Episode 27 前衛の守衛地
「イバン、機械兵は、警戒モードを最強にしたとき、どういう挙動をする?」
「警戒モードを最強にしたときですか。後衛に残してきた機体で10段階中の8で設定しております。その機体たちは、不審者を発見すると、威嚇射撃をして、それでも近づいてくるようであれば、拘束へと行動を変えます。最大級のモードにした際は、その行動の間に、不審者へ向けて銃撃を行った後、拘束へと行動を変えます。生存していたとしても、息の根を止めたとしても」
「息の根を止めたとしても、拘束をするのか?」
「おっしゃる通りです。息の根を止めたとしても、証拠として回収いたしますので」
なかなかだな。まぁ、私としては、生きていようが死んでいようが敵兵を回収して、停戦交渉の手に使えるならそれでいい。
「わかった。それじゃあ、前衛の機械兵は、警戒モードを最大にしておいてくれ」
「承知いたしました。ここで殺してしまっても構わないということですね?」
「あぁ、もちろん。カンジャルナで食い止めたいというのが本音だ。その証拠に、ヘレンには兵を配備していない」
「……ここでしか兵の配備をしておられないと。強気に出られましたね」
まぁ、そう言われたらそれまでだ。それでも、カンジャルナで食い止めたい理由は、ヘレンに入られたら、手の施しようがない。というだけだ。
ヘレンは、カンジャルナに比べて、発展しているのもあるし、街が広く、入り組んでいるというのもある。正直、街に入り込まれたら、どうにもならなくなる。
その前に、全部討伐しきりたい。というだけ。
「政見放送をしていないのがその理由だ。ヘレンを戦火に巻き込みたくないというのが理由の一つでもあるし、ヘレンの街に入られると、入り組んだ街に入られたら追いかけきれないから。というのが理由だ。だから、機械兵を3つの部隊に分け、前衛で敵兵の壊滅を目指し、中盤と後衛で突破してきた敵兵を蹴散らしきる。という戦法だ」
かなり無茶なことを言っていることは私もわかっている。だとしても、ほかに手がなかったというのがあるし、イバンの目の前では言えないが、忘れていた。というのが本音。
まぁ、そこは隠しておいて、なんとか、カンジャルナで食い止める。という意識を持たせておくのが一番戦意を喪失しないで済むだろうか。
そんなことを思いながら、前衛の守衛地に向かう。
中衛の守衛地からさらに北へ2時間ほど。日は頭上を通過して、少し私たちの影を伸ばし始めている。少し早く守衛地に向かって、整備兵を拠点まで送りたい。そう思ってしまったところもある。
道に残っている轍を頼りに、歩き、かなり開けている土地にやってくる。
「ここ、ですか。草が生い茂り、見通しが少し悪いような気もしますが、機械兵のセンサーを使えば、問題ないですね」
それを見越して、ここに来た。というところはある。影から迎撃されたら、一溜りもないだろう。
敵の嫌がることを徹底的にやっていく。それが私の中にある、戦闘の哲学でもあったりする。
「ここの機械兵はいつでも威嚇射撃、警告射撃をできるようにしておきますか?」
「あぁ、そうしてくれ。敵に気づかれてから警告射撃や威嚇射撃をしても遅い。不法入国という面で警告してから、引き返さなかったら、警戒モードのまま動かしてくれたらいい」
「承知いたしました。聞いておられましたね?そのように手筈を取ってください」
『イェッサー』
それだけ言った整備兵は手早く、手元のタブレットを使い、整備兵の設定を変えていく。
その動きは相変わらず、手早く設定を変えているようで、機械兵は、設定が変えられると、少しだけ瞳に当たる部位の色を変えたあと、またすぐに元の色に戻る。
それだけで設定が変わったのか。なんて思うし、整備兵の動きも、訓練されていることもあるのか、相当早く、感心するものもある。
この調子なら、日が沈む前に拠点にもどることができそうだな。なんて思いながら、4人で1500体の機械兵の設定変更作業を見守る。




