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第20.2章:裏切り者と嵐の目

【フラッシュバック:軽蔑の都(二年前)】


馬車のガタガタという規則正しい振動は、ローズを過去へと引き戻す催眠的なメロディーとなった。それは、世界がまだモノクロに見えた時代――彼が十七歳の頃の記憶。かつての師は、最後の望みを託して、紙切れ同然の推薦状を添えて彼をリバダビスの首都へと送り出したのだ。

首都は夢のような場所ではなかった。そこは、魔力を持たぬ弱者を吐き出す石の要塞だった。


「ここから出て行け! 入り口で邪魔をするフローレスなんて、誰も求めていないんだよ!」


商人の怒号が、今も耳の奥に残っている。

ローズはうつむきながら歩いていた。擦り切れたブーツが、冷たい舗道をひきずっていく。彼は十軒の鍛冶屋、五軒の馬小屋、さらには荷役組合までも断られていた。午後の日差しが長い影を落とし、彼はまるでその影の一部であるかのように感じていた。存在はしているが、誰にも触れられず、認識もされない何か。

突然、悲鳴が市場の喧騒を切り裂いた。


「助けて! お金が! 盗まれたわ!」


黒いフードを被った男がローズのすぐ横を駆け抜け、その肩に激しくぶつかった。ローズは男の手に握られた革の袋を見た。そして、木工店の女主人のパニックに満ちた顔を見た……その女こそ、一時間前、「フローレスなんて役立たずのゴミだ」と彼を追い払った人物だった。

ローズは一瞬ためらった。英雄的本能から全身の筋肉が硬直したが、その時、頭の中の声――いつも彼の魂の奥底に付きまとう、金属的で重々しい装甲の囁き――が、恐るべき明瞭さで語りかけた。


(やめておけ。彼女の顔を見てみろ……彼女は君を軽蔑した。君をゴミ呼ばわりしたんだ。自分を拒んだ者の宝物を、なぜ救わなければならない? 世界は君に何も借りはない、ローズ。泥棒が逃げたとしても、彼女のような利己的な人間にとっては、それこそがふさわしい正義なのだ)


「……その通りだ」


ローズは身動きを止めた。泥棒は角を曲がり、完全に姿を消した。

息を切らして駆け寄ってきた女の顔は、怒りで真っ赤に染まっていた。泥棒が通り過ぎたまさにその場所にローズが立ち尽くしているのを見て、彼女の絶望は純粋な憎悪へと変わった。


「あんた! そこに立っていたじゃない! なぜ足を出して止めなかったの?! なぜ叫ばなかったのよ?!」

「分かったわ……あんた、あいつの共犯者ね! あの乞食が私の貯金を奪って逃げている間、あんたはあいつを庇って立っていたのよ!」

「違う……私は何もしていない……」

「警備員! 泥棒の仲間を捕まえたぞ!」


近づいてくる衛兵たちの鎧がガシャガシャと金属音を立てる音が、彼にとって最後のとどめとなった。飢えと絶え間ない拒絶によって、すでに精神が崩壊しかけていたローズは、周囲の空気が急速に凍りついていくのを感じた。


(思考が……まとまらない……痛いだろ……全身が痛むんだ……)


衛兵たちに手錠をかけられる前に、彼の意識は途絶えた。

数日後、カビ臭い隙間から差し込む月明かりだけが唯一の光である独房で目を覚ました。寒さが骨の髄まで染み渡っていた。


「この世界には……私のようなフローレスを受け入れる余地なんて、どこにもないんだ」

「大丈夫? すごく長い悪夢を見ているみたいだけど……」隣の独房から、女性の細い声が聞こえてきた。

「私はルクス、運命の囚人よ。よろしく、お隣さん」


ローズは冷たい鉄格子を見上げた。その瞬間はまだ、彼はその声が自分の物語の流れを大きく変えることになるなどとは、知る由もなかった。


*


【予期せぬ目覚め】


――ちっ!


馬車がでこぼこ道を激しく揺らした瞬間、ローズは喉の奥でうめき声を上げ、パッと目を見開いた。リバダビスの独房の寒さがまだ身にまとわりつく中、彼の心臓は激しく鼓動していた。暗闇の中にいるのではなく、ダンサーたちの豪華な馬車の中にいることに気づくまで、数秒を要した。


しかし、何かがおかしい。汗を拭おうと手を顔に持っていこうとしたが、両腕が完全に固定されて動かせなかった。


「え……?」


彼は下を見た。左側では、マルセリンがぐっすりと眠り込んでいた。彼女はローズの左腕に完全に抱きつき、頬を彼の肩に預けている。夢の中で、その吸血鬼は小さなサディスティックな笑みを浮かべ、まるでローズを二度と手放すつもりがないぬいぐるみであるかのように、その腕をきつく締め付けていた。

右側の状況も同様に深刻だった。リリアも旅の疲れに負けて眠りについていたが、眠っているにもかかわらず、まるで戦闘態勢にあるかのようだった。彼女はローズの右腕を驚くほどの力で自分の胸にしっかりと押し付け、マルセリンとは完全に反対の方向へ引っ張っていた。

ローズは、その集団の中で最も危険な二人の女性に、文字通り両側から引きずり回されていた。


(五条先生! 僧侶! 助けてくれええええ!!)


馬車の舷窓越しに、五条ゴジョと僧侶スワッチは、共犯者のような目配せを交わした。


「あれを見ろよ、僧侶……あの子は、雷震の戦場よりもはるかに過酷な戦場の真っ只中にいるぞ」

「ハハハ! それは精神を鍛えるための修行の一部さ」

「それはあの子のジレンマだね……存分に味わうといいさ」


*


【炎の角】


馬車はついにリバダビスの首都の門をくぐった。中に入ると、凄まじい喧騒がローズの耳を襲い、彼は少女たちを無理やり起こさざるを得なかった(そのせいで、リリアに何度も激しくつねられ、マルセリンからは意味深で危険な視線を浴びせられた)。


街は活気に満ちた混沌そのものだった。香辛料の香り、群衆の熱気、そして王室騎士たちの鎧の輝きが、ローズを圧倒するような雰囲気を醸し出している。


「おい、ここ、ちょっと混みすぎじゃないか? 踏まれそうだったぞ!」ローズは商人たちの群れを避けようとしながら、不満を漏らした。

僧侶のそばに避難しようとしたその時、右手を力強く、そして温かく握られるのを感じた。振り返ると、そこにはマルセリンの深紅の瞳が、危険なほどいたずらっぽく輝いていた。


「うーん……ちょっとついてきて。見せてあげたいものがあるの」

「え? どこへ? 待ってください!」


ローズが抗議する間もなく、マルセリンは驚くほどの剛力で彼を引きずり、影のような軽やかさで人混みの中をすり抜けていった。


「えっ?! ローズ! マルセリン! こっちに戻ってきなさい!」


リリアの叫び声は、前方を塞いだ干し草を積んだ馬車の後ろに遮られ、遠くへ消えていった。

マルセリンはローズを脇道へと導き、石段を登り、煤と油の匂いが漂う通路を降りていった。やがて、彼女たちは壁が黒ずんだ低い建物の前で立ち止まった。そこからは、空気を震わせるほどの熱気が立ち上っている。


「カンッ! カンッ! カンッ!」というリズミカルな金属音が通り中に響き渡っていた。

「鍛冶屋……?」

「中に入ろう!」


中は鋼鉄の聖域のようだった。中央の鍛冶場の熱気は強烈で、ローズはまつげが焦げそうだと感じた。


「ようこそ! 金がないなら、さっさと出て行け!」銅の糸で編んだ髭のドワーフが、白熱した金属片をハンマーで叩きながら唸った。

「あぁぁぁっ! これ見て、ローズ!」マルセリンは、まるでおもちゃ屋にいる少女のようにあちこち走り回っていた。

「この短剣のバランスを見て! 金属の純度が絶妙よ! ねえ、ローズ、これどう思う?」


ローズはため息をつき、吸血鬼の少女が殺意に満ちた優雅さでサーベルの重さを確かめる様子を眺めていた。しかし、彼女が豪華な武器に気を取られている間、店の暗い隅、古いスクラップの山奥にある何かが、ローズの強い注意を引いた。

何年もの埃で曇った古いガラスケースの中に、ある奇妙な物体が静かに置かれていた。それは剣でも盾でもなかった。不気味な紫色を放つ、暗い金属の塊――それは……首飾りだった。


(あれは、何だ……? 僕を……呼んでいる……)

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