表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/37

第19.2章:力の重みと風の香り

【嵐の舞:師匠対弟子】


「ローズ! 気をつけて、あの男の力は――!」


リリアは警告を言い終えることができなかった。ローズは、ほんのわずか一ミリ秒だけ彼女の方へ顔を向けてしまったのだ。エリートたちの世界において、その一瞬が死への招待状となる。


――ドガンッ!!


ポケットから手を出したままで、ゴジョは油圧式破城槌のような勢いでローズの胸骨に膝蹴りを叩き込んだ。主人公の体は弾き飛ばされ、空を切って巨大な岩に激突した。岩は衝撃で完全に粉々になる。


「むむっ」ゴジョは存在しない埃をズボンから払い落とし、傲慢な笑みを浮かべた。「リリア、愛しい人よ。彼氏の気を散らすのはやめなさい。これは戦士としての礼儀のレッスンであって、公園でのデートではないのだから」


顔面蒼白で心臓が喉まで飛び出しそうなリリアは、罪悪感に駆られて拳を握りしめ、黙り込んだ。

砂塵の中から、いくつかの岩の破片が、ほとんど感知できないほどの速度でゴジョに向かって飛び出した。ローズの反撃だ。しかし、その投射物はゴジョのわずか数センチ手前で、まるで虚無の壁にぶつかったかのように、パウダー状に砕け散った。


「何……?」ローズは瓦礫の中から立ち上がり、呟いた。

(動いてもいないのに、どうやって岩を破壊したんだ……?)

「悪くない、なかなかの才気だ」ゴジョはそう認めると、その眼差しはメスのように鋭くなった。

「だが今……本気を出せ。僕の美しい時間を無駄にさせるな」


音一つ立てず、地面の葉っぱ一枚も動かさずに、ゴジョは姿を消した。


ローズの目の前に瞬時に現れる。気流もなく、痕跡もなかった。ただ「衝撃」だけがあった。ローズがボードの駒を一つでも召喚する前に、拳が彼の腹部に突き刺さった。


――グハッ!!


「どういうこと……?」リリアは呆然として囁いた。

「私の目は彼を見失わなかった……でも、彼が飛び出す時、体から音はしなかったわ」

「あれは彼のネクロフローだ」細部まで見逃さない眼差しで、スワッチ僧侶が説明した。

「ゴジョは風を完全に操っている。それを味方につけることで、摩擦と音を排除しているのだ。まるで空気そのものを乗りこなしているかのようだ。まさに、人間となったハリケーンだ」

「開けた場所で彼と戦うのは拷問よ」マルセリンは張り詰めた笑みを浮かべて付け加えた。

「空気が彼の縄張り。私たちが息をしているのも、彼の許しがあるからだわ」


リリアは歯を食いしばった。


「それなら……ローズには勝ち目がない」


しかし、僧侶は少女たちには見えない何かを捉えていた。ローズのコアの周波数に生じたわずかな変化だ。


(もうすぐだ……)

「フゥゥゥゥッ……! ビショップ・アーマー!」


黒い金属がローズの四肢を覆い、その姿を流線形に変えた。


(あの速度に追いつかなきゃ……!)

「何をそんなに考えているんだい、お嬢ちゃん?」


ゴジョの声が、耳元で響いた。


ローズが反応する間もなく、ゴジョは恐ろしいほどの滑らかさで、その手のひらを鎧の腹部に押し当てた。


「サイクロン・カッター」

「うっ! ルーク・アーマー!!」ローズは最後の瞬間に叫んだ。


――フイム!! ドォォォォン!!


凄まじい爆風が巻き起こった。風は実体化したかのように、近くの木々を根こそぎ引き抜き、岩をガラスのように粉砕した。一瞬、戦場の上空の雲が爆風で吹き飛ばされ、透き通った青空と、地面から煙を立ち上らせるクレーターが現れた。


「ローズ!!」リリアは瓦礫から顔を覆いながら叫んだ。


爆心地で、ゴジョは完璧に整えられた片方の眉を上げて、心底驚いた様子を見せた。


「おや? 君の防御力ならこれくらい耐えられるのか……なんてタフな奴だ」


ローズは膝をついていた。ルークの鎧からは火花が散り、金属は歪んでいたが、彼は立ち上がっていた。限界まで追い詰められながらも、その瞳には、純粋な頑固さからくる銀色の輝きが宿っていた。


「かなり……」ローズは言葉を最後まで言い終えなかった。本能が全身全霊で叫んだのだ。――避けろ!

黒剣こくけん!」


ローズはそう唱え、次の見えない一撃を避けるために地面を滑りながら、黒曜石の刃を呼び出した。

すっかり興奮したゴジョは、喜びと危険が混じり合った笑いを上げ、その笑い声は谷全体に響き渡った。


「その調子だ! こっちへ来て、僕を楽しませてくれ!」

「はい!」


ローズは飢えと痛みを無視し、足を踏ん張って毅然とした姿勢で応じた。


仲間同士の「訓練」は様変わりしていた。もはや日常的な試練ではなく、師と、決して屈しない弟子の間の過酷な闘争となっていた。


「大丈夫かな……?」マルセリンは、空気の圧力が自分の肺にも耐え難くなり始めているのを感じながら尋ねた。


かつて「奴隷」と呼んでいた少年を純粋な賞賛の眼差しで見つめるリリアは、力強い声で答えた。


「大丈夫よ。彼はいつも、ルールを破る方法を見つけ出すものだから」

「みんな、バリアを張るぞ」僧侶は初めて真剣な表情を浮かべて命じた。「これはレベルが上がる。今日、ベネシアからダンサーが一人もいなくなるような事態は避けたいからね」

「了解!」


真の戦いは、まだ始まったばかりだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ