メリエ編 15
回帰派との話し合いも終わり、馬車に乗ってフィレーゼへの帰路へつくメリエとユーグ。
「ユーグさん。少し聞いていいですか?」
「ん?なんだ?」
メリエは今回の会談で少し気になった事があり、資料を眺めて今後の考えているユーグへ聞いてみた。
「なんでマルザ教の人達と民間の協力者で態度が違ったんですか?回帰派とはいえ一応マルザ教の大神官でしょう?そんな人に対してはタメ口なのに、民間の一商人とかには丁寧な口調って。普通逆じゃないかなって思うんですけど…」
「あぁ、それね」
ユーグ読んでいた資料をしまい、メリエの問いに答える。
「俺が相手を貶す様な口調で煽ってんのは相手を見定めるためだ。自身のプライドが傷つくのと問題の解決へ足を進める事、二つを秤に乗せた場合どちらを取る人物なのか、話しながら探ってんだよ」
「へぇ」
(てっきりただ好き嫌いでやってんのかと思ってた)
「まぁ、単に好き嫌いで煽るときもあるがな」
(やっぱり気に入らない時にも煽るんだ)
「じゃあ民間の参加者への態度が悪くなかったのは、見定める必要が無かったって事ですか?」
「あぁ。そもそも彼らは善意で慈善活動をしてくれているだけの営利団体だからな。俺の言い分が分からん奴らじゃねぇよ。それに、彼らは貧しい人を救うために自らの身を切って資金や物資の供給をしてくれてんだ。だったら自分の支援が貧困層を救う事に繋がっていないって事の方を問題視するだろうさ」
メリエはウンウンと頷き納得を表した後、もう一つ気になった事を聞く。
「っで、ユーグさんが見た感じ、回帰派ってどんな感じでした?」
「うーん。回帰派の下の連中は感情が先行している感じだな。多分教皇派と対立する反動なんだろう。金目当ての人間を嫌悪しすぎて現状が見えなくなっている。財政や物資の状況について提言する様な人が居づらいであろう事は想像に難くない」
「あー確かに。損得勘定で動かない自分達カッコいいって感じの人達でしたもんね」
「その点、大神官辺りは現状を知っている感じだな。予め彼らの過去の発言も調べてみたが、気持ちだけじゃあ理想が叶わないのをよく理解していた。気持ちだけではいけない、現実を見て計画を練りちゃんと結果を出さなければならないといったニュアンスの発言を伝えていた様だが、下の連中がそれを十分に理解していない様子が見て取れた。十中八九、崇高な理想を掲げたは良いものの、変に神格化されて感情で動く連中が増えすぎたって所だろう。俺が煽っている時も何やら期待している様な表情を見せていたしな」
(ふーん。相手を馬鹿にしてるだけかと思ってたけど、いろいろと調べて観察してたんだねぇ)
「回帰派の下の連中を見て多少不安ではあったが、上がしっかりしているのならどうとでもなる」
「って事は出来るんですか?この国全体の経済を立て直すなんて事」
ユーグは不敵に笑う。
「まぁ見てな」
そういったやり取りをしながら二人はフィレーゼへと帰っていった。




