28.収容所 p2
建物の中は、夜だからもっと明るいものだと思っていたけど、そうでもなくて、逆に、私たちの進来を妨げるようにほとんどの明かりがとられておらず、進んでいくのに少し苦労する。
「エル、エルの仲間はどこにいるかわかるの?」
ルナが聞くけど、エルは少し答えにくそう。
「……すまない。ここで捕らわれているというところまでは知っているんだが、詳しいところまではわからないんだ。だから、時間がかかるが、ひとつずつ部屋をしらみつぶしに探していこうと思う」
手がかりがないんじゃ仕方ないか。あれだけ広い帝都を一から探すということをしなくていいだけましだ。
まぁ、そんなことをしていたら、夜が明けちゃうか。
「えらいしんどいことになりそうやな」
「そうだね。もうすでに500メートル先に敵兵が準備しているね。規模はそこまで大きくないと思うけど」
ここでは、うんと私たちが不利になるな。態勢を一度整えたいくらい。
「一度止まって、迎え撃つか」
そういって、前を歩いていたエルが足を止め、剣を構える。
「コスモのほうがよさそうだね」
「ほんなら、うちはバードやね」
「それじゃあ、足止めするよ」
ルナとユカリの会話に割って入る。たぶん、このほうがいいだろうと思ったから。
「うん。そのほうがよさそうやな。少しひるんでくれたほうがうちらも的を絞りやすいし」
「オッケー。流星で行くから、撃った後の攻撃のタイミングは任せるよ」
「了解」
正直、ライズでもいいと思った。そのほうが足を止められるだろう。ただ、撃った後、誰かに当たる恐れがある。それを考えると、やっぱり、地面に突き刺さってくれるミーティアシャワーのほうが扱いやすい。
「エルも私が撃った後、行けるなら行っていいからね」
「あぁ。助かる」
念のため、矢は普段なら、1メートルのものを使うけど、今回はいつもより30センチほど長いもので飛ばすか。そのほうがけん制にもなるし、動きも止められるだろう。
少しだけでもいい。道をふさぐ。
「カナ、マリア、後ろががら空きになるから気を付けておいてよ」
「わかっているよ」
「グリッドウォール出しておく?」
正直、後ろからの気配がなければ、いらないかな。
「カナ、それはマリアの砂の壁のタイミングは任せていい?マリアが攻撃技を繰り出せるのなら任せるし」
「オッケー。マリアちゃん、頼んだよ。アカリちゃん、400まで来てる」
まだそんなものか。少し時間がたった気もしたけど、今までが早すぎたのかもしれない。
少し長めの矢を使うし、飛距離も少し長くなるだろうな。早いかもしれないけど、撃っておこう。これだけ細い矢なんて暗いと見えないだろうし、多少早くても効果はあるだろう。というか、せっかく打つなら、効果はあってほしい。
「ミーティアシャワー!」
感触はいい。いいところに刺さったと思う。
「エル、危険覚悟で頼むんやけど、ど真ん中おってくれへん?アカリの放った矢のあたりまでおびき寄せたい」
それって、かなり危険じゃ……。
「わかった。そのかわり、私も危険を感じたら攻撃に出るから」
「そこはもちろん。いつまでもかかしのようにおってとはよう言わんし。ユカリ、ライトサイドウォール、アイ、レフトサイドウォール」
「オーライ」
呪文みたいな言葉を発したルナ。もちろん、これは、日本語に直すと、「ユカリは右の壁際から攻撃して。私は左の壁際から攻撃する」という意味。
ただ、エルに指示を出さなかったのは、エルが身の危険を感じたらすぐに動き出すように言ったからだろう。ここは自分たちでできるだけ行くみたい。
「コスモスプラッシュ!」
「サンダーバード!」
兵士たちが私たちの100メートル付近で一瞬立ち止まるのが見えた。
突き刺さっている矢に驚いていることだろう。
その戸惑っている兵士たちの隙をついて、ルナとユカリが同時に攻撃を仕掛ける。そして、エルも自分が攻撃されることがないとわかると派手に参戦する。
本当に、この近距離戦士3人。戦闘狂になってきていない?それが気のせいだと思いたいんだけど……。
狭い通路での戦闘は、あっという間に終わり、伸びた兵士たちを横目に私たちはまた進みだす。
そして、何度か同じ戦闘を繰り返して、何階も地下に降りたところで、エルが急に立ち止まった。
「どうかした?」
「……いや。なんでもない。気のせいだろう」
そういうと、エルはまた進みだす。
そして、私もエルが止まった牢屋の前を通り過ぎようとしたとき、中に憔悴しきっている男がいることを確認した。
ここには、反政府勢力しかつかまってないはずで、反政府勢力はエルたちスノードロップだけじゃなかったっけ?そう思ってエルに問いかけると「私に詳しいことはわからないが、国家転覆する計画がばれてここにいるみたいだ」と言っていた。
そんなこと、未来の日本でもあり得るんだ。と思った時でもあった。……いや、冷静に考えれば、私たちも、現在進行形で国家転覆に係わっているんだった……。
そこからまた何度か戦闘を繰り返し、何階か地下に降りて、またエルが立ち止まる。
「なんだ、この雰囲気。こっちか」
そうつぶやくように言うと、ふらっとなにかに吸い寄せられるように一人で歩いていく
「エル!一人やと危ないで!」
ルナの声掛けもむなしく、エルは一つの部屋の前で立ち止まった。
「ここ……だと思う」
おそらく、何かを感じるんだろうけど、私たちキッシングナイトには残念ながらそんな能力は持ち合わせていない。
「カナ、わかる?」
カナの透視ならどうにかなるかなと思って聞いてみる。
「う~ん。わからない。正直、この牢屋と思うんだけど、部屋の前で魔力がブロックされている感覚になる。こんな経験ないからちょっと気持ち悪い」
「閉鎖空間か。でも、この通路くらいなら見えるんだろ?」
「それくらいなら。ただ、なんだろう。だんだんと探知しにくくなってきてるかも。カナもよくわからないんだけど」
だいぶとカナが困惑しているな。こんなカナを見るのは珍しいかも。
エルのときもだいぶ困惑していたけど、そのときの困惑とは少し違う気もする。
「まぁここはいいだろう。とりあえず、このあたりに開錠ボックスがあるはずだ」
「そこまでにしときな」
後ろから声がして振り向くと、エルとは正反対の格好をした女が2人立っていた。
できた順に更新してたら、前と同じスピードになってました。(ー_ー;)
まったくもって約束を守れていない、、、
そして、やっと戦犯収容所。
どこまで続く、、、このセクション、、、




