Collabo 12 ちょっといろいろ癖があるよな
日は少し傾きだした頃か。まだ今から歩いて帰っても問題はないな。もう少し街を散策してから戻るか。そんなことを思いながら、ゆっくりと街を散策。
平和な街を見れるのは私としても安心だし嬉しい。
……っと。そうか。昼をまだ食っていなかったな。恥ずかしながら腹が鳴ってしまった。
たまには、広場の屋台で飯を乞ううか。こっちに来てからそんなことをしたことがない。
まぁ、副首長という立場柄、立ち食いはな。この帝都の中では控えてきた。
さすがに、アジトのある街へ行ったときは、身分を隠していることもあり、普通に立ち食いとかもするが、さすがに、帝都ではな。できないよな。
まぁ、今日ばかりはいいだろう。私ひとりだし、何も気にしなくていいだろうから。
そんなことを思いながら、帝都の西側にある大きな広場にやってきた。
ここもここで大いににぎわっている。
一時期の感染症が流行った時期とはまるで違い、活気にあふれている。いい光景だ。そんなことを思いながら散策していると、屋台からいい匂いが流れてくる。
やはり、屋台と言えば串だよな。甘辛いたれに浸けた肉が食欲をそそる。
それに広場とはいえ、すごい呼び込みの声。
アジトのある拠点ではなかったものだ。
屋台の店主それぞれが「自分の店が一番だ!」と言わんばかりの自信で、呼び込みなんかしなくても、客が寄ってくる!というスタンスでいたからな。
まぁ、どの屋台も自分の味は持っているんだろうな。とはいえ、一番はいつも世話になっているオヤジのところなんだけどな。
そんなことを思いつつ、匂いにそそられ、屋台の暖簾をくぐる。
「へいらっしゃい!」
威勢のいい声だ。それほど味に自信がないのだろうか?それとも、これがこの地域のスタイルなのか?
少し困惑するところはあって、気迫に押されるところはあるが、少し引きながらも店主に伝える。
「すまない。串を一本貰えるだろうか」
「毎度あり!150リャンだよ!」
少しうるさいな。と思ったのは秘密の話にしてほしい。とはいえ、たぶん、ここに来るのはこの一度きりだろうとは思うから、あまり気にしなくていい気がするが。
そんなことを思いながら、慣れた手つきで串を焼いてくれる店主。
私がここに立ち寄った理由は、炭火で串を開いていたからだ。それだけで高得点だが、肝心な味はどうだってところ。
味がうまくないと、声がでかくて、珍しい炭火で失敗作を作る店と思ってしまうだろう。
「おまっとさん!焼串な。あちぃから気を付けてくれよ」
目の前にいて、普通に話していても聞こえるのに、それでも大きな声で話してくる店主。さすがに、聞こえてるっつうの!と言いそうになったが、まぁ、そこは耐えて、焼いてもらった肉の串だろう。
……見た目絵はいいな。焼きすぎもせず、ちょうどいい焦げが付いている。ただ、中に火が通っていないと意味がない。あと、味付けだな。
そんなことを思いながら、思い切り肉にかぶりつく。
……っ!あの街の味に比べると、相当落ちるじゃねぇか。まぁ、食えんほどではないが、私の口には合わんな。というか肉の味が最悪すぎる。
これも食えないほどではないが、新鮮さがなく、タレの香料で誤魔化しているような感じ。これなら、猪肉を焼いて食ってるほうがうまいな。とさえ思ってしまう。
そんなことを思いながら、肉を食い切り、串を店主に返す。
「美味かった。ありがとう」
形式的に出した言葉だけど、それえも店主は嬉しいらしく、「また来てくれよ」なんて笑顔で言う。
たぶん、こねぇよ。なんて心の奥で思いながらも、口にも態度にもせず、その場を立ち去り、私邸に向かって歩いていく。
それにしても、肉の癖にあまりうまくなかった。私の舌が肥えているだけか?そんなことも思うが。あとでイルたちに聞いてみるか。私らの味付けが濃いのかどうか。
まぁ、とりあえず、魔力の水は諦めるか。酒も、私がアジトから持ち込んだものがまだ残っているから、それを戦場でちびちびと飲むか。……いや、カンジャルナに向かう前にアジトに寄ることができそうだな。そこで酒を少し持ち出そうか。
そんなことを思いながら、私邸に戻る。




