347 パラレル父さんと歌の準備をしよう
3月2日。
開店前のリーフカフェで、勇太は周防風花と一緒だ。
21歳で梓そっくりの美女。勇太前世なら名前は旧姓周防風太。勇太の父親のパラレル人物だ。
ここで2曲の歌の練習をしている。どちらも結婚のお祝い用。
明日3月3日に勇太はルナ、梓、カオルと結婚式を挙げ、そのまま入籍する。
3月29日には勇太のパラレル両親である坂元葉子と風花で女同士、籍を入れる。
2人は入籍だけと言ったが、葉子が梓の母親だから勇太ファミリーには義理の両親になる。
この辺はややこしい。
とにかく祝うことにしたら、風花が葉子のために歌いたいと言った。なので勇太は前世のパクリ歌で、とっておきのやつを使ってもらうことにした。
勇太の結婚式には、パラレル世界の結婚式ソングを歌う。
今日も秘かに、風花と練習している。
「風花さん、『20年後の君へ』って歌を作ったから葉子義母さんの歌にしてよ」
ちなみに勇太からしたら葉子も義母なら、風花も義母となる。父母ではない。
すでに籍が入っている梓に続きカオル、ルナと籍を入れると、義理の父親が2人、義理の母親が風花も入れて8人になる。
厳密には梓繋がりで、梓の父親の陽介だけでなく、間門嘉菜、嘉菜の10人の母親とも縁繋がりになれるが、今は保留。
勇太と嘉菜で籍を入れるとき、正式に間門家の10人の母親、24人の梓や嘉菜の異母姉妹と親戚になることに決めている。
ハーレム世界で普通に親戚を広げていくと、三親等程度に限定しても3桁に登る可能性がある。
勇太は今、風花に習いながらギターを弾いている。転生直後と違い、感覚がパラレル勇太の身体に完全に馴染んだ。
転生10か月でも技術だけは高くなってきた。なにせ、体力チートがあるから練習量は豊富だ。
「勇太、今のよくない? なんか音がうまく共鳴した」
「忘れないうちに、もう一回やろうか」
「よっしゃ、せーの」
♪♪♬♪♬♪♪♩♩♩
勇太は、この時間も好きだ。
この世界の風花は父・風太ではなく勇太とは血縁関係はない。
梓と風花は非公式な異母姉妹ではある。
普段もそこまで考えないけれど、ギターを習っているときなどに前世の父親との触れ合いを思い出す。
顔が前世人物とそっくりなパラレルルナ、パラレル梓、パラレル純子には、完全に独立した気持ちが持てている。
逆に風花にはギターや歌を通して交流するほど、パラレルな父親だと感じる。
年齢も性別も違うのに似ている。風花は生みの母親をなくし、風太は家庭崩壊で性格がねじ曲がる環境でもあった。
それでも両方とも、人といるときは明るく振る舞い、人に優しくできる。
風太は前世で、難病になった勇太のために手足を捧げてもいいと言った。
この世界の風花は、公的に認められない異母姉妹のために、ドナーとなった。
「ワン、ツー」
「ほい」
「うん勇太、いいね~」
「ちっとは上達してるかな」
「ばっちり!」
前世でも、こんなやり取りをしたこともある。
午前9時半になって、開店準備の当番のミヤタさんが来た。
「おはようさんです、勇太君、風花さん」
「おはようございま~す」
「今日もお邪魔してます」
リーフカフェの店員はよく聞かれる。勇太と風花の関係について、恋仲ではないのかと。
勇太は風花のギターに合わせて歌いながら、備品を並べて開店準備を手伝ってくれる。
♪♩♪♪♪♩
「♬♬♪俺も父さんみたいに家族を守っていけるかな~♪♩」
勇太は、このパラレル世界の結婚式ソングのフレーズを歌うとき、どうしても風花と風太がシンクロしてしまう。
『俺は父さんが、俺の父さんでよかった』
前世で伝えられなかった気持ちが、声に乗ってしまう。
ミヤタは聞き入ってしまった。
録画もさせてもらっている。今回の2曲はサプライズ用だから、3月29日の風花&葉子の結婚以降に出してくれと言われている。
片方が新曲。反響があるのは間違いない。
収益に関しても勇太に遠慮なく受け取ってくれと言われている。
勇太効果のため、時々はハードモードになるカフェの仕事。だけど、金銭的にも恩恵は十分にあるから店員は誰も文句は言わない。
今日も風花と勇太は2人きりでも、甘い空気は皆無。
なのに距離は近い。
一時は勇太の嫁と疑われた風花。だけど、今は完全に仕事仲間であり、端から見ていると家族っぽい。
なぜこうなるのか、ルナや梓でさえ分からない関係だ。




