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???

<Chapter?> <???> 


皮ジャケットの男が神社の鳥居の前に立っている。参拝にふさわしい格好など無いが、全身皮のコーディネートで異様と言えば異様なんだと思う。男はため息をつきながら


「トウセイシャ様も人使い荒いぜ。“アレ”を探すだけでわざわざ俺様が“下”に降りて出向かないととか、全く意味がわからん。こんなこと、“灰の”やつらに探させればいいだろうに」


こんな辺鄙へんぴな場所に“アレ”があるとは考えにくいし、“ヴォルガ”である自分が行く必要があるのかが疑問であった。


「血の匂いもしないし、面白くなさそうだからちゃっちゃと終わらして、“灰の”奴ら数人捕まえてボコボコにでもするかな…」


~数時間前~


「何か用か、トウセイシャ様よぉ」


広間の玉座に座る少年が男を見下ろす。ただ、呼ばれた男は見上げるも、玉座の少年に何の敬意も示す素振りもない。


「ごめんね。君を呼んだのは、この場所に行ってきてほしいんだ。」


そう言うと銀の結晶が少年の手の動きに合わせて動き集合していく。それが集まってモニターのようになる。そこに映るのは新都から少し離れた所にある古びた神社だった。


「そこの神の供物に“カルマス”があるかもと報告を受けたんだ。だから君に見てきてほしい。それに巷では“黒いナニカ”が現れているらしいから調査もかねてかな?」


「“黒い”の調査って定例会議後に“キョウジ”の所の女に行かせるんじゃねーのかよ」


「先に君が有益な情報を確保してきたら彼女を派遣する必要はないんだけどね」


「何で俺様が“出来そこない”の為に動かないといけねーんだよ、馬鹿馬鹿しい。」


玉座の少年はため息をついて


「まず、そもそもその神社のカルマスが“君の”の可能性もあるし、彼女は偵察後に“灰の巡礼者”に合流してもらうように“カイト”に手続きをしてもらってる。だから、あまり目立つ行動をさせたくないんだ。君のカルマスなら君が持っても文句和言わないし、“違う者”のカルマスなら好きにするのも良しだよ」


「ふんっ、まあいいぜ。お前の口車に、乗ってやるぜ。ただし、気分が変わったとかは無しだぜ。」


玉座の少年は笑顔で


「もちろんだよ。君を信用してるから心配はないね…“ジン”。」


そんなひと悶着のあと、渋々やってきたのであった。ただ間違いなくハズレくじを引かされていた。人通りもない、古びた神社、境内は荒れ果てていて、供物なんて残っていないだろうと一目見てわかる感じだった。挙げ句に数時間後には幹部の定例会議。引き上げて帰らないといけないというハードスケジュール。


「ダメだ、痕跡どころか何もないな。帰るか…」


すると辺りが急に霧に包まれる。明らかに雰囲気が変わり、男も身構える。手のひらを握る動作をすれば両手に緑色の光を放って手の中に片手鎌が現れて即座に握る。


「なんだ、この妙な気配は…」


ガチャン…ガチャン…ガチャン。


煙の中から黒い西洋の甲冑が現れる。甲冑からは黒い煙が吹き出していた。それを見た男は驚愕する。


「な…なんで“お前”が生きてるんだ…。まさか、最近の一連の異常事態はお前が…」


「◼️◼️◼️◼️ァガッ◼️◼️◼️◼️ー」


悲鳴のような咆哮のような声を上げる。大気は震え、生き物の存在をかき消される。神社全体の空間が歪み結界のようなのが現れる。


「おいおい…これは流石に想定してなかったが…まあ、なんでもいい。面白いじゃねーか!“あの時”はお前と直接やり合うことなんて無かったから。ちょっと相手しろよ!」


聞こえているかは定かでは無かったが、言い終わると同時に甲冑は走り出す。両手を広げて覆い被さるのような形で襲ってくる。


「はっ!獣みたいな動きだな!その程度ならノアスのほうがましだぜ」


そう言って両手の鎌を逆手に持ち振り下ろす両手のひらに刃を刺す。理性のある生き物のであればこの時点で勢いは落ちるのだが、甲冑はその手のひらを貫いた鎌を握り相手の行動を制する。グッと固定され一瞬の動きが止まった所に甲冑の口元が割れて獣のような無数の牙が現れて皮ジャケットの男の肩口を噛み千切る。激痛を感じた瞬間に持っている手を離して甲冑の胴体に蹴りを食らわせる。


「くそがぁよ!デタラメな戦いだな!」


肩口を抑えると、傷口から出血しているのだが血ではなく陶器が割れたように銀色の結晶が溢れ落ちていた。


「えらく、獣に成り下がったんだなぁ。理論で俺様を制してた“あの頃”とはえらい違いだな。だがよ、戦いはここからだぜ」


身体を前傾にして、背中を上に突き出すような仕草をしてチカラを込めると背中から無数のムカデのような6本の爪が現れる。蜘蛛のヒーローとは違うような禍々しさである


「さあ、喰らいな」


そう言って距離を取っていたが甲冑の懐に潜り込んで一斉に背中の爪を全方向から向かわせる。ただ…


甲冑は急に先ほどの獣のような動きではなく両手、両足で爪をかすらないように最小の動きで全ての爪をなぎ払い、手刀で爪を切り落とし、全ての攻撃をカスること無く終わらせる。皮ジャケットの男は呆気にとられたその刹那。払い落としの為に頭上に上げていた左腕の拳を握り、腰の元に持ってきて腰の軸を起点に皮ジャケットの男の腹部に強烈な一撃を加える。


【◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️】


言葉は何を言ったのかわからないが腹部に届く瞬間、電気のような光が走り、皮ジャケットの腹部を貫く。


「ガッ…てめぇ…」


まさか、自分の爪が叩き落とされると思ってなかった事に反応出来ずにカウンターをもらってしまい。遅れをとってしまった事に後悔がよぎる。


即座に手の中に鎌を生成して甲冑の肩口に差し込む。ダメージ量は違うがお互いにもらったので距離を取る。ただ、皮ジャケットの男は腹部から止めどない量の出血をしている。


甲冑も肩口から結晶が溢れているが殆どかすり傷だった。しかも手の中に光るものを握ってた。


「お、お前…俺の…」


皮ジャケットの男が膝をついて肩で息をしていて甲冑を睨む。その甲冑の手には緑色の結晶が握られていた。それを即座に甲冑の割れた口元に持っていき飲み込む。甲冑の身体は光、咆哮を上げる。


「◼️◼️◼️ァァァ◼️◼️◼️ァ―」


「俺のを取り込むとかイカれてる…コイツ本当に“ヤツ”なのか…?盗られた分…これじゃ釣り合いが取れねぇがここはこれ以上は分が悪すぎる…」


皮ジャケットの男は甲冑のキズから落ちた銀の結晶を掴み、放心状態なのか動かない甲冑の隙をついて離脱する。


「ゆるさねぇ…このままでは終わらせない…必ずオトシマエつけさせる…」


貫かれた腹部を押さえて、塔に向かう。




(???)


大きな扉が開く、開けた扉の音が大きく、先に来ていた者達の注目の的になる。そこに座っていた金髪の男が声をかける。


「遅いですよ“カイト”。集合は0時だったじゃないですか?それに統制者様も一緒に遅れて登場とは定例会議の意味がありません。」


統制者と呼ばれた少年は笑顔で


「ごめんごめん。調整に時間がかかってしまって…。遅くなってごめんね。君が彼の新しい部下かい?」


金髪の男の隣に立つ女性が強ばったように挨拶をする。彼女自身は普段は緊張とは無縁に生活をしていたし、ある程度の緊張の場面は潜り抜けてきているのだが、目の前の年端のいかない青年から感じる“生き物としての根元を脅かす恐怖”を纏う少年に萎縮してしまっていた。


コチラ側に来て数年、数々の死線を潜り抜けてきている彼女ですら、立っているのがやっとであった。


(ダメだ…格が違いすぎる…)


「…は、はい。謁見を…感謝…いたします。統制者様。」


統制者の隣いた神父の服装の男が目の前に立ち。


「流石にこの距離では“普通”は辛いね。少し離れていいよ。統制者もお席にお願いします。」


神父の男が2人を誘導する。立ったままだと可哀想とのことで急に呼ばれた女性が幹部の円卓に座らされる。


(それはそれで、恐れ多いんだけど…)


統制者と呼ばれた者は数段上の玉座に座る。後方に控えているのは“灰の巡礼者”の部隊長。シェルター管理部門の責任者などこのシエルターを影から支えるメンバーのおさが集結している。


神父の男が回りを見渡すと幹部の席の空席に気付く。元々急遽呼ばれた女性は別で席は6席。3席空く予定だが追加しても1人足らない。


「あれ?“ジン”はいないのですか?」


金髪の男が


「統制者の指示で出向いてると聞いてますが?もう、お戻りですか?」


「うん。僕のお願いで少し出てもらってる。直ぐに戻るとは思うよ」


神父の男が手を円卓にかざして起動させる。


「じゃあ、一旦始めましょうか。定例会議を。外周部の話はジンが来てからにするとして、施設内管理部門の報告からお願いします。」


すると、円卓に座っていた金髪の男が立ち上がり、起動したテーブルに銀の結晶を投げ入れる。するとモニターに資料が表示される。


「まず、シェルター内の破損報告ですが、今のところ発見されていません。近年のノアスの増加、不穏分子の侵入、住民への違法薬物の蔓延。全てに置いて不明です。シェルターの管理面での不具合で侵入を許したのかと思ったのですがこの線は無くなりました。管理が行き届いて無い部分に再度メスを入れて確認をしています。」


「“灰の巡礼者”の部隊長にも指示済みですが、管理部門から1人派遣します。」


そう言うと金髪の男は隣に座っている女性を立たせる。男が話し終えたのを見て神父の男が立って説明をする。


「管理部門から連絡があったように、彼女を一時的に“灰の巡礼者”に迎え入れて、部隊長と共に行動してもらいます。意見は出ると思いますが、部隊長、その旨よろしくお願います」


後列に座っていた部隊長が立ち上がり敬礼を行う。神父は続けて


「警備部隊からの報告では、天蓋てんがいの崩壊からノアスが活発になっているとの報告、住人が住む中心地でもノアスの確認がされています。管理部門からの報告を統合すると、明らかに“内部から招いている”のではないかと疑っています。引き続き調査中ですが、行方不明である“2人”が関係しているのも視野に入れても良いかと…」


それを聞くと玉座の少年は頭を押さえてため息をする。続けて神父は


「あと、“例のカルマス”と“鍵のカルマス”ですがこちらはまだ見つかっておりません。引き続き、調査を行います。」


その後も各部門の長から連絡を集めて、会議が進行していた時大きな音と共に扉が開く。


バンッ


「おい!どーなってたんだよ!“アイツ”が生きていたなんて聞いてないぞ!」


皮ジャケットの男が血まみれで会議中に入ってくる。おさ達も流石にその光景に驚き、会場がざわつく。それを見た神父が慌てて


「何をしてるんですか!“モナント”も居るのにそんな状態で!一旦待機室で手当てするので来てください!」


会議は一旦中止になり、再開したのは1時間後になった。改めて皮ジャケットの男も円卓に座り(テーブルに足を乗せているので正しい座り方ではないが)会議が再開する。不思議なことに、先ほどまで血塗れ瀕死だったのに皮ジャケットの男は何事も無かったかのように座っている。スッとダルそうに手を上げる


「とりあえず、俺様から話すぜ。シェルター外のノアスは変化はない。けど、シェルター内が異常に増えているのは確かだ。意味はわからなかったが、納得がいったことが1つ。甲冑を纏ったヤツが裏で操ってる可能性が出てきた。」


会場がざわつく。ただ、円卓のテーブルの者たちは驚いていないように思える。


「続けるぜ、実際に接触しただけで、ノアスを操ってるのは見てないがアイツの纏う、瘴気がノアスを呼び寄せている可能性も出てきた。この辺は管理部門とまた擦り合わせて、報告書を作るから確認してくれ」


「それ以上に厄介なのは甲冑自身の強さだ。俺様があーなったのはアイツのせいで、殆ど手も足も出てねぇ。クソ腹立たしいがな…ということは、円卓のメンバーで同等、もしくはそれ以上と考えても問題ねぇ。“灰の”メンバー如きでは太刀打ち出来ない。何かしらの対策、強化は考える必要なのは明白だ」


それを聞いた金髪の男は立ち上がり


「でしたら以前作成した、装着型の案はどうでしょうか?良ければ継続いたしますが?」


玉座の少年はうなずく。それを聞いた皮ジャケットの男は


「確かにな、前の銃型の“ラストなんとか”のに比べると所有者の技量はかんけーねぇからな。そういや、アレ今誰が持ってるんだ?」


「うちの隊で元々の所有者の親友が適合したので所持させてます」


神父は座ったまま資料を表示させる。皮ジャケットの男が


「このレベルの適合率じゃ話しにならねーな。それにある程度の数も確保する必要があるからな」


「ならば、君をのいくつか提出頂いてもいいんですよ?ああ、減ってしまったのでもう無いんでしたか?」


金髪の男が嘲笑うかのように挑発をする。すると皮ジャケットの男が殺意を放ち、チカラを込めて円卓を叩く。円卓の上の銀のコップが振動で浮き上がる。


「てめぇ…“キョウジ”…よほど消されたいらしいなぁ。てめぇのを全部“灰の”やつらに配ってやろうか!」


「やめなさい。2人とも“相変わらず仲が悪すぎます”少しはお互いに協力をしなさい」


神父が立ち上がり横に手を広げてこれ以上の言い合いを制する。


「たく…続けますよ。武器化の案は継続ですが、人体実験は倫理的に禁止されているので注意してください。適合者は“灰の巡礼者”から私が選抜するので問題はないでしょう。あと、黒いカルマスのようなナニカですが、まだ不明なままで調査中です。今日来てもらった彼女から発見の報告を聞いたのですが、勘違いでカルマスだったと聞いてます」


神父はポケットよりカルマスを円卓に置く。


「それが何かがわからない以上、警戒に越したことはありません。甲冑もそうですがノアスの動きも異常なので引き続き警戒を続けてください。話が纏まったので、一旦閉会としましょう。」


~~ ~


統制者もメンバーも誰もいなくなった円卓で1人、男が席に座っている。議題に出ていた回収したカルマスが置いてあり、結晶を転がしながら天井を見る。ガラス張りで空の割れた穴が近くで見ることができる。


「これは明らかに、“完成されたもの”ですね。歴代の模造品とは明らかに違う。完成品ではないが限りなく完成に近い。…ことわりがシステムが…まあ、いいでしょう。必ず“貴方”を引きずり下ろします。そして、その“席”は私が頂きますよ。神様気取りで傍観者をしている貴方には万が一の奇跡なんて起きないと思っているでしょうが…」


結晶を握り、割れた穴の先に向けて手をかざす。


「貴方が深淵しんえんを覗いているとういことは、深淵が貴方の手の届くところにいると言うことを忘れなきように」



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