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【Episode M:A Forged Past, Truth that Bleeds Through/贋作の過去、滲む真実】

<Chapter3> <43>


ユウキくんとのあの不可解な電話の後に気になって駅から出て、来た道を戻り、分かれ道からユウキくんの歩いて行った方に走る。その間も連絡を取ろうと思うが、繋がることも無く道を抜けて大通りに来てしまう。時間的に考えてもここまでの間だと思うが、ユウキくんどころか誰とも出会うこと無かった。


「ダメだ…遅かった…のかも…」


とりあえず、仕事の時間も差し迫っていたので、もう一度駅に向かう。その時に一通のメッセージが


【クロセさんへ 先ほどは、すいませんでした。とりあえず無事です。ただ、先ほどの話の内容はサクラさんへは秘密にしといてください。クロセさんには後日お話しますので、内密にお願いします。】


淡白な文章は間違いなく、ユウキくんだと思うのだが、サクラさんに秘密とは不思議だったが、もし、相手が“今のところ”危害を加えないが脅してるのであれば下手な行動は控えるべきだった。彼にも家族がいるのだから相手からの約束を守りたいのは当たり前。


短い文章で【了解】と送り、仕事に向かうのであった。もちろん今日もタロットも水晶も使わない占いが始まる。これは本格的に問題のような気がするのと、今日1日で得た情報を整理するので、こちらも問題が山積みだった。


仕事が終わったが、その間も連絡はなかった。家に帰ってサクラさんにもらった注意する場所を地図を眺めていると、気になる場所があった。×(バツ)印が集中的に重なって付いている所だった。何処かで見たことのある地区の名前だなと思い、部屋の隅に捨てようとしていた、適当に投下されるチラシの山を漁る。見つけてテンションがあがって、その時に棚に頭をぶつける。


「い、いったーいっ。あ、あったこれこれ。」


町外れで1度、急遽埋め立てられて新しい家が複数建つからとの入居案内のチラシ。そこにはモデルルーム見学会の文字が。


「サクラさんには、あー言われたけど調査ぐらいはいいよね。しかも見学会なら人も多いし、危険は少ないでしょ」


明日、仕事は休みなので朝からモデルルームの見学会の申し込みをして、昼過ぎの部に行くことにした。


翌日、参加者は自分を含めて10人ほどで若いカップルや夫婦…どうせ、私は1人ですよーっと。そんなひねくれた事を思い。5~7件の家が集まる区画に到着。そこには数十人の“灰の巡礼者”達が。住宅街には似合わないので、何故かと思いながら資料を目にすると、この地域が“塔の管理区域”になっていた。新都ならわかるのだがなぜこんな辺鄙へんぴな所に?と思いながら警備してる人に声をかける。


「すいません。どうして警備兵の方がこんなにもいらっしゃるのですか?」


もちろん言い方1つで、疑われたりするとサクラさんから言われてるので“灰の巡礼者”ではなく“警備兵”と言って質問をする。警備兵は目を合わすこと無く


「我々の管轄地域のため派遣されているので、特段理由はありません」


これは聞いても無駄かなーと思い、見学中に歩道を渡って隣の区画で掃除している人がいたので声をかける。


「こんにちは。そこの新しい家を見に来たんですけど、この辺りにお住まいですか?」


掃除をしていたおばあさんは手を止めて笑顔で応対してくれる


「そうですよ。私はこの家の隣に住んでるんですけど、最近までは静かだったんですけどね…」


「最近まで?警備兵が多いのと何か関係ありますか?」


「ここに住もうって考えている人に言うのも気が引けるんだけど、この近くの禁止区で怪物が暴れたみたいなのよ、しかもその怪物逃げたみたいで、捜索中らしいわよ。怖いわねぇ」


やっぱり、灰の巡礼者はノアスの件は隠しているみたいだった。けど、近隣の人に口止めするにも限界はある。まあ、確かにシェルター内は安全を謳っているのでおおやけには言えないのであろう。


おばあさんは祈るように


「でもまあ、彼らが見守っていてくれるおかげで、このシェルターは安全なのだから感謝はしなきゃよね〖あの塔が常に怪物を監視してくれている〗おかげで私たちは恐怖せずに済むもの」


2人で町外れからでも見える塔を見る。この距離でも確認出来るぐらいシェルターの中心にそびえている。世界の真実を知る私はあの塔が、全てのいつわりでニセモノあることも理解している。けど、この住人の大半はあざむかれていることは知らず、仮面の裏側を見ることが出来ず、騙されていることもわからない。


言っても前の私みたいに“理解されない”いや“理解出来ない”が正しい表現なのだろう。


「ありがとうございました。こちらに住むことが決まったら声かけますね」


そう言って私はおばあさんに、挨拶をして離れる。自分だけが知っていて、誰にも理解されないのがこんなに辛いものだとは思わなかった。


「私に話しかけていたサクラさんもこんな気持ちだったのかなぁ。だからあの時“理解できない”って言ったんだ…」


ふと足元にある汚れたチラシを見つけて手に取る。そこには前の地区の祭りの写真が載っていて、子供達が楽しそうにピースサインをカメラに向けていた。これは過去なのかもしれないけど、思い出に蓋をして無かったことにする、“灰の巡礼者”たちのやり方が私は嫌いになりそうだった。


「貴方達は本当に私たちの味方なの…?」


何だか気持ちのモヤモヤがチクチク刺さっているみたいだった。痛くは無いのだが、私は胸のアザを自然と押さえていたのであった。


あれから数日、特に得るものもなく日常を過ごす。


連絡をチェックしても変化無し。ユウキくんはあの連絡以降、音信不通でサクラさんにも確認の連絡をいれているがあれから音沙汰なし。ため息をついてデバイスを置こうとした時に着信が。慌ててデバイスを見るとサクラさんの文字がディスプレイに表示されていた。慌てて出ると


「クロセさん、夜分遅くにすいません。別用で数日空けていました。内容が気になってユウキくんに確認しようと思ったのですが数日前に店を出てから戻っていませんでした。“存在はある”ので心配はしていなかったのですが、先ほど“彼の存在”がロストしました…彼どころか、カルマス、カテナ行方不明です。」


スタッフには「自分も人と会う予定なんで行ってきます。すぐ帰ると思いますのでよろしくお願いします」と言ってたとのこと


私は絶句した。ただ連絡後にサクラさんとは入れ違いとは言え、戻っていたのであれば何も無かったのは確実なのだが、その後自身の意思で出掛けている。会う人が言っていたヴォルガなら、なぜその日に誘拐をしなかったのかがわからない。サクラさんは声のトーンを落として


「失念していました。カテナがある以上、探知は可能ですし、“彼らが”直接手を下さないであろうと思い違いをしていました。思っている以上に彼らはユウキくんを危険視していたのですね」


「サクラさん、待ってください。その“彼ら”ってまさか…」


「はい“クレア・アグニ”は組織の一員ですし、今確実にカルマスを“消す”ことができるのは2人しか目覚めてません。そして灰の巡礼者と関係のあるのは、このシェルターの“統制者”だけです」


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