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Snowdrop ~雪の華 あなたの死を望みます~  作者: 黒龍
動き出す

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11.対策 p1

 あら、いらっしゃいませ。どうされましたか?

 ……えぇ。わたくしがカルア・アリアスですが?

 ……わたくしの仕事の様子が見たいと。そういうのは前もって言っていただいて、クラシア様の許可が本来はいるのですが……まぁ、今回はいいでしょう。クラシア様からも、あなたが何もしてこないことをお分かりのようですし。

 ただ、少しやりにくいですね。あなたはいないものとして執務をさせていただいてもよろしいでしょうか?

 それなら。くれぐれもわたくしの邪魔だけはご遠慮ください。死にたくなければ。

 とりあえず、今は……日付が変わってもう1時ですか。

 そろそろ、各警備隊が日報の報告にお越しになられるはずです。本日、わたくしの執務につきましてはこの報告を聞いて終了となります。

 まぁ、おそらく、眠れないかもしれません。今宵に関しては。

 なぜでしょうか。なにか大きな報告がもたらされるように感じます。

 そんなことを思っていると、ドアがノックされました。第一陣の報告でしょうか。

「どなたでしょうか?」

「はっ、帝都常設守備隊、当直でアロン・シューでございます」

 一番報告の多い部隊が報告に来られましたか。ここは一番遅い方がありがたいのですが……。まぁ、来られてしまったものは仕方ありません。報告を聞いていきましょう。

「どうぞ、お入りください」

「はっ、失礼いたします」

 当然、大柄な男が入ってくる。というものの、わたくし自身、背丈が150に満ちませんので、周りが大きいのは当たり前でしょうか。

「どうぞおかけください。そして、そのままお話しください」

「はっ、本日、戦犯収容所のB4エリアに連行されましたウィリアム・ジェームス元警視総監は、暴れたり大声を上げたり等の威嚇行動等はなし。おとなしく自身の行動に悔いているようでした。また、B8エリアに収監されているスノードロップにつきましては、本日警備を担当した守備隊第69隊が昼間に『陽が3回沈んだあと、救出に来る』と聞き取ったと報告が上がっております。その他異常はありません」

 当直のご報告、気になる文言がありましたね。これについては、もう少し詳しく詰める必要がありますね。

「詳しくは、本日送付しております日報にてお送りさせていただています」

「わかりました。ありがとうございます。ご苦労様でした。ゆっくりお休みください」

「お気遣いありがとうございます。失礼いたします」

 そういうと、帝都常設守備隊の当直はおさがりになりました。これだけの短さですが、これがいくつもの隊が来ると、やはりお時間はかかりますよね……。

「失礼いたします。山岳警備隊、連絡当直のリリー・クランと申します。本日、ですが……」

「リリー様、先にお座りいただいて、落ち着いてご報告ください」

「あっ、失礼いたしました」

 このお方は、少しあわてんぼうなのでしょうか?椅子にお座りになられても、お話のスピードが落ちません。

「それでは。本日、シュルムー山にて遭難者救助訓練を行っておりました第15方面救助隊ですが、下山時に隊のすべてが一時的に遭難。中腹あたりで雨風をしのげる洞窟を見つけ、興味本位で探検をしていたところ、全国指名手配されているスノードロップのエルトゥーヤ・エディーナに遭遇。拘束を試みるも、一瞬で降参を選ばざるを得ない状況に。しかしながら、一部隊員が怪我を負ったものの、全員が生還。現在も中隊長をはじめ、隊員全員に事情聴取を進めております」

 偶然のたまものとはいえ、ようやくスノードロップの拠点を見つけることができましたか。

「そうですか。他には?」

「え~っと、あっ、これだ。さきほどの救助隊ですが、現在もなお事情聴取を進めております。その中で退院全員の口から出た証言がございまして、エルトゥーヤ・エディーナのほかに、黄金色の防具をした女5人がエルトゥーヤ・エディーナ同様、攻撃魔法を仕掛けてきた。とのことです」

「黄金色の防具をした5人?」

「はい」

 何か引っかかりますね。

「その者たちの名前は何て申していたかご存じですか?」

「いえ。ただ、この国では聞きなれない名前を言っていたかもしれない。と報告が上がっております。一部隊員は『アカリ』と聞いたり『マリア』と聞いたり、聞こえなかったという隊員もおります」

 なんでしょうら、私もどこかで聞いたことのある名前ですが、どこでしょう……。とりあえず、ほかの報告がないか聞いておきましょうか。

「承知いたしました。他になにかございますか?」

「いえ。私からは以上です」

「ありがとうございます。ご苦労様でした。ゆっくりお休みください」

「はっ、失礼いたします」

 そこから、わたくしは各部隊からの報告を受け、本日は2時半。ようやく就眠です。


 あら。おはようございます。よくお眠りになられました?午前5時ですが。

 そうですか。72時間不眠で働きます。とおっしゃるタイプですか。

 それなら問題なさそうですね。

 さて、それでは、わたくしの一日の始まりです。

 まずは、昨日の報告された事象と送付された日報の確認から。それも1時間もかからないうちに確認を終え、今度はこの館にあるキッチンに入り、朝食の準備です。

 本日は、昨日スノードロップの分析を依頼したムーンライトから、分析結果が出たとのご連絡があり、9時にお会いするお約束になっております。

 そのためのスケジュールは昨日のうちに組んでおります。

 朝食はお時間もかけている余裕はありませんし、わたくしの分はいいとしても、クラシア様にはしっかりお仕事をしていただきたいものですから、しっかりとおつくりさせていただいて。

 6時25分。ここでクラシア様の寝室に向かい、クラシア様を6時半ぴったりに起こし、朝食を召し上がっていただきます。

 そのあとは、ご自身で執務服にお着替えいただき、8時に官邸を出発。8時半に情報庁に到着。先にクラシア様には席におつきいただきます。

 そこから時間の9時になるまでの間、クラシア様の身の回りをお世話しながら、ムーンライトが来るのを待ちます。

 そういえば、ムーンライトがなにかご説明しておりませんでしたね。

 ムーンライトとは、今から30年前に国内の情報をすべて中央省庁に集中させる目的で作られた移動型スーパーコンピューターでございます。

 毎年、何かしらの機能を追加してバージョンアップしております。

 最近、一番使うもので、ひとつあげるとするなら、ムーンライトを介して情報庁統制部が扱う帝都の追跡マップでしょうか。

 この追跡マップは本当にいつも反乱軍からの襲撃に重宝します。どこにいるかすぐに把握できますので。

 これ以外にも、ほかの業務のデータを保存したり、閲覧したり、作成など、すべてムーンライトを介してお仕事をされています。わたくしも使用させていただくことも多々あり、大変重宝しております。

 あら。ちょうどムーンライトがお越しになられたみたいです。お時間は早いようですが、早ければ早い方がいいでしょうか。

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