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Snowdrop ~雪の華 あなたの死を望みます~  作者: 黒龍
動き出す

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20.避難通告

 もう、気が付けばスノードロップが襲撃を予告してきた当日で、本日は朝から各部署、慌ただしく動き回っております。

「アリアス!避難の状況はどうなっている!」

 いつになく大きなお声で状況を確認されるクラシア様。ご自身でもスノードロップの強さを目の当たりにしているのか、かなり危機感を覚えていらっしゃるご様子です。

「避難通告は帝都全域に、なお、避難完了は約5割、未完了のうち2割は避難準備中です」

 低いな。そうつぶやいたクラシア様は手であごをさすられます。

 わたくしもなぜ避難されないのかが謎なのです。

 もしかするとですが、スノードロップが関係しているのでしょうか。

 と、申しますと、スノードロップはわたくしたち政府の人間を恨んでいると考えられ、一般国民には攻撃しないというデータが上がっています。しかしながら、このことは一般国民には公表されていないこと。ですが、建物等への攻撃がないことを見られると、薄々感じられているのかもしれません。

 あと、もう一つの可能性があるとするなら、スノードロップが捕まって壊滅されたという誤った情報が世を駆け回ったせいで、今回の襲撃予告が偽情報と思われているせいなのかもしれません。

 どうにかして、避難を促せるような情報は何かないでしょうか。

 ……あっ、そういえば、ひとつあります。世に公表されていない情報が。

 ただ、これには、不確かな情報が多く、情報をもちかえってこられた山岳救助隊の一部とわたくし、そしてクラシア様、あとはムーンライトのヒカリ様しか知らない情報で、わたくしを除いた4人の側近の方はこの情報のことすらご存じでないはずです。ですから彼女たち4名に信じてもらえますでしょうか……。

「クラシア様。もしかすると、得策ではないのかもしれませんが、世に出していない情報を公開して、避難を促すのはいかがでしょうか?」

「世に出ていない情報だと?そんなものあったか?」

「はい。ヒカリ様に情報を検索していただいている5人組の件についてです。たしかに、不確かな情報が多いうえに、偵察部隊からもそのような報告が上がっていませんが、もし、実在して、スノードロップと異なる行動し、一般国民に危害を加えたとするなら……」

「それはそれで頭を悩ませるが、危害を加えられる可能性があったのに、避難をさせなかったのかと批判が集まる恐れがあるということか」

「ご明瞭でございます。それなら、未確認勢力が襲撃してくる可能性があり、一般国民に危害を加える恐れがあると公表すれば避難を促せるのかと」

「確かにそうだな。反政府勢力が襲撃を始めた当時、一般国民に危害を加えていたな。そうしたら、アリアス、記者を呼んでくれ……。いや、緊急映像放送を使おう。情報庁からジュリエッタを呼び出してくれ」

 そう来られましたか。でも、記者を呼んで公表しても、それなりに時間がかかりますから、それを嫌ったのでしょう。

 かしこまりました。それだけお言葉を返して、私は急いで情報庁に。そして、ジュリエッタ様に事情を説明し、クラシア様のもとにお連れして、準備を始めます。

 わたくしもお手伝いをと思ったのですが、ジュリエッタ様のお付きの方がすべて仕上げてしまうので、わたくしはクラシア様のメークアップを済ませ、緊急映像放送の準備を整えます。

「クラシア様、準備が整いました。よろしくお願いいたします」

「あぁ、こちらこそ頼む」

「それでは行きます。3・2……」

 ジュリエッタ様が手を差し出したと同時に映像が流れ始めたようです。

 そして、クラシア様がお話を始めます。


 皆の者、日ごろから私たちを標的にする反政府勢力の対策に心の疲れもあるだろう。心から労わせてもらう。

 そんな皆の者に私たちから緊急を要する話がある。まだ未確定で不確かな情報だが、信じるか信じないかはそなたたちの自由だが、聞いてほしい。

 まず初めに、いろんな噂があふれていると思うが、事実だけ公表する。先日捕らえたスノードロップが殺され壊滅したとの噂が立ち回っているが、性格には全員でないし、死んでもいない。

 確かに、4人いたうち、3人は帝都に配属している兵士により捕らえることができた。しかし、1人は捕らえる直前に3人に魔法で協力され逃げられてしまった。それが事実だ。

 そして、私がなぜ、緊急避難を指示したのか。

 それは、そいつが本日の夜、様々な箇所を襲撃すると予告してきた。これでシェルターや帝都外に避難を完了した帝都民が多くいると聞く。避難していない者たちはなぜだ?スノードロップが帝都の一般の民を攻撃しないからか?そう信じるならそれで構わない。だが、新たな情報が報告された。

 私たちは、反政府勢力がスノードロップだけだと確信していた。そして、前の戦闘で、ヤツ1人を始末すればいい。そう思っていた。しかし、先日山岳救助隊がスノードロップと遭遇し、負傷したものの生還したが、その際、正体不明の黄金色の防具をした5人組がスノードロップのリーダー、エルトゥーヤ・エディーナと同じ魔法攻撃をしてきたと報告してきた。

 その黄金色の5人組については、我々の方でも調査を進めているが、いかんせん、我々のデータや技術を駆使しても正体がいまだわかっていない。

 ついては、スノードロップとは違い、そなたたちを攻撃しないとは限らない。何かの恨みを晴らすためにいろんなところを攻撃する可能性もある。

 私たちは引き続き情報収集をしていくが、皆の者についても早急に避難を進めるよう願いたい。

 私からは以上だ。皆の者が安全に避難できるよう、心から祈っている。


 しばらく時間を空けて、緊急映像放送が終了したようです。

「クラシア様、お疲れさまです。みなに伝わってくれたらうれしいですね」

「あぁ。なんとかして人的被害を抑えたいというのも本音だが。あとは、どれくらいが避難を完了してくれるか。ジュリエッタ、あと付きの者。助かった。また引き続き情報収取と提供をよろしく頼む」

「かしこまりました。失礼いたします」

 片づけを早々に済ませると、ジュリエッタさまは執務室から退出されました。

「アリアス、すまないが、レイチェルと連絡を取って保険医がどれくらい到着しているか確認してくれ」

 クラシア様からの新たな指示が私に出されます。

「かしこまりました。失礼いたします」

 レイチェル様ですか。ヒカリ様より、保険庁で必死にお仕事をされるご様子は確認されておりますが、ここ最近のご報告はすべてメールでお済ませになられているのが気になるところなのです。

 今、コンタクトを取ろうとしても、繋がりますでしょうか?

 とりあえず、やるだけやってみましょうか。

『はい、レイチェルです』

 つながりました。この時間帯は繋がることはなく、いつもお勤めになる保険庁の部下の方にご連絡を取り次いでもらうのが普段の流れなのですが……。

 そんなことを思いつつ、戸惑いを隠してレイチェル様とお話をします。

「お疲れ様です。アリアスです。本日、クラシア様からお言葉を預かっております。お伝えしてもよろしいでしょうか?」

『あっ、はい。えっと、はい。大丈夫です』

 少し慌てた様子を見せられたレイチェル様。何をそんなに慌てることがあるのでしょうか?

 まぁ、そのようなことは気にせず、クラシア様からのお言葉をお伝えします。

『そのことですか。えっと、今は、要請した医師1千人にたいして、昨日時点の到着人員が924、あとの残りは日の入りまでに到着予定、看護師については、すべて現地入りしていて、医薬品類も要請したすべてをこの保険庁の地下で保管しています』

 そこまで順調に来ておりましたか。ありがたいお話です。

「かしこまりました。その旨、クラシア様にご報告させていただきます」

『よろしくお願いします。あっ、あと、アリアスさん。さっきの緊急映像のことは本当のことなのかい?』

 たまに口調が変わるレイチェル様。話し方が稀に男勝りになるのは、性格のせいなのでしょうか?

 わたくしはあまり気にいたしませんが、クラシア様の前ではやめてほしいものです。

「えぇ。クラシア様がされていたお話は全て事実です。山岳警備隊の一部も確認しているお話ですので」

『そうかい。作り話じゃないんだな……』

「レイチェル様、なにか心当たりでも?」

『いや、そういうわけじゃないんだが、ヒカリにもわからないことがあるんだなって。まぁ、中身は承知した。また医師が全員揃えば連絡する』

「はい、よろしくお願いいたします」

 わたくしがそういうと、慌てたようにレイチェル様は電話を切られます。

 やはり、なにか心当たりがあるのでしょうか?


ご報告

いつもスノードロップ~雪の華 あなたの死を望みます~をお読みいただきありがとうございます。


さて、次回ですが、なんとか、2話更新できそうなので、明日は午前2時、午後2時で更新致します。

お楽しみに。


そして、ようやく明日から最終幕が始まります。

ようやくここまで来た。と感じております。

視点がくるくると巡り、追いつかないところもあるかと思います。

話し方で誰視点なのか分かっていただけますか?

わからない。との声があれば、少し調整してみますので、お気軽にお声をいただければ幸いです。


それでは、最終幕もお楽しみください。

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