接地面の上に転移させやがった。危ないっつの、ほんの数センチずれただけで死ぬんだぞ。
「青い空に緑の草原、更には遠目に見える人工物らしき物達」
顔を上げて確認してみると大体そんな感じだった。人工物(らしき物)までは目測で300メートルほどだろうか。
・・・どこだよここ。考えてみればそもそもあの森から出てないから結局何一つ地理はわかっていない。魔女に聞くつもりだったし。
そこまで考えて思いだす。
「やっぱりゴ・・・マリアが『魔女』なんだよな・・・」
恐らくあの後自分が魔女だということを告白するつもりだったのだろう。
あの神のせいで何一つわからなかったが。
・・・最後に見たマリアの悲しげな表情を思い出す。クソ、仮にも女の子にあんな顔させるなんて、自分が嫌になる。
わかってはいた。答えは予測できていた。ただ、マリアが魔女でない未来を望んだだけ。そして、結果がそうでなかっただけ。
もちろん、そうではないのかもしれない。実はマリアは魔女ではなかったのかもしれない。ただ、考え始めると止まらない。
思考が悪いほうへと向かっているのが分かってもそれを止めることができない。
あぁ・・・戻らないと
「戻らないと。マリアのところへ」
声にだすことで誓う。決意を固める。この世界の地理がどうなっているかは知らない。ここが何処かもわからない。
でも、絶対に戻る。それだけは誓う。マリアにではない。神にでもない。他でもない自分自身に。
さしあたっては――――
「あの村(らしき場所)に行こう」
「あそこ、村なんかじゃないですよ?」
情報しゅうsy・・・・はい?
「・・・・・・・・・・はい?」
驚き過ぎて脳内と同じことを言ってしまった。ゆっくりと振り替えるとそこには、銀髪のロr・・・女の子が立っていた。
背丈は小学五年生くらいだろうか。
青みがかった髪にどこぞのお嬢様の様なフリフリのワンピース。明るい青の瞳に将来は確実に成長すれば美人になるだろう整った顔立ち。
しかし感情は表に出さない質なのか表情は乏しい。
当たり前だが心当たりがない。というか初対面にいきなり話しかけるとか勇気あるなこの子。
「お兄さん、ここで何してるんですか?」
「へ?」
「私より年上なのに二回も言わないとわかんないんですか?ここでなにしてるんですか?って聞いたんですよ?」
これは困った。なんせ神様が~とか言っても信じてくれるわけないだろうし、かといってここで無言は怪しすぎる。というかこの子ムカつくんですが。
と、返答に悩むこと数秒。向こうが切り出してきた。
「いや、あの、なんというか・・・」
なんで敬語になってんだよ俺、相手小五くらいだぞ?
「言えないんですか?もしかして怪しい人?怪しい人ですよね?というか怪しい人でいいです」
なにその三段論法すっげぇ新しい。絶対間違ってるけど
「いや、怪しいと思うなら何で声かけたんだよ」
「草原で一人でぶつぶつつぶやいてる人がいたら声かけますよ、普通」
そう言って少し眉を寄せながら少女は―――
「ずっと独り言喋ってて変態みたいでした」
「ガフッ」
―――人を変態扱いしてきた。いや、小さい子からの変態扱いは流石に堪えるな。体に突き刺さったわ。
「お兄さん、行くところ無いんですか?」
「うーん、行くとこっていうか目的地はあるんだけど・・・」
「帰る場所がない。みたいな?」
「何でわかるんだよ」
自分でも微妙に苦々しい顔をしているのが分かる。思ってることを言い当てられるのって思ったより気持ち悪いな。
「行くとこ無いなら家に来ます?」
「え?いいの?こんな初対面のやつ連れ込んでも」
「別にいいですよ。慣れてますし」
いや良くないだろ。しかし、言葉が通じるとわかった以上地理を把握しておきたいのも事実。ていうか慣れてるってなんだ。
うーん、思考が纏まらん。
・・・こういうときは素直に好意に甘えるに限る。
「よろしくお願いします!」
「ん、わかりました。じゃあついて来て下さい」
と、意気揚々と歩きだしたはいいものの・・・
「つ、疲れた・・・」
「早くないですか!?」
100メートル歩かないうちにバテてしまった。
おかしいな、森にいた時はこんなに早くなかったのに・・・
「・・・・・・まさか!」
そのまさかだった・・・・
ステータス画面を確認してみるとそこには――――
<明玄次隆弘:Lv1>
職業:放浪者
筋力(A):17/28
素早さ(S):16/30
防御力(G):0/10
魔力(MP):200/200
activeskill:『仮面Lv1』『属性操作Lv2』
passiveskill:『身体能力弱化Lv2』
称号:演者
所持品:
―――やたらと光って自己主張する身体能力弱化『Lv2』の文字が・・・。なんでだよorz
orz←こんな体勢初めてとったわ。あとなんで魔力だけ減ってないんだよ!確かに身体能力の部類には入らないけどさぁ・・・
『属性操作』がLv2になってるのは嬉しいけど・・・Lv2って何ができるんだろう?
森にいたとき色々やったからレベルが上がってるんだろうけど・・・
まぁここで確認する必要はないし、村(?)に着いてから確認しよう。
「ところで君何歳?」
「今年で12になります」
「名前は?」
「なんでそんなこと聞くんですか?変態ですか」
「名前聞いただけでその反応って酷くない!?」
「冗談ですよ。キャスティ・ハウスト・ベルスです。貴方は?」
「あー、俺はタカヒロ。なんとでも呼んでくれ。しかしキャスティか・・・良い名だ。キャスティって呼んでもいい?」
「構いませんよ。好きにして下さい。それと、良い名というのは同意しかねます」
「そうかい?可愛い名前だと思うけど?」
「『かわいい』ですか、そうなら良かったんですけど・・・」
なんか、訳ありなかんじなんだけど・・・まぁいいや
言葉遣いもしっかりしてるし、名字があるってことはいいとこの嬢ちゃんか?
下手すれば今夜は美味い飯にありつけるかもしれん。
ああ、でも・・・村(?)まで遠いなぁ・・・
――――――――――――――カットォ!――――――――――――――
「ハァ・・・ハァ・・・・やっと着いた」
「おかしい、普通の人ならもっと早く着くのに・・・お兄さん体力なさすぎです」
「な、なんかすんません」
おかしい・・・身長が170ある俺とキャスティじゃ歩幅が違うはずなのに俺がバテて置いてかれかけることになろうとは・・・
これも身体能力弱化のせいなんだろう。くそ、何が悲しくてこんな目に合わなきゃならんのだ。
というかここに着く少し前に気付いたけど・・・
「ここ町じゃん!」
「ええ、だから言ったでしょう?村なんかじゃないって」
「いや確かにそうだけど・・・」
普通村じゃないって言われたら町だとは思わないだろう。
石でできた鳥居のような門を潜り抜けて町に入ると見えてきたのは煉瓦造りの屋根に石造りの家。二階建てで長屋みたいだったり、逆に縦に高かったり。
果物みたいのを売ってる店に衣服を売ってる店、武器や防具を売ってる店もあることからここがそれなり、あるいはかなり大きな町であることが見て取れる。
その中でも奥には一際大きな屋敷が建っていた。いかにもお嬢様が住んでそうな感じの・・・
そして歩いていると町の人がキャスティにしきりに話しかけてくる。
「あぁ、ベルスさんとこの!採れたてアプンでもどうです?」
と、リンゴのようなものを差し出す果物屋の店主やら
「あら!キャスティちゃんじゃない!お菓子どうぞ、作りたてよ?」
とクッキーを差し出すお菓子屋のお姉さんやら
「お!キャスティじゃん!おっちゃんによろしくな!」
と親しげに話す少年に、しまいには
「おう、キャスティの嬢ちゃん」
と気さくに話しかけるやたらがたいがいいおっさん。というか今の嬢ちゃんって・・・
「なぁ、キャスティ」
「なんです?」
「お前の家って・・・」
「あそこに見えてる屋敷です」
やっぱりかぁ・・・・うん、知ってた
この作品内で使っているルビ等は英語か作者の造語です。
あと、私用で九月と十月の更新できないかもしれません。
少なくとも二週間ネットのないところへ行くので。