第2章1話
私の名前はkuvaどこにでもいる学生である。
夢のような出来事を体験してから早数年、私も大学生になった。
ゲームは昔ほどやってはいないが、流行りのスマホゲームをインストールをして少しやっては飽きてを繰り返している。
これと言って面白い物もないのだが、何もせずにボーっと生活するには味気なく、日々何かを模索している。。
そういえば、あれは今どうなってるんだろう。
あれとは、以前に私がみたんになってしまった世界を舞台にしたオンラインゲームだ。
まだ運営は息をしているみたいだな。
今更プレイする気もなくてアンインストールしてしまったゲームを思い返すのは、私も年を取ったのだろうか。
いやいや、私はまだ学生なのでそれほど遠い昔じゃない。
しかし、気になって調べてみると今は何周年かの節目らしい。
イベントもやっているのか・・・そうか・・・やってみるか、久しぶりに。
あいつらは今も生存しているのだろうか。
というかストーリーの内容なんて覚えてはいないけど、相も変わらず同じことの繰り返しかもしれないな。
何であれほど寝る時間を削ってまでプレイしていたのか不思議だ。
いや、熱中するということは他の何かを犠牲にしても惜しくないので不登校になったんだろうな。
パソコーンの電源を入れインストール。
長すぎるアプデートに気が変わって消してやろうかと思ったけど、何か分からない心の底にあるワクワク感が蘇ってきた。
この感じ、悪くない。
逸る気持ちは発売日を待ちわびる子供のように、ダウンロードの数値をカウントするのであった。
kuva「お酒でも飲むか」
成人になった私は慣れないお酒を嗜むようになっていた。
まだ好みは分からず、売っている安い酒がどんなものかと試している最中だ。
カルーアミルク・・・コーヒーリキュールを牛乳で割ったものだが、コーヒー牛乳のようで美味しい。
カルーアモカ、牛乳で割って飲んでるけど通常のカルーアよりも苦めかな。
なんだかんだで気に入ってるんだなこれ。
kuva「よし、アップデート完了。早速プレイじゃ!」
ぽちっとな。
左クリックを連打し、パスワードを入力する。
もちろんワンタイムパスは導入済だ。
おお、懐かしの我がゲーム!
広大なマップに感動を覚える。
ああ、そうだ、この景色、あの頃と何の変りもない。
数年で変わるわけもない・・・。
うっ・・・お酒を飲み過ぎて頭が痛い!
カルーアミルクは飲みやすがアルコール度数が極めて高いのでお酒を覚えたてに人たちは2杯くらい飲めば頭がまわってしまうほどなのである。
まさか、ログインしたところで寝落ちしてしまうなんて。
・・・だめだ・・・眠い・・・
運命の女神「また、お会いしましたね」
kuva「ん?あんたは・・・誰だ?」
運命の女神「私は運命の女神、あなたのお父さんです」
kuva「いや違うだろ、違うだろ!」
運命の女神「あなたは急性アルコール中毒で死んでしまいました。しかしそれではあまりにもどうしようもないのでこうしてここに私がいます」
kuva「死んだ?俺が?」
運命の女神「そうです。私の独断ですが、これからあなたは別の世界で新たな生活を送ることになるでしょう。何をやってもつまらなかった世界との決別になってしまいますが」
kuva「え・・・・まぁ・・・って、今すんごく楽しいんですけど。未練たらたらですやん」
運命の女神「それでは早速、この扉の外へ向かってください。そこがあなたの新しい世界です」
kuva「いや、いきなりすぎるだろ。どうしてこうなるんだよ。俺とお前の仲なじゃいか。生き返らせてよ」
そう答えたkuvaだったが、運命の女神の「新しい世界で生きろ」の言葉と足蹴で扉に頭を打ち付けながら中へ入っていった。
kuvaが目が覚めると見知らぬ天井があった。
kuva「あれ?ここは?俺の部屋じゃないのか?痛っ」
頭の痛みはあるようだ。
それにしてもここはどこなんだ?
立ち上がり見回すが見たこともない場所だった。
いや、見たことある。ここはとあるゲームの中にあるマイルームと瓜二つなのだ。
kuva「え?これ?夢?」
夢じゃない・・・どうして?
思い出せる。
あの運命の女神の野郎、またこんな世界に連れてきやがってふざけるんじゃねーよ。。
怒れる気持ちを抑えきれなかったが、冷静になろう努力した。
よく考えてみよう。
俺はここに来ることを心の底では望んでいたのではないか?
あの最後の会話からずいぶんと時間が経ってしまった。
kuva「落ち着け俺、まずははトイレで出すもの出さないとな、トイレはどこだ?」
・・・無いな。
お、鏡はある。
鏡に映った姿を見たkuvaであるが、その姿は高校生の姿ではなく長い髪をした女の子の姿をしていた。
「なっ・・・」
待て待て、俺がこんな姿をしているわけじゃないだろ、夢だ、これは夢。
言い聞かせるも夢から覚めることはなく、その姿のままだった。
混乱したが、少し冷静になってきた。
鏡をよく見ていたら自分の姿をどこかで見たことのあるキャラクターとそっくりなことを発見した。
kuva「よくみたら俺、ゆいPだよな、かるーあモカの元マスターの」
そうなのだ、俺はかるーあモカの元マスターのゆいPになっていたのだ!
kuva「どうせならショートカットで眼鏡キャラのほうが良かったな・・・もちろん赤い髪で!」
そう思うkuvaであった。
kuva「え?今度はゆいPなの?訳分からん」
※某芸能人とは関係ありません
長い沈黙の中突如復活した不死鳥フェニックスと呼ばれたゆいPはかるーあモカの元チームマスターなのである。
みたんとはリアルフレンドで叱咤激励する仲なのは言うまでもない。
今度はみたんではなくゆいPになってしまったkuvaは戸惑っていた。
たしかにこの世界に戻ってきたかったさ、でもみたんじゃないのはどうしてだろう。
1回みたんになってしまって、それから分かれて、成程、2度目は無いということか。
だからと言ってゆいPとはこれまた極端だなぁ。もちのろん、kuvaでもないのだ。
kuva「現状を整理しないと」
心で呟いたkuvaは鏡の前で顔を触り確かめている。
やはりみたんではなくゆいPなのだ。
俺はみたんであってゆいPであるkuvaだ。
ややこしやー。
統一してくれてばいいのに南北朝鮮みたいにな。
あぁ・・・それは無理だったわ。
kuva「仕方ない、とりあえず情報収集するかなぁ」
こうなってはどうしようもないと、諦めたkuvaは扉を開け町に繰り出した。
ティア「マジか、ゆいP復活ワロタ」
ログインアラームで駆け付けたティアが開口一番言い放つ。
いやいや、俺はみたんだろ!あ、ゆいPか。ややこしい!
生半可にみたんになっていたせいで自らがゆいPだと認識できない。
ティア「みんなを呼ぼうっとwマジ本物w」
ティアの呼び出しによってチームメンバーがぞろぞろとやってきた。
冷ややかな視線を浴びるかと思っていたが、そうではなく「やっと戻ってきた」という人が大半であった。
ウーノ「オヒサシブリデスゆいPサン」
最終兵器の機械生命体であるウーノがとことこと歩みでた。
そういえばこの冷却水飲んでもふもふ化したんだよな。
いつもあの時を思い出すが、もふもふ化してから解決するまでの間は夢のようだった。
キセキと言っても過言ではない、そしていつもの生活を取り戻して今に至る。
至った先にまた同じ世界に戻ってくるなんてあまりにも予想外である。
ディア「ケツが小さいなぁ。もうちょっとでかくしようぜ」
ナナリー「ミルクティーでも飲みますンゴ?」
ポン「復活そうそうあれですけど、今なら1万円課金すれば一生涯無料のお食事券貰えますよ」
※生涯無料券で話題になった令和納豆は現在閉店しています。
kuvaことゆいP「どこの納豆屋だよ。胡散臭くて返金作業してるって話だわ」
ポン「へぇ、やっぱりゆいPさんは物知りですね」
ディア「モノ、シリはいいぞ」
ポン「ディアさんはモノシリ博士ですね」
世間話も早々切り上げ町中を歩き回る。
ああ、変わらないな、この世界は。
いや、ちょっとまて、なんでもふもふな奴らがいるんだ?
またあの出来事がフラッシュバックしてくる、そんな、また同じことの繰り返しなのか?
よろめきながら歩いているとドンっ、と後ろから歩いていた人にぶつかってしまった。
モモンガ「あ、ごめんなさいトナ」
kuvaことゆいP「え?モモンガ?」
モモンガ「ん?おほ!ゆいPさんじゃないですかトナー。生きていたとは」
勝手に殺すなし、まぁ聞くには丁度いい人物に出会ったものだ。
ゆいP「その姿はどうしたんだ?」
モモンガ「あ、これ?気になっちゃう?気になっちゃうんでトナー?」
ゆいP「はよ教えてよ」
モモンガ「話せば長くなるトナーよ」
モモンガが話し始めて早1時間が経過した。
長かったので要約する。
国の制度が変更になり、獣人としての生活を選べることになったという。
見回してみると、なるほど、確かに数人の獣人が行き来している。
うーむ、あのゲームの運営が前作転みたのバグ(もふもふ化してしまう現象)を公式として取り入れ、ケモナー(もふもふ)の住民権を実装したのかな。
多様化を予め実装してくれていれば前作のようにならなかったはず。
でも今では浸透しているので強制的な事柄にはなっていないようだ。
うーむ、今回はのんびり生活できるのかなこの世界で。
まな「あ、ゆいPさん発見!珍しい人に遭遇したわww」
ゆいP「まなちゃんも最早珍しい人になったと思うけどね」
まな「へへっ。今だけですよ」
懐かしい顔に出会えなんだか心がほぐれてしまったが、現状の理解には程遠い。
何をして過ごせばいいのかさっぱり分からないのだが。
前作のみたんはどこにいるんだ?
いたとしてもどう接していいのやら。
あの時出会ったあの人は今どうしているのだろう。
もう少しこの町を歩いてみないと分からないのだろう。
五十鈴「あ、ゆいPさんは伝説の鳥を探しには行かないんですか?」
急に問いかけられたが答えを用意していなかった。
ゆいP「伝説の鳥?」
五十鈴「そう、伝説の鳥です。探し出すと幸せになれるって専らの噂ですよ」
伝説は専らの噂、噂であれば食いつく必要はないのだ。
が、頭の中で運命の女神が囁いている。
運命の女神「伝説の鳥を探しに行きなさい」
何度も何度も、探しに行けと頭のを攻撃するような言葉は、そうせざるを得ない状況にしているのだ。
ゆいP「分かった、その伝説の鳥とやらを探せばいいんだな?」
五十鈴「さすがゆいPさん」
そういうことで伝説の鳥を探す旅に出ることになった。
流石に一人では無理なので3人、いや4人パーティを組まないといけないだろう。
モモンガ「あ、私は別のパーティで行くんで。アイルビーバック!」
右手親指を突き出したモモンガはささっと去っていった。
いきなり難易度高いなぁ。でも前回よりはマシか。
ゆいP「とりあえず酒場かギルドに行って情報収集だな。町中じゃ何も得られやしない」
てくてくと見慣れぬ町を歩いているとギルドっぽい看板がある店を発見したので入ろうとした。
ん?開いてない?いや、中から声が聞こえているぞ。
とりあえずノックしてみるか。コンコン。
音に気付いたのか、声が聞こえなくなり足音が近づいてくるのが分かった。
もう一度ノックだ。コンコン。
中の人「入ってます」
ゆいP「トイレかよ!」
中の人「あ、出てます」
ゆいP「出てる?何が!?え?実が?」
中の人「・・・合言葉を言え」
ゆいP「合言葉?」
中の人「知らないなら帰りな」
ゆいP「知らない」
うーん、こ まったぞ。
合言葉はどこで入手できるんだ。
他の場所に行ってみるか、次は酒場だ。
よし、酒場は開いてるわ。
ゆいP「マスター酒をくれ」
店主「はいよ、テキーラ一丁」
いや、お酒初心者にテキーラはハードル高くない?
まだお酒を嗜む程度の人間よ?まずはジュースみたいなお酒が良いわね。
そうだな、カシスオレンジなんかがオススメかな。
謎の人物「マスター、この子はまだ子供じゃないですか。別のにしたらどうです?」
ビールのピッチャー片手にチーズ牛丼と山盛りのからあげをつまんでいる飲んだくれた男が呟いた。
ゆいP「うん、オシャンティなのプリーズ」
謎の人物「だったらここはカルーアミルクなんてどうですかね?」
カルーアミルクという言葉にハッとしたゆいP。
そうだよ、「かるーあみるく」といえばみたんのいるチームじゃないか。
おれはkuvaでありみたんでもありゆいPでもあるんだぜ?
謎の人物をよくよく見ると、なんということだろう、かるーあみるくの宰相であるニコではないか。
なんでこんな潰れそうな酒場にいるんだろう。
それに、一人で山盛りのからあげ、これが探していた伝説の鳥なのだろうか。
ニコ「あれ?よく見たらゆいPさんじゃないですか。ヤッホー」
ゆいP「軽いノリだな。懐かしの顔に出会えて安心したわ。ここで何やってるんですか?宰相の仕事はどうしたんです?」
ニコ「あ、それ聞いちゃいます?」
ゆいP「別に興味ないからいいです」
ニコ「とりあえずこっち来て唐揚げでも食べなよ」
ゆいP「まぁお腹は空いてるし、この町の状況も把握できるからいただきますかね」
ムシャムシャと唐揚げをほおばるゆいPことkuvaはニコのニタっとした目つきを見てゾッとした。
手に持っている黄色をゆおいPの唐揚げにぶっかけるのであった。
ゆいP「酸っぱいの禁止ですわ」
ニコ「ビタミンは取らんとね」
ゆいP「まったく、相変わらずですねぇ」
ニコ「これも愛情表現よな」
勝手にレモンをかけるニコに殺意を覚えたが、そもそもこの唐揚げはニコの物なので仕方ないと思って食べた。すっぺぇ。
今一番気になることは、あの最後の出来事からの続きだ。
あれから数年経って状況も変わっている、私が離れてからの変遷を知りたい。
一般人「ここはかるーあ国です」
どこにでもいそうな一般人が話しかけてきた。
ゆいP「やはりかるーあ国なんだな。実感は無いけど戻ってきてしまったのか」
ニコ「昔からここはかるーあ国ですよ」
ゆいP「あれはどうなったんだ?もふもふ国に攻められたあとの状況は」
ニコ「あーゆいPさんは居なかったんですよね。本当に役立たずですねw」
ゆいP「いやいや、私は勇敢に立ち向かったし」
ハッと気づく、私はみたんではなくゆいPになってしまったので前の出来事ではいなかったことになっている。
はて?と首をかしげるニコは隠居しすぎて何も知らないボケ老人でも見ているような顔をしていた。
言い訳は出来ないか・・・。
ニコ「そうですね、あの後はみたんさんと一緒になって復興に尽力しましたよ。ここまでにするのに時間かかりましたねぇ」
ゆいP「みたんは今どこへ?」
ニコ「・・・実は今行方不明なんです。いろいろ探し回っているのですが見つからなくて。いなくなる予兆はあって私の中では納得してるんです」
ゆいP「そうか・・・」
世界観は依然と繋がっていた。
もふもふ化解除の後は復興をし、国の制度が変わって獣人を選んだ住民も害がないと確認され受け入れが可能になった。
みたんに会いたかったが仕方ない、いつか会える日を楽しみにしていよう。
んで事件の発端であったたぬこはたぬきになってしまった後はどうなったのだろう。
ゆいP「それでたぬこはどうなりました?」
ニコ「たぬこ?ああ、あいつね。今は宗教立ち上げて教祖様やってるよ」
嫌な予感しかしない。
もふもふ教みたいな名前で活動してるんじゃねーかな?
こりねぇ奴だわ。
そもそもたぬこはたぬきになって抱きかかえられてたじゃないの?
それについてはこの世界の恒常性というもので、この世界を一定に保とうとしている力が働いてたぬきからたぬこへと元に戻ったのだ。
ニコによると、逃げないように繋いであった鎖はたぬきからたぬこへ遷移する過程で膨張に耐えられなくなり引きちぎったように壊れていた。
たぬこはその場でうずくまって寝ていたが、発見し驚いたニコは嫌々ながら介抱すると意識を取り戻し、何事もなかったように対話したという。
以前の記憶を失ったたぬこを誰も責めることはできず、時間が経つにつれて受け入れてもいい風潮がでてきた。
そもそも、もふもふ化を望んでいた人は多く、神聖なる人として崇められた存在として認知されるようになり、世間がもふもふと共存する準備が整った所で周りに言われるがまま宗教の教祖になったという。
もふもふ化している人はほとんどこの宗教に入信しているという。
今のところ無害なので放置しているのが現状で、何か問題を起こすようであれば対処しなければいけないだろう。
みたんことゆいPことkuvaは完全に修復できなかった世界を憂えんだが、うまく回っていることが分かると「大丈夫だよな」と自分に言い聞かせた。
新たな価値観は誤解を生むことが多いが、共存できていれば問題はない。
もともとはこのゲームを作った運営が悪いのだから。
言いなりになっていれば僕らが損をしてしまうが、ある程度は従わなければ秩序は保たれない。
自由は本当に自由になった時には無秩序という言葉に置き換えられる。
制約があるからこそその中に自由が生まれるのである。
なんだかんだでうまく回っているんだな。
ここまでに登場してない人たちの事も聞いたが、後々のお楽しみにということで
ゆいP「ところでギルドで合言葉を聞かれたんだけど、何か知ってる?」
ニコ「ああ、あのギルドね。あそこはよそ者が入らない様に規制してるんですよ」
ゆいP「それじゃ私なら行っても大丈夫ですよね?」
ニコ「大丈夫ですね。合言葉知っていれば」
ゆいP「知らないのだが」
ニコ「え!?どれだけ惰眠を貪ってたんですか?23時には寝る私でさえ知ってるのに!?」
ゆいP「そりゃあんたこの国の偉い人でしょ」
ニコ「え?あ、そうです。合言葉も私が考えました」
ゆいP「だったら教えてよ」
ニコ「それは・・・そうですね・・・身内だからといって無料で教えるのは他の国民に示しが付きませんからね。分かってるでしょ?今の時代コレが必要なんです」
右人差し指と親指の先をくっつけるとニタニタ笑いながらお金の要求をしてきた。
こんな人物だったのか?まぁ知らない私がいけないのでポケットをゴソゴソやってると、
ニコ「あ、違いますよ、この店でメニューには無いんですがオムライスを注文してください」
ゆいP「オム?」
ニコの手のサインはお金の要求ではなく、タマゴの形だったようで、このサインを見せながらオムライスを注文すると合言葉が分かるらしい。
ゆいP「マスター!オムライスくれ!」
少し驚いたマスターはニコに気づくと「はいよ!」と注文を受けた。サインは関係ないのかい。
しばらくするとオムライスを持った店員がやってきてテーブルに置いた。
東雲ちほ「それじゃ愛情たっぷり込めてケチャプーをかけますね。モエモエきゅんきゅん。さ、ご一緒に」
ニコ「モエモエきゅんきゅん」
ゆいP「・・・・」
ニコ「やらないんですか?」
ゆいP「・・・・」
東雲ちほ「やらない人にはこうじゃ!」
店員はもってたケチャプーをプープー出しながらオムライスに文字を書き始めた。
なになに・・・『この国の宰相の名前は?』
ははーん、この問題が合言葉なんだな、この国をよく知らなければ答えられない。
ゆいP「全て理解した」
立ち上がりギルドへ行こうとしたが、オムライス食っていけと怒られた。
食べ物を粗末にしてはいけない。
どこかの国では食料が無く餓死する人がいるらしいが、このオムライスを食べずとも全く関係ない話だ。
そもそも農家も出来過ぎたら出荷調整するじゃん、えー??
急いで食べ、ニコに別れを告げるとそそくさとギルドへ向かった。
ギルドの扉を叩く。ドンドン
中の人「入ってますよ」
ゆいP「またトイレかよ!」
中の人「・・・合言葉を言え」
よし、問題は『この国の宰相の名前は?』だったな。
答えは簡単だ。
ゆいP「ニコ!」
中の人「・・・違う・・・」
ゆいP「なんでよ!」
中の人「知らないなら帰れ」
ゆいP「だって、合言葉はこの国の宰相の名前は?でしょ。ニコじゃん」
中の人「・・・中に入ってよし」
ゆいP「なんでよ!」
ガラガラと横開きの扉を開くと中から担当者がやってきて、恭しくお辞儀をした。
よくわからんけど中に入ることに成功した。
ギルド長「ようこそいらっしゃいませゆいPさん」
ゆいP「え?よく見るとビビじゃん」
ギルドを取り仕切る人物はビビであった。
ていうか、知らない顔じゃないんだし入れてくれればいいものを。
ギルド長ビビ「お手を煩わせてすみません。最近ゆいPさんの名をかたる詐欺が増えてまして、試させていただいたんです」
ゆいP「色々あるな、なぜ私を使うんじゃろな」
ビビ「長い間隠居してるなら勝手に名乗ってもバレないだろうと思ってるんでしょうね。昔からいる人は知ってますが、入れ替わりもあります故、知らない人は騙されてしまいますから」
ゆいP「なるほどね」
ビビと話しているとギルドの入り口を叩く音がしている。
ビビはゆいPにちょうどいいから聞いてみましょうと誘った。
ギルドの人「入ってます」
ゆいP「この返しは合ってるのか?確かに中に入ってるけども」
ビビ「うーん。まぁ個性ですから。潰すのはもったいないでしょ?」
ゆいP「ギルドには個性より知性が必要な所だろ?いや、そうでもない系?」
外から声が聞こえてくる。なになに、「おいらでやんす、ゆいPでやんす。中に入れてくれでやんす」だと?
ふふっとギルドの人も笑ってる。
こんなのに騙される奴はいないだろうけど、悪乗りする奴らは多いという。
ゆいP「ところで、合言葉が違ってたんだけど何で入れたんです?」
ビビ「ああ、オムライスのアレですか。ケチャプーで書かれた文字が合言葉です」
ゆいP「ん?んー。なるほどね」
良く分かっていないゆいPだが、それはもういいとして、ここには情報収集と仲間集めにやってきたのだ。
つまり物語をどう進めるかという大事な説明回なのである。
伝説の鳥を探すという名目、実際にその鳥とは何であるのか。
何処にいて、いつから噂になっているのか。
探し出した暁には何か手に入れられるのか。などなど旅立つ前の準備は必要なのだ。
早速だが、みたんはあの終わり方をした後に復興に尽力したが行方不明になっていた。
だれもがその英雄を賞賛したが、どこに消えたのかは知らない。
一部の人たちは伝説の鳥を見つけみたんの行方を知ろうとしているという。
なんとも健気ではないか。
伝説の鳥の噂は以前からあった。
今から遠い昔、アステカの神であるケツァルコアトルが現代に蘇り、様々な奇跡を民衆に起こしているという。
詳しい内容は分からないままだが、実際に恩恵を受けた人々がいると聞いている。
その鳥を見つけた者は幸せになれると歪曲し伝説として伝わった。
こういった類の話は、なんとなくうまく行った事柄を架空の物にこじつけた人の空想で、所謂現代のSNSで誰が言い出したかは分からないが、「これをするとよいことが起こる」と嘯くのと同じである。
しかし、嘘だと分かっていても心の中では信じていればきっといいことが起こるに違いないと思い込むことによって、クソな世界から抜け出そうとする手段になっている。
噂が広がった原因として、もふもふ国がのさばり、夢も希望も無くなってしまった後に広まったと言われている。
差し出す藁さえ無い人たちは、微かな希望を伝説に託したのだ。
それから数年が経ち、安寧なかるーあ国で、不穏な動きを察知した誰かが伝説の鳥の話をしたのをきっかけで噂が広まった。
根拠もない話であるが、何かに熱中していると目の前の事しか考えられなくなる特性をいかし人々を掻き立てたのである。
ビビ「つまりですね、ケツアナコワレトルを見つければ願いが叶うらしいんです」
ゆいP「対象の名前がおかしくないか?」
ビビ「そうですか?」
知性がコワレトルギルドの人たちはどこか飽きているような面持ちで対応をしていた。
その鳥を探せば願いが叶う・・・つまり俺は元の世界に戻ることが出来るのだ。
眉唾物の話だが、運命の女神様が探せというなら探すしかないし、この世界で頼ることのできる人もあんまりいないからなぁ。
探すのは面倒だけど、現世に戻れるならやるしかないみたいだ。
探し出すには仲間が必要だ、そのためにこのギルドにやってきのだ。
ゆいP「探すためには仲間が必要だから誰か良い人いない?」
ビビ「良い人ですか?居なくもないんですけど、先着で選ばれてそれほどの人しかいませんねぇ
ゆいP「それほどの人っていう言葉は頂けないが、いまは厳選している状況じゃないし、おすすめな人たち紹介してよ」
ビビ「うーん、そうですね。それじゃあの人たちが最適かもしれない」
そう言うビビに番号札を渡され、奥の扉を開け誰かを呼びに行った。
しばらく待つか、と腰を下ろすと、同じ待合室で神妙な面持ちをする人たちを見て、この人たちも何かを待っているのかと不安になった。
「〇〇のカードをお持ちのお客様、こちらへどうぞ」
呼ばれるとカウンターで何かを見て選択しているようだ。
仲間探しってこんな感じなんかな?
それからまたしばらくたち、ビビが戻ってきた
ビビ「ガンナー三銃士を連れてきました」
ゆいP「ガンナー三銃士?」
ayah「長銃の専門家、ayah。装備も充実で狙撃の腕は誰よりもある」
マキナ「双機銃の専門家、マキナ。近距離でも冷静沈着、すべての的の命中させる」
ソーニャ「麺!スープ!具材!の専門家、ソーニャ。最近は白湯スープや鶏がらスープも作ってます!はいよっラーメン一丁!」
ゆいP「・・・おい、一人違うのが混じってるぞ」
ビビ「この三銃士はどうでしょうか?」
ゆいP「いや、一人違うのが」
ソーニャ「ラーメンは嫌いですか?」
ゆいP「好きだけど、そうじゃない、そうじゃないんだ!」




