352 人妻梓は『柔』のエロを極めし者
カオルが茶薔薇学園で戸惑っている頃、梓は自分の教室でノートを広げていた。
勇太と式を挙げてもメンタル的には変わらないけど、やることが増えたのが梓だ。
12人まで増えた勇太ファミリーを取りまとめる中心人物。
近い将来、嫁ズと子供が増えて『勇太村』に膨れあがった時は村長になる。
今日も自分の教室で、高1とは思えない内容で悩んでいる。
「あと1年したらユウ兄ちゃん、カオルちゃん、ルナさん、私は確実に同居。純子さんと麗子さんも一緒だろうから、そろそろ家を用意すること考えないといけないな~」
ノートを広げているが、学業とは関係ないやつだ。
「初期の生活費をユウ兄ちゃんから預かってるけど、みんな女のプライドがあるし、おんぶに抱っこは許されない。妥協点はどこだろ」
最初は4人と仮定して、月の支出を計算している。
「食事係は固定せず当番制にするか…。いや、カオルちゃんをローテに入れたら、悪い方の飯テロが起こる」
隣の席のクラスメイトが笑っている。
「梓~、誰よりも熱心に何かしてるけど勉強じゃないよね」
「そうなんだよ~。結婚できて嬉しいけど、みんなの新生活の準備する必要があるもん」
「まとめ役も大変だ~」
『ハーレム結婚後』は、勇太前世とパラレル世界で大きく違うもののひとつ。1対1ではない。
住居、生活費、食事、多くのものが多人数前提となる。
色んな取り決めで、全員一致という部分が少ない。
それが嫌で別居を選ぶ人間もいる。梓の母親、葉子も別居を選んだ例。
梓は母子2人の生活に不満はなかった。だから陰キャで誰にも相手にされなかった頃のパラレル勇太と2人でいいやと思った時期もあった。
けれど勇太変身からルナ、カオルと出会っていくと大家族のビジョンが沸いてきた。
自分の幸せのためにも勇太村村長の気構えはしたが、思った以上に準備が多い。
「住むところは決まったの?」
「ユウ兄ちゃんは言わないけど、海辺の街がいいみたい」
「じゃあ、そこにすれば?」
海辺の街はいい場所だけど、リニアモーターの駅、高速道路のインターチェンジから遠い。
パラレル市内で進学する予定のファミリー全員が不便。
勇太、純子の音楽活動、東京に頻繁に行くと思われる柔道アイドル不知火マイコが動きにくくなる。
「嘉菜さんがアメリカから帰ってきたら、「マカド」の次期社長だからパラレル市内が拠点になるし、麗子さんもパン屋のことがあるし…」
「それに長谷川三姉妹の誰かが和菓子店を継ぐなら、ひとりは動けないよね」
「それもあるんだよ~」
「リーフカフェは女子に優しい男子の出没地帯だし、中心人物の勇太君がいなくなったら、カフェに火を付ける子が出てくるかもよ~」
「そんなこと…ありえるかもね。やっぱりパラレル市内で物件探すか」
人気男子と結婚しても浮かれていない梓はすごいと思う、クラスメイトのカズサだ。
その時、長谷川三姉妹の次女タマミが教室に入ってきた。自由に動くマルミ、キヨミの間で調整力が鍛えられた。
いずれ勇太ファミリーの人数が膨れあがったときは、村長梓、副村長ルナに続いて「内政側」に入るつもり。
その件で話してから、梓と距離が近くなった。
「梓、差し入れ持ってきましたよ」
「ありがとうタマミ、朝から頭使いすぎて糖分不足なの~」
梓が抱きついてきたけど、力は入ってないのに身動きが取れない。
「ど、ど、どうしたんですか?」
「なに動揺してるの。ん~、お姉さんに話してごらん」
タマミは、かなりドキッとした。以前とナニカが違う。
梓の場合は、隠していたものを解放したという感じ。
変身前のクズ勇太ストレスから中3にして女を抱きまくった。美女だから相手は簡単に見つかった。
高校生になった直後なんて、2年生のパラレル勇太の文句まで知らない人に言われ尚更、女のセ⚫クスフレンドを増やした。
そのあとにパラレル勇太が、今の勇太に変身。カオルにも出会って女遊びをやめた。
その後は普通の高校生として過ごしてきたのだけど…この1か月で全部解禁された。
梓のハグは、心の中では家族になるタマミへの親愛の情を込めている。
しかし腕の絡め方、絶妙なタッチは、合気道の達人のような極め方だ。ワンナイトの相手を食い散らかしてきた梓に染み付いた誘い込みの型。
カオルの柔道の寝技が『剛』なら、梓が夜の生活でカオルを押さえ込む技法は『柔』
最後は梓が柔よく剛を制すのだ。
だから今、梓にロックハグをされているタマミは、壁ドンよりも威力がある攻撃を食らっている。
カオルなんて、これを素っ裸で食らう。そりゃ抵抗できるはずもない。
こうやって自覚もないまま、今日はタマミを堕としかけている。
考えてみればファミリーが増えるとき、最初と最後は梓が動いている。
新しい嫁ズはみんな、出番が少ないように見えても梓がファミリーを回していると分かっている。




