表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

【Episode T :The Rain Knows No Logic/雨に理屈は通じない】

<Chapter3> <37>


間一髪のとっさの判断で、朽ちて倒れた木の後ろに隠れる。肩口からは血が流れている。獣の声が聞こえて振り向き様に一撃を貰ってしまった。


情報屋アラレの写真に出てきた巨大なライオンの怪物。二足歩行をしてるライオンで至るところに銀色の結晶みたいなのが張り付いている。異形の化け物であるが、ツカサにはそれが“ノアス”であると確信が持てた。写真ではわからない事が目の前にすると何故か確信がでる。


「だからと言って、ノアスだとわかったとて、対処をどうするかが問題なんだよな。」


ツカサが独り言を呟くと、あと数センチずれていたら、頭が吹っ飛ぶぐらいの勢いで隠れていた木が横に真っ二つに切り落とされる。間一髪なところでギリギリセーフ。ノアスは「グルルル」と声をあげながら突進してくる。それをまた、寸前のところで躱して隠れるを繰り返す。


「っぶなー。この状況“ライオンの尾を踏む”だな。アイツ、明らかにこちらを認識して襲ってきてる」


すると何処からともなく声がする


(それを言うなら“虎の尾を踏む”だな、相棒。まあライオンの尾を踏んでも結果は同じで襲われることに変わりはないから、意味は一緒だな)


「は?急に声が聞こえるぞ?」


ツカサは周りを見るが誰もいない。あのノアスはキョロキョロしながら俺を探してる感じだった。声の主はわからないが何処かで聞いたことのある声だった、声を小さくして


「おい、誰かわからないけど。チカラ貸してくれよ」


聞こえるかはわからないが、こそこそ話しかける。すると聞こえてるのか声の主は


(おいおい、つれないなー。せっかくこの前、助けてやったのに…まあ、俺と会った時は“狭間”にいたからな。とゆうかお前、現実でも今まさに、生と死の狭間やけどな)


声の主はそう言って笑っている。会った時?生と死の狭間?


「あっ!この声!“星屑ほしくず”無理やり接種させられた時に会った夢の主か!」


(夢の主って…ったくよー。ちったー感謝しろよな。俺が居たから良かったものの、普通のヤツがアレをあんだけ接種したら人格が消滅するぜ)


「とりあえず、聞きたいことは山ほどあるんだが、アイツを何とかしないと考えることも聞きたいことも理解できない」


ライオンの異形は怒り狂って、鋭い爪が辺りの木々にキズを付けていく。このままだと見つかったら、木々と同じようにキズだらけにされてしまう…


「よくわからないけど、手を貸せ!夢の主なら俺がここで倒れたら困るんだろう?」


声の主は「クククッ」と笑って姿は相変わらず見えないが耳元で声がする


(やっぱあんたはいいね。いいぜ、チカラを貸してやるよ。けど“命の保証”は出来ないぜ)


その声が聞こえた直後、脚が軽くなる。いや軽くなると言うより、跳躍力が上がって、ひとっ飛びで2メートルぐらい跳び跳ねる。


「うわぁぁぁ、かなり跳んで避けれるけど、コントロールが難しい。アイスバーン上の車の運転みたいだ」


特異な能力があっても訓練や説明書などが、ない状態だとコントロールが上手く行かない。すると声の主が


(ったくよー。チカラを貸せだの、コントロールができねーとか文句が多いんだよ。そもそも“お前の能力”なんだから“出来ない”ってことは無いんだぜ。イメージしろよ)


その言葉でイメージをしなおす。跳躍して身体のバランスが悪くなるのは跳躍の踏み込みが悪い。着地時によろけるのは着地の時に場所を決めてないからだ。とイメージしてノアスの爪を避けながら、跳躍・着地をこなす。


先程まで身体がグラグラしてがイメージをし始めると途端に安定しだして、ギリギリではなく楽々とノアスの攻撃を躱せるようになってきた。足の裏にバネが入ったような感覚。ふと、足を見てみると昆虫の後ろ足みたいに変化していた。


「気持ちわるっ!何だこれは!?」


(気持ち悪いは言い過ぎだろう!お前のイメージがそうさせたんだろうがよ。まあ、お前の持つカルマスも、関係はあるが…)


ちょっと怒ってる感じだったが声の主はサポートしてくれるみたいだったので、遠慮無く聞く。


「おい、これからどうする?逃げ回っても被害は増えるし、無関係の人を巻き込みたくない。どうしたらいい?」


逃げ回るのも、逃げ切ることも。この能力があれば余裕だがこんな化物を放置は出来ない。すると声の主は


(なら、ここから南西に向かったら細い裏路地があるからそこで仕留めるぞ。あと決め手にはならないが、脚力が向上してるから木を蹴って反動で一撃加えたら少しのダメージは与えれる。)


簡単言ってくれるが、地面を蹴って跳ねることはスキップと似ている。それの跳躍力が向上していると思ったら扱いやすいかも。


スキップする時に着地も考える、それを繰り返していると、跳べる範囲、跳べる距離を直ぐにコントロール出来るようになる。その間もノアスの爪は自分を狙ってくるがカスリもしない。


「なるほどな、これはいいな。これなら潜入も、お手のもん…だーぜっ!」


そう言いながら空中で体勢を変えて、木を蹴って反動でノアスの頭に蹴りの一撃を加える。強烈な一撃になりノアスは咆哮のような声をあげて倒れこむ。華麗な着地も様になりつつあり


「どうよ?いい感じじゃね?これは昔テレビで見たヒーローっぽくないか?」


(ふんっ、調子乗んな。俺のサポートがねーと、何も出来んくせに)


「何かお前、“ヨモギ”みたいだな。悪態つくのに、ちゃんとサポートしてくれる」


(そらそーだろ。“俺たちの存在は無形で、モナントのお前たちと触れることで、形になって固まって形成されるから”俺たちは最終的にお前たちと同じ存在になるんだよ。)


「ん?それ、どーゆう意味だっ!あぶっねー」


考え事をしようとした時に倒れていたノアスが勢いよく起き上がり突進してきた。間一髪で上に跳躍して避ける。まあ、考えるのは後だな、アイツもキレて周りが見えてないみたいなんで、このまま放置すると被害が出そうだから何とかしないと。


(とりあえず裏路地に向かうぞ)


「了解!まかせとけ」


木に跳び移り、石垣を避けながら走る。その後を頭に血がのぼっているのだろうノアスが、口を大きく開けて牙を剥き出し、ヨダレを垂らしながら追いかけてくる。捕まれば一撃でアウトなんだと思うが、今の自分では捕まる気がしない。もちろん裏路地とは言え、他の人と接触する危険性があるのだが…


「おい!そろそろ裏路地に着くぞ。誰もいないから都合は良いけど…」


(なら地面に降りて走るんだ。アイツにも路地の通路を歩かせろ。)


訳がわからなかったが、跳び跳ねをやめて路地に向かって走り出す。跳躍力強化のお陰で、走るのもスピードが出る。咆哮を上げながらノアスが路地に入って走ってくる。数メートルの所で直角に曲がる道があり、そこを左に曲がるように身体を捻る。


(よし、そこの突き当たりのT字路でケリをつけるぞ。左に曲がると同時に左足を地面に付けたまま、一回転して回し蹴りのイメージで右足を突き当たりの壁に向けて蹴りを入れろ)


「おいおい、そんなことしたら、俺の脚が壁にめり込むぞ」


そんなこと言っても考えてる時間はなく、言われるがまま曲がる瞬間に左足を前に出して急ブレーキのように踏ん張って、右足を左の上に流れるように身体を捻る。自然と駒のような動きになり回転力とパワーが上がる。


すると、蹴りよりも先に突進してきたノアスが勢いを落とせず、俺の身体を掴めずに、バランスを崩してT字路に頭からコンクリート塀に突っ込む。


それに追撃を食らわすかのように一周回った俺の蹴りがノアスの後頭部にクリーンヒットする。頭に当たる瞬間に異形の足の間接の隙間からバイクのマフラーのように“緑色”の煙を吐いてスピードを上げていたので塀にめり込んでいた頭を砕くことになった。


ドンッ!


気がつけばノアスの“頭があった場所の足を下ろすと”そこに頭が無く、支えが無くなったので身体がそのまま塀にズルズルもたれていく。気がつけば足は元の戻っており、当たりは真っ赤に染まっていた。


「これ、俺がやったのか…?」


自分したことに違いはないのだが、光景があまりにも現実とかけ離れていて実感がわかない。この光景をどうしようかと思っていたら、頭を失ったノアスが陶器のように砕けて銀の欠片になっていく。路地に散乱した赤い血痕も銀の粒子になって消えていく…その粒子が自分の足と言うか、アザに吸い込まれていく


「おい、どうなってるんだ?身体に入ってきてるけど大丈夫なのか?」


(あ?そうか、知らなかったんだったか。そらぁ形を作っていた“器”がなくなったら消えるのは当たり前だろ。それに近くに受け入れられる器があれば新たに吸い込まれるのは当たり前だろうよ)


だめだ、さっきもそうだけど言っていることが全くわからん。ただ自分の中に“セイナス”が入ってくる事によってキズついた場所はみるみる治っていく。すると声の主が


(まあ、とりあえず。初戦闘お疲れ&勝利おめでとう。)


結局、数分もせずに血痕やら、ノアスの遺体など消えてしまって跡形もない。ただ…ブロック塀の穴やノアスが暴れて傷つけた木や道路には痕跡が残り、嵐が過ぎ去ったような光景だけが残されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ