11.対策 p2
「すまないな、ヒカリ。お前にもいろいろ事情があるだろうが、時間を割いてもらって」
クラシア様がお口にされた『ヒカリ』と呼ばれた女性が入ってきました。
この方こそ、政府が持つスーパーコンピューターのムーンライトです。実は人型で自身で移動ができるのです。
「いえいえ。クラシア様に呼ばれるなら、すぐにでも来ますよ。なんなら、真夜中でもお屋敷に伺いましたのに」
「それはおまえに悪いと思ったから、この時間にした。それで。スノードロップのことについて教えてくれないか?」
「はい。あの日、私は確かに襲撃可能性が0%と出しました。それは、過去の事例と、スノードロップの行動を解読した結果です。それを崩したのは、ウィリアム・ジェームスです」
「そうか。ウィリアムが絡んでいたことはわかっていて、すでに国家転覆罪で戦犯収容所に放り込んだ。死罪になるだろうな」
「さようにございますか。それでは、ウィリアム・ジェームスがスノードロップと思われる女4人に接触したこともご存じなのですね?」
「あぁ。すべて奴の口から吐かせた」
「それなら、私の出番はなさそうですね」
「みたいだな。他のことがわかればと思ったが、お前も把握できているのはここまでか」
「申し訳ありません。またなにか情報があればお伝えいたします」
どうやら、ウィリアム・ジェームスが話したことがすべてだったようですね。少し早いですが、お話も終わりそうですし、わたくしからも依頼をしてもいいでしょうか?
「それなら……」
「横から失礼いたします。わたくしからもひとつお調べいただきたいことがありまして」
「何でしょうか?」
「クラシア様、この後お伝えしようと思っていたのですが、先にムーンライトにお調べいただきたいことがあります。よろしいでしょうか?」
「あぁ。ムーンライトがよければ」
「私は構いませんよ」
双方からのご了承をいただいたので、私は山岳警備隊の報告のことをお伝えします。
「なるほど……。瞬時に検索をしてみたものの、私のデータにはありませんので、おそらく、アナログ文献の可能性がありますね。私の方でも調べてみます。わかったことがありましたら、アリアス様にお伝えしたほうが?」
「いえ。クラシア様のもとにもお願いいたします。なにか嫌な予感がいたしますので」
「わかりました。それでは『アカリ』『マリア』と呼ばれた『黄金色の防具をした5人組』をお調べして、クラシア様とアリアス様にご報告いたします」
「すまないな。仕事を増やして」
「そのようなことはございません。これが私の仕事ですので。それでは、この後も謁見予定がありますので失礼いたします」
そう挨拶をしたムーンライトは静かに退室。部屋にはクラシア様とわたくしが残ります。
「アリアス、さっきの黄金色の防具をした5人組とはなんだ?」
クラシア様がわたくしに聞いてきます。もちろん、昨日のことをお伝えしていないので、ムーンライトが退室された後ご報告をと思っていたのです。
「それも含めて、昨日の日報をご報告させていただいてもよろしいでしょうか?」
「あぁ。そうしよう」
クラシア様のご了承を得て、重要なところをかいつまんでご報告。
「そうか。わかった」
わかったというクラシア様のお顔はなにかお悩みのご様子。喜怒哀楽が出やすいところもクラシア様ですね。
「何をお悩みですか?」
「うん?あぁ、スノードロップを早期壊滅させるか、しばらく泳がせるか。もちろん、場所がわかっている以上、早期壊滅のほうがいいだろう。しかし、体制を立て直されていると、かなりきついと思う。それに、地の利もある。偵察部隊を送るほうがいいか」
確かに、わたくしたちは反政府グループを早期壊滅したほうがいいに越したことはありません。ですが、なにもわからないところへ襲撃に行くなど、死に行くようなもの。戦力差のことを考えると、あまり実行したくない作戦です。
「わたくしも偵察部隊を動かして、シュルムー山を探るほうがよろしいかと」
「そうだよな。アリアス、すまないが、今動ける偵察部隊を確認してくれないか?数によって偵察させる範囲を決めようと思う。あと、その偵察部隊の中に、召喚鳥を召喚して手紙を飛ばせる兵も数名入れてくれ」
「かしこまりました」
クラシア様も反政府グループを壊滅させるために、待つだけではなく、ご自身から大きく動く方に舵を取られるようです。




