351 人妻カオルは女豹に狙われる子猫ちゃん
女同士の恋愛も多い、男女比1対12のパラレル世界。
カオルの性癖が、マイノリティだと多くの人にバレた。
セ⚫クスが「受け」オンリーだ。
それは勇太前世なら半分近くの人が当てはまるだろう。1対1で付き合うのが基本だから、スる方とサレる方になったりする。
極端なとこまでいけばSとM。
ところが男女比1対12世界の女性は自在型ばかり。女性同士で付き合ったり、付き合っている女性2人まとめて嫁入りしたりする。
この世界の男子は、何に関しても基本的に消極的。
特に夜の生活では、複数の女性と関係を持つ。体力の問題もあって99パーセントが受け身。
だから女性の性のバリエーションは増える。女性同士のプレイでは受け身の子でも、男子相手だと戦い方が変わる。
肉食女子とひとくくりにされるけど、性生活では柔軟なのだ。
カオルの場合、勇太の性質も関係あるのだろうが、自分からパクっとかしていない。
そんな子がいてもいいのだけど、勇太の嫁だから目立つ。ましてや『柔』なイメージのキャラが多いファミリーの中で突出した『剛』の者。
冬の選手権決勝で高校柔道の頂点に挑んだ姿、その後に見せ始めた女の子の顔。そのギャップ。
誰かがネット上に投稿した。
『キャラなんて作ってないのにカオルさんのギャップってすごい。虎と子猫の落差に萌える~~』
勇太前世より遅れて、聞き覚えがある造語の原型ができたようだ。
勇太ファミリーの中では、間門嘉菜に性技を磨く吉田真子、麗子の身体を開発しまくる純子がビンビンに反応。
夜の性癖繋がりから仲良くなった2人が、最近はカオルのネタで盛り上がっている。
「純子、カオルの太い腕を押さえつけて無茶苦茶したい~」
「だよね~。赤い顔してイヤイヤとかされたら、理性ぶっ飛びそ~」
「楽しみ~」
「だね~」
そんな未来は……近々来るかも。
◆
カオル本人は変わらないつもり。高校柔道では現在、ディフェンディングチャンピオン。
次は8月のインターハイ。追われる立場から団体、個人のダブル優勝を目指している。
「恋愛にうつつを抜かしてる暇はねえよ。な、ヨシノ」
「も~、カオルったら。すでに人妻なんだから恋愛って段階は越えてるでしょ」
「あ、いや、そういうんじなくて、ニュアンスがな…」
廊下でハラダヨシノにツッコまれ、面識がない下級生にも既婚者だとバレるカオル。
この話題になるときだけは、がに股が閉じていることに気付かない。
昼休み、パンを買いに購買部に向かっている。梓の弁当は、四時間目が始まる前に完食した。
すると中学からの同級生に呼び止められた。運動部ではない進学コースのクラスの子だ。
少しつり目の美人系で胸が大きいチアキ。他校に高身長の彼氏がいる。
彼女はカオルのことを野獣とか言わなかった側。何となくカオルの良さを分かっていた。
「おっすチアキ、元気か」
「元気だよ。それよりカオル、おめでとう」
「おう、柔道で全国制覇できたぜ」
「そっちじゃない方だよ。結婚おめでとう」
「あはははは、さんきゅ。いやあ、照れるなあ。そっちも彼氏いるじゃねえか。順調か?」
「毎週木曜日と金曜日は、私が彼氏独占でセッ⚫ス三昧だよ。カオルは?」
「あ、ま、まあ、それなりにな…」
ここはパラレル世界で、オープンな肉食女子ばかりの世界である。
カオルを見て、チアキは珍しいタイプだと思った。
男子に望まれ彼女になり、高校在学中に籍も入れた。
美顔、強メンタル、強運の三拍子が揃った恋愛強者しか辿れないと言われる、王道フルコースだ。
カオルのケースを達成できたら、普通なら鼻高々で自慢しまくっていい。
周囲も認める。
自分も彼氏ができたとき、クラスメイトに色々と聞かれて赤裸々に語ってきた。
キス、セックス、複数プレイの話をするたび、クラスの中で自分の地位が上がっていった。
しかしカオルは自分から何も言わない。
普段から豪快なのに、なぜか性に関しては恥ずかしがり。
女としてはマイノリティな『純情派』というやつだ。チアキは実在しないと思っていた。
「珍しいけど、ま、いいや」
「なにが?」
「なんでもないよ。カオルって可愛くなったよね」
「え、そ、そうか?」
チアキはいたずら心が沸いた。「ここも育ったんじゃない?」と言って、カオルの胸にタッチした。
「あんっ……」
服の上から乳首直撃に、甘い声が出てしまった。
柔道の組み手争いで相手の手が胸に当たるなんて日常茶飯事。
朝練の時も平気だったのに、柔道着を脱ぐと身体の感度が上がってしまう。
「も~、いきなりだな~」
両手で胸を隠したカオルは自動的に前屈み。
チアキからすると、秘めていた可愛いさが表に出てきた感じ。
「ちょっとムラムラするな~」
「え、何だそれ…」
「あはは。今度、お茶でも付き合ってね。ガールズトークしようよ」
「あ、うん」
「で、その気になったら、私ともシようね」
「ちょ、ちょい、なんでそんな話に…」
「じゃ、またね~カオル」
周囲の目を引きながら、顔を真っ赤にするカオルだ。
見ていた女子だけでない、偶然に通りかかった彼女連れの男子も思った。
『カオルなのに、何だか可愛い』
次の日、欲望まみれの言葉で綴られたラブレターを知らない後輩から貰うことになる新妻カオルだ。




