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賞与ゼロの万年事務員、異世界ボーナス無双  作者: 海月 恒
Season 2 勇者編

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第45話   祝! ギルド入会!





「終わったか?」



リタとレイは近づいてきた。




「うん。返してくれたよ」




そうして二人に魔結晶を見せた時、結晶はバラバラと崩れ落ちてしまった。





「あっ」




レイから怒りのオーラが漂った。




「何してるんですか...... こんな良いものを粉々にするなんて! ありえないですわ! 頭おかしい!」




「いや、私じゃないわよ! ステラ! アンタが盗むからこうなったのよ!」




「ウチの腹殴ったとき当たったんじゃね?」



「ナオさんにも責任があります! もう少し加減してやらないからこうなるのです!」




「はぁ私!? 絶対悪いのこいつでしょ! なんで被害者の私が責められてるわけ!?」





「だってナオさん強いけど無茶苦茶ですよ!」




「それが私のパワーだもん! というか、別によくない? 角持っていけば合格できるんでしょ?」




リタはボロボロになった角を見せた。





「......お前がさっき起こした竜巻で蜂の巣になってたぞ」





「......こ、これは事故よ! 事故......」




奈緒はそう言いかけたとき、口から血を撒き散らした。



ふらついて倒れる奈緒をリタが抱えた。




「なんか具合悪いーーー」




「毒がまわってるんだ。誰か解毒剤はもってないのか? ステラ!」





「持ってなーい」




「仕方ないですね。ワタクシに任せてください」




そういうとレイは杖を奈緒に向けて鮮やかな魔法をかけた。




奈緒の表情はすぐに柔らいでいき、冷や汗も止まった。




「レイ、アンタ、ヒーラーだったのか?」




「はい。大体の治療はできますわ」




「わぁ、すっごい楽になった。ありがとうレイ......それと、魔結晶のことは、まぁ、ごめん」




申し訳なさそうに奈緒は立ち上がって言った。





「まぁ、今回は許しますわ。何故なら......えいっ!」





砕けた魔結晶がプルプル震え始めた。



破片同士が反応し、互いに引き寄せ合い、元の形に戻っていった。



「これは.....復元? しているのか? こんな魔法初めて見たぞ......」





「リストア...... 古代の魔法っしょ」



ステラは静かに言った。




「ええ。おっしゃり通りです」






4人は修復された魔結晶の輝きを見つめた。





「魔力消費が凄いのであまり出来ないですが、今回は特別です」






奈緒は大事に魔結晶を拾い上げた。




「さぁ、早く他のアイテムか魔物探しに行かないと。後何分?」





「あと3分だな」





「3分!?」





「流石に後3人分のAランクアイテムは集まらないですわね」






「うーん。残念だけど、今回は誰か一人しか受かれないかなぁ」



リタは少し考えた後、言い出した。




「ナオ、ちょっと魔結晶かしてくれ」




「ん?」





リタは奈緒から魔結晶を貰うと、地面に置いた。




そしてサーベルを抜く。





「な、何をする気ですかリタさん......」






「痛み分けだ!」






「はいいいいいい?」





リタは音速の太刀を魔結晶に浴びせた。




4人の周囲に風圧が回った。




「こんな.....こんなことは初めてですわ。ワタクシが治した宝石をもう一度壊すなんて......貴方、人間じゃないありませんわ!」





「いや、人間だが? よく見てくれ」





魔結晶は、砕けておらず、美しい4頭分にカットされていた。




その輝きは変わらず、青い光を滲ませた。




「す、凄い。一流の宝石研磨士より無駄がない! 一切素材を傷つけずに組織の切れ目を割っているのですね」




「お前のさっきの角の裁き方を参考にしたんだ」




レイの目がハートになった。




「素晴らしいですわああああああああ!」






リタは魔結晶の一つをステラの前に差し出した。





「なんで? ウチにくれんの?」





「言っただろ。痛み分けだ」





リタは微笑んで言った。






「じゃあこれでみんなとりあえずアイテムはゲットしたと! 早く戻ろう! と思ったけど......」





奈緒は長く続く通路を見て思った。




「ここ何処......」





「ほら。ナオさんが暴れ回ったからですよ」




「むむむ......」





「......南の壁、2枚突き破って。そしたらゲートだよ」




ステラはボソッと言う。




「もしかしてアンタ覚えてるの?」





「マッピング能力は、アサシンに必須だからさ」





奈緒は広角を上げた。





「やるじゃない。さて、そうと決まれば! 」













広場の試験監は、腕時計を見る。





「さ、もうそろそろ閉じようか......ん?」





ワープゲートが反応して、4人の女が戻ってきた。





「まだ間に合いますか! これ!」




4人は魔結晶のカケラを監督に見せた。





「おっ。魔結晶かー。どれどれ。小さいなぁ。でも純度は最高だな。うん。よし」



試験監は4人を見渡して言った。




「条件クリア。ギリギリだがとりあえず、試験は合格だ! おめでとう! ランクは後から発表するから先にギルドに戻って待つように!」





「よし! やった! あっぶねぇ!」



「良かったですわ! なにわともあれ、ブレイブには慣れるみたいですね!」




ステラは少し嬉しそうに、手元の魔結晶を見つめた。




「アンタそれクライアントに渡すの?」




「いや、クライアントが欲しいのはサードスターのギルドカード。このタイムとアイテムじゃセカンド以上にはなれないだろうから無理ね。単純にウチがブレイブになって終わったわ」




「なんかウケるね。いつのまにか転職してんじゃん」





「まじそれ」





奈緒とステラはクスリと笑い合った。





「はぁ。帰りたくねーなー」




ステラはため息混じりに言った。




「帰らないといいんじゃない?」




「何処にいたってバレるよ。すっごい情報網なんだから」





「そういうもんか......」








4人は会場を後にして、ギルドへ戻った。



入会希望者がごったがえすエントランスで、肩身の狭い思いをしながら過ごしていると、発表は程なくして行われた。





「それでは、ランクボードを張り出します。合格者は各自確認してくださーい!」





雪崩のようにボードに押し寄せた新人ブレイブ達。




奈緒達も人混みをかき分けて、ボードの前に出た。





その後、受付を済ませると、四人の手元にギルドカードが渡された。





「これが登録書、ギルドカードかー。意外と重いじゃん」



ステラが軽く言うと、4人はお互いに手に乗せて見せ合った。




「ファーストスターブレイブ、だってさ」




「最低ランクだな」




「まぁ、底辺から一つずつ上り詰めるのも一興でございますわ」






「うん。ここから、私達のブレイブ編が始まるのよ!」





拳を掲げ、奈緒は叫んだ。





「おーーー!」



と声を出したのは、レイだけだった。








「さて、今日は解散だね。また、仕事であったらその時はよろしくね」




「はい! 皆さん今日はありがとうございました」




ステラは何か言いたそうに、口ごもった。




「どうしたの?」




「いや、ウチこれからどうしようかなって思って......」





「ステラ、言ったでしょ? “どうしたいか”だって」





ステラはモジモジした後、拳を握った。





「帰れなくなった! ......のは、アンタのせい、じゃん.....」






「だから? 」






ステラはそっぽを向いて言った。




「......責任、とってよ」





奈緒は悪戯な笑顔を見せた。






「どうして欲しいの?」





「そ、その......」


ステラは頭をかいて照れくさそうに、そして冗談混じりに言った。






「匿ってくんない?」





奈緒は優しい笑みを見せた。







「いいよ。打ち上げでもしよっか!」





「ズルいです! ワタクシも参加したいですわ!」




「じゃあ買い出し行って、ウチで宴でもどうだ?」




「賛成!」





何はともあれ、晴れてブレイブになった4人はウキウキで帰っていった。






そして、オアディールでの新たな仲間も加えた女子会が、





始まろうとしていた。














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