Collabo 20 ララのおかげ
しばらくララと一緒に映像を確認していても、映像の中のララは何かを感じ取っているかのように迷いなく飛んでいる。
「ちゅん……?」
目の前にいるララは、こんなところ通ったっけ?みたいな感じで首を傾げているが、それも無理はないか。
ただ、私からすると、重要な情報のひとつになる。
攻め立てる時の道筋になるから。
「ちゅーん!」
目の前にいるララは、いきなり声を上げたかと思うと、羽をばたつかせ、私と画面を交互に見る。
「ここに何かあるのか?」
「ちゅん!」
そこまでいうなら、少し注意深く見るか。
それだけ思い、映像を少しだけ戻し、ララが騒ぎ出した少し前から映像を再開させる。
「これは……?」
「ちゅんっ!」
まるで、「見ろ」とでも言うかのよう。
「お前、こんなものまで撮れたのか。よく気づかれなかったな」
思わず感嘆の声が漏れ出ていた。
それを横目にするまでのないけど、ララ、何度目か分からないけど小さな胸を張って、偉そうにする。
「……なるほどな。騎馬より少し厄介かもしれないが、必要以上に恐れることは無いのかもしれないな」
それだけ呟くと、ララの目の前に、食い残していた米粒を持ってきて、ララの前に置く。
「お前さんはもうゆっくりしな。これ以上、何も無いだろ?」
「ちゅん♪」
ララはそれだけ小さく鳴くと、目の前にある米粒を啄み始める。
その間に、私は映像を最後まで見ながら、作戦を立てる。
とは言っても、迎撃すること以外、今は何も考えていない。それ以外はその時に考えればいい。と思い始めている。
とりあえず、ナターシャに映像を送るか。
それだけ思い、必要な箇所の映像だけピックアップして、ナターシャに送り付ける。
そこからしばらく休憩がてら、私も戦闘食を口にして、しばらく待っていると、ナターシャからリンクの通信を知らせるメロディーが鳴る。
「ナターシャか。見たか、映像を」
『見たけどさ、なにあれ?うち、見たことないんやけど』
「私も同じ意見だ。とりあえず、獣道は進んでくるだろうが、道無き道は通ってこずに、私たちからでも見えるところを通ってくるだろうと予想している」
『それはそうやろうけどさ、油断せんといてや。まだどれだけの攻撃力があるんかわからんねんから』
「あぁ、わかってる。機械兵の特性が活かせたらいいかなって思うが、まぁ、周りのことを考えると、ちょっとでも損失がない方がいいよな?」
『そりゃそうやろ。向こうが自爆してくれたらそりゃ儲けもんやろうけどさ。とりあえず、このこと、クラシアに伝えるで』
「あぁ、そのつもりで必要な部分を切り取って映像を送り付けたからな。場所だけ説明するから、映像を再生してもらえるか?」
『ちょっと待ってや……』
少ししてから、ナターシャが『ええで』と声をかけてくる。
「映像をカットしてあるから、順に説明する。もし、ドルペントの地図があるなら、参照して欲しいが手元にあるか?」
『あるで。クラシアに言うて手配してもらった』
そこから、ナターシャの頭の中でなにか出来上がってくれることを祈りつつ、ララが撮ってきてくれた映像の解説を進める。
『なるほどね〜。これを何匹単位かわからんけど、各駐屯地に配備してそうやな。ドルペントの駐屯地は〜……陸続きの国やから、結構点々とあるな。ひとつの駐屯地が崩れてもカバーできるくらいに。ちょっと厄介なことになりそうやね』
「そうか。わかった。なにか他に分かったら連絡をくれるか?」
『もちろん。情報庁にもこの映像送るで?』
「あぁ、もちろん。この獣の正体と弱点を早めに知りたいしな」
『了解。それも含めて聞いてみるわ。他に聞いとくことはない?』
「あぁ。今はない。敵の獣のことだけ、先に知りたい」
ナターシャは『了解』とだけ短く言うと、通話を切り、私のタブレットは音を失くした。
さて。どんな情報が手に入り、クラシアから防衛庁を経由して、どんな作戦が伝えられるか。気長に待つか。
ここまで分かれば、私一人で無闇に突っ込まずに、指示を待つほうがいいだろう。そんなこと、なかなかしないけど。
そんなことを思いながら、まだ米粒をつついているララの姿を視界に入れる。




