問12:決戦当日に持ち込めるお菓子は300円まで。その中で最適解の組み合わせを見つけよ。
予約投稿ミスしていました。すみません。
「それではそこの少年は留守番という事で話を進めましょう」
おかしい。俺が発案者のはずなのに、指揮権を奪われている。これが常人の頭を狂わせ、忌み嫌われる伝説の寝取られ・・・?桜華から言葉だけは聞いていたが、頭が狂うと言うより、普通に寂しい。俺も話に入れて欲しい。
これ以上、4人と一緒に居ると寂しさで泣きそうになったので、迦具夜の横に体操座りで待機。家のお掃除ロボットが充電中こんな感じだった気がする。そうか、あいつも寂しかったのか。帰ったら優しくしてやろう。
「何・・・?」
「孤独を恐れた少年の悲しい末路さ」
「意味分からない・・・」
俺も分からない。自分で言っていて訳分からないこと口走ることあるよね。人はそれを黒歴史と呼ぶ。
「本気で戦うつもりなの・・・」
「そのつもりだったけど、戦力外通告された」
「泣いているの・・・?」
「ああ」
ハブられるってこんなに悲しいんだね。知らなかった。
「まだ会ったばかり・・・。さっきもそう。なんで、私を思って、泣けるの?私の・・・ため・・・?」
「ソ、ソウダヨ」
違う。仲間外れにされて泣いています。17歳、男子高校生。初の仲間外れに涙を流しています。
「私は・・・もう、死にたい・・・」
「伽具夜が一人で戦っていた時間。それは想像もできないくらい長い日々。その間、頑なに拒んできた。白帝のものになりたくない理由があった。その理由はなんだ?」
「最初は純粋に嫌だった。普通に気持ち悪かった。生理的に無理だった」
「お、おう・・・」
どれだけ帝のこと嫌っていたんだ。見た目が良くなったのか?平安時代から固執しているだけあって相当な粘着質だったのかもしれない。鎖とかつけているし、束縛系だったのかも。そう考えると、六さんよりヤバいかもしれない。半端ないな白帝。
「後から知った。“白帝”になった帝は、お爺とお婆を殺した・・・・・・。私を育ててくれた大事な人を殺した・・・。あいつのものにはなりたくない・・・。だから拒んだ・・・。次、拒めばあいつは私を完全に殺す。これまでも私を庇う人はいた・・・誰も彼も死んだ・・・。その度に心が折れそうになった。辛かった・・・。けどようやく終われる・・・」
迦具夜は強い。殺される痛みは、俺が人生で味わったどの痛みよりも強いのだろう。それを何千。何万と。想像する事すら出来ない。常人なら気が狂っていただろう。1回で心が折れてしまうだろう。
それを耐えて、耐えて、耐えて、耐え続けた。その終わりが目前にある。彼女の心を支えたのは、育ての親である2人の深い愛情と、見えていた最期だ。
だから彼女は諦めた目をしている。生きる事を。抗う事を。
ここまで頑張った結果が、死んで終わり。それは無いだろう。あんまりな話だ。報われていいはずだ。誰が何と言おうと、彼女がそれを否定しても、そうならなければ俺が納得できない。
「もう、生きたくない。楽になりたい・・・」
「却下します」
「・・・は?」
「ご、ごめんなさい」
心の底から出た、冷え切った声音の“は?”だった。怖い。思わず反射的に謝ってしまった。女性って凄いよね。電話に出る時とか聞いたことのない高い声出すし、怒る時は底冷えの声音を出す。
「小さい頃、俺はカブトムシになりたかった。格好いいから」
「人はカブトムシにはなれない・・・そして貴方の話は脈絡が無さすぎる・・・」
「それはすまないと思っている。迦具夜は、今でも、昔でもいい。何かなりたかったものは無いのか?したかった事、食べたかった物、何でもいい。未練はないのか?」
「私は・・・もっとお爺と、お婆と居たかった。けど二人は死んだ。月にも遠の昔に見放された。私には何もない。何もないから・・・死にたい」
「そうか。じゃあ、俺と一緒にカブトムシになる為の魔術を考えよう」
「・・・話、聞いていた?」
「聞いてた」
「なら、なんでそんな結論になる・・・」
「さっき死ぬのは却下した。俺の中で迦具夜は生きる事が決まっている。確定事項だ。だから、今聞いたのは、単純にこれから何をしたいか、事前に聞いておきたかった。聞いたら無理な話で、どうしようも無かった。だから俺のしたい事を手伝ってもらうことにした」
いや、魔術じゃなくて、全蔵に忍術習う方が早いか・・・?変化の術とかメジャーだし、もしかしたらあるかもしれない。
「やっぱり、忍者になろう」
「わけがわからないよ・・・」
「オーキ殿は常識人面して一番狂っているので相手するだけ無駄でござるよ。その上、狂っているのに、全く自覚ないのが怖いでござる」
「話に割り込んでくるな全蔵。勝手に隣に座るな。なんでお前がこっちにいるんだ」
「真面目な空気に耐えかねてボケたらこっちに左遷されたでござる」
同じ立場なら同じ事していた気がする。
ほら、教室で誰かが怒られている時って無性に笑いが込み上げてくる時ない?鎮まりかえった雰囲気って苦手なんだよね。ふざけたくなる。
「適材適所。荒事は専門の者に任せておけば良いでござる。無理に参加して死んだら、オーカ殿に拙者が殺されるでござる」
「そうか。そうだな。よし、俺も参加する」
「馬鹿なの?」
「確かに俺は馬鹿かもしれない・・・。だけど、俺も参加するぜっ!!」
「滅茶苦茶でござる・・・」
「確かに滅茶苦茶だな・・・・。だけど、俺も参加するぜっ!!」
「この人、怖い・・・」
「常識人の面したサイコパスでござるよ」
酷い。俺は少し人の話を聞かなくて、少し頑固なだけだ。全蔵や佐久間さんの方が頭おかしいし、学校の連中はもっとおかしい。特に教師陣。あの人達怖すぎる。
「仕方ないでござる。拙者からいい感じに頼んでみるでござる」
「流石親友。信じていた。やっぱり全蔵しか勝たん。持つべき者は忍者の親友だよな」
「良く回る舌でござるな。いいでござるか、オーキ殿。オーキ殿はここで覚悟を決めたような顔をしていて欲しいでござる」
「まかせろ!」
「不安でござる・・・」
全蔵は立ち上がり、未だ話合いをする3人に近寄る。俺は表情筋に気合を入れて“私覚悟決めました”と言わんばかりにキメ顔をする。相手から見て斜め30°。これが一番映える。知らんけど。ついでに顎に手を添えておこう。小顔効果だ。なんかの特集で見た。
「エミリア殿。やはりオーキ殿も連れていこうでござる」
「先程も言った通り、彼は戦闘の経験がありません。いくら規格外の魔力があろうと、素人を連れてはいけません」
「見るでござる。あの覚悟の決まった顔。蝶の羽化は誰にも止められないでござる」
「ボク、あれ知っているよ。ホストの顔写真でよく見るやつだ」
「それと、蝶は既に羽化した後です」
「ふっ・・・それだけオーキ殿も真剣という事でござる」
「ふざけ倒しているようにしか見えませんが」
「・・・・・・」
無言で俺の隣に戻って来た全蔵。
「おい、役立たず」
「黙れ、ナルシスト」
やっぱり忍者を親友に持っちゃいけねぇや!くそう。これでは手詰まり。どうしようも無い。大人しく留守番するしかないのか?
「万策尽きたな」
「まだ講じた策は一つでござるよ」
「こうなったらプランKだ」
プランKは、俺の人生の中で培われた最強の作戦。俺はこれに失敗したことは無い。できれば手荒な真似はしたく無かったが、実行するしかないな。
「何するつもりでござるか?」
「K」
「聞こえていますよ」
くっ、手詰まりだ・・・!!
これ以上の作戦は存在しない。なんという無力。人はここまで無力だったのか。人類が積み重ねた軌跡。その集大成は、こうも容易く打ち破られてしまうのか。悲しきかな。人はなんと愚かな生物なのだろうか・・・・。こうなったら、
「俺が人類の支配者に・・・」
「馬鹿言ってなる場合じゃないでござるよ」
「話は纏まりました。これから私は動きます。そこの二人。大人しくしているように。レオ君、しっかり見張っていなさい」
そう言い残して店を後にするエミリアさん。
「そこの不参加世紀末覇者は置いておいて、話はどこまで進んだでござるか?」
「場所は那古屋の北。肥田。聖騎士二人が暴れるとなると、未奪還区域の方が都合いいだろうって。魔獣生息区域で暴れる事になるから、その処理をする為に水原群伯爵の私兵を使うって話になって、今エミリアさんが話を付けに行ったところ」
「オーキ殿、苦虫を炙って食ったような表情してどうしたでござるか?」
「な、なんでもない」
水原群伯爵かぁ・・・・・・。水原群伯爵かぁ・・・!!!
この場で“俺、その人殴った”とか言ったらどうなるだろうか。相手は許してくれたが、時間と共に恨み辛みが募るなんて良くある話だ。打ち首はやだなぁ・・・。
「そういえば、桜樹は面識あるんだっけ?中学の時話題になったよね。ぶん殴ったとか」
「・・・なにしてるんでござるかオーキ殿」
「ヒトチガイデス」
佐久間さんが地雷を掘り起こしてぶん投げてくる。
全蔵の呆れ顔はまだしも、レオから「正気か?」という目で見られている。心が痛いよ。俺じゃないんです!!もう1人の俺がやったことなので関係ないんです!!信じてください!!
「深夜でござるが大丈夫なのでござろうか?」
「人命が掛かっている話だし、大丈夫だと思うよ。エミリアさんも言っていたけど、水原群伯爵は力で物を図るけど、利口だって。聖騎士からの申請だしね。無碍にはできないよ」
「とは言え、エミリア殿が何で参加してくれたのかが、そもそも分からんでござる」
「それは俺から説明する」
これまであまり口を開かなかったレオが神妙な面持ちで話に割って入る。
「米国が所有している“七災”が一つ。時詠みの宝具“黒双”に一ヶ月前、予言があった。『“東条院”。に天災に挑む者あり。名は一欠けの桜。最も蒼い聖騎士。最も堅い聖騎士。二人を着けよ。さすれば帝は地に落ちる』」
一欠けの桜・・・。ああ、二三桜樹か。
前から疑問に思っていた事はあった。確かに貴族の子息が普通の高校に通う事は珍しい話ではない。とは言え、家督を継げず、将来的には家を出るか、他の貴族に嫁ぐ、四男三女以下の話だ。一代限りの貴族であるレオが通うこともあり得ない話では無いが、レオ自身が聖騎士になったばかりの新米騎士。レオの言動と知識からまだまだ教育が必要だろう。教育係としてエミリアさんがいたとしてもわざわざ俺達のいる高校に来る必要は無い。
聖騎士協会の日本支部は元の群馬県と愛媛県にあるし、訓練に適した環境があるかと言われたら否だ。何か特別な事情が無い限り、俺達の学校に来る事は有り得ない。
その事情が“七災”である“白帝”なら納得できる。
“白帝”は双頭と、小山のような体躯をし、建造物を破壊して一直線に目的なく日本を歩く。長年、“白帝”の移動規則性について研究されている程だ。原因は迦具夜という一人の少女だったのだが・・・。この情報売れないかな。さっき財布を確認したら伽具夜の血がべっとり。三野口もお陀仏だった。俺は残りの人生を360円で過ごさなければならないようだ。コーラ飲みたい。
多くの歴史的財産や、家屋が”白帝”に破壊された。過去に何度か討伐部隊を編成されるも、失敗。まさに“七災”の通り災害だ。千年近く日本を悩ませる“白帝”を討伐できる可能性があるとするのなら、聖騎士を二人派遣しても可笑しくは無いし、レオが俺達の学校に来たのも頷ける。
「内密だが、以前から水原群伯爵には既に話が通っている。ここでの話合いは体だけの顔合わせ。今も最終打ち合わせに向かっただけだ。一定の戦力はこちらで確保している」
「その話から察するに、拙者や佐久間殿に話した話は嘘。討伐には参加させないという意味に聞こえるでござるが?」
「そうだ。現地に行く途中の輸送車で安全な場所に隔離する算段のはずだ」
「拙者達はとんだピエロでござるな。忍者でござるが」
「無理も無いよ。実績も無い学生が挑む事を国が知っていたら許可できないよね。立場的にも。逆に許可出したら炎上間違いなしだね」
「良かったでござるなオーキ殿。結局、お留守番は変わらないみたいでござるよ」
留守番・・・。留守番か・・・。
間違いなく国側の対応は正しい。全部が正しいとは言わないが、概ね正しい。先に言えよ。とか、騙しやがって。とか。色々と言いたい事はある。仕方無いと言えば仕方無いのかもしれない。ただ、
「ムカつくよなぁ・・・」
「それなでござる」
「予言に従うなら桜樹を連れていくべきなのだろう。だが、これも国民の安全を考えた結果の最善策だ」
「それは分かるんだレオ。国防の前では俺達の意思など塵芥の生ごみ以下。下等生物が気宇壮大なことを言っているとしか思わないだろう」
「いや、そこまでは言っていない」
「だが、嘗められるのだけは許せない」
「ペロペロでござる」
「ペロペロだね」
「という事で乗り込みます」
「「いえーい!!」」
どうやら全蔵も佐久間さんも乗り気のようだ。
「何故そこまでして戦う?」
「俺、権力者って嫌いなんだ」
「拙者、偉そうな奴見ると無性に逆らいたくなるでござる」
我ら生まれながらの逆張り天邪鬼。駄目と言われたらやりたくなってしまうお年頃(3歳~80歳)。
「はあ・・・。俺が駄目だと言っても付いてくるんだろう?」
「うん!!!」
「元気に返事してまかり通るのは小学生低学年まででござるよ」
「三人を連れていく。俺の現場判断だ。エミリアさんに何か言われても俺が黙らせる。力を貸してくれ」
「俺の方からお願いするよ」
「ちなみに、拙者はオーキ殿に付き合っているだけでござるよ。主に面白そうって理由で」
「ボクは純粋に戦いたい」
ここまで言われたら俺も人と価値観とか考え方が変わっているっていうのは嫌でも自覚するが、やっぱり帰宅部が一番イカレてると思う。
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いずれレオの過去編をやりたいのですが、一章丸々使いそうなので時間見つけて書いておきます。




