Collabo 11 魔力回復を促す泉
次に向かうのは、魔力回復の噂がある寺。その寺で湧き出ている水に魔力回復の言い伝えがあるらしく、それを少し確認しに行く。
正直、どれだけの効果があるのかはわからない。効能によっては、アジトの近くから湧き出る水の方が効果を得られるかもしれないし、それの調査だ。
さすがに、この前の戦闘のときとは違って、ゆっくりと寝られる時間も少なくなるだろう。そうでもなれば、回復できるものに頼るほかない。
アジトだと風呂で使ったり、普段の飲み水として使っているところもあったが、さすがに帝都でそのようなことはできないからなと思いつつ、帝都の西門近くにある寺に来てみる。
裏道で戦闘食をもらったあと、西に向かい、公共交通機関に乗り込み、1時間くらい揺られ、到着したのは、すごく新しい帝都の雰囲気からは似つかない古の雰囲気を醸し出している。
いつからあるんだろうか。神聖な雰囲気を感じる。
この寺、ただものじゃないな。それだけはわかる。あとで私邸に戻ったら、ルーツを調べてみるか。後利益がありそうだな。と感じる。
「いかがされましたかな?」
ゆっくりと寺の敷地に入って行き、少しの間、散策するように歩いていると、住職だろうか。しっかりとした身なりで私の前に現れた。
「あぁ、唐突にすまないな。副首長のエルトゥーヤ・エディーナという。この寺に魔力回復の効能がある湧水があると聞いて、その湧き水を少しだけ汲みに来た。よろしいか?」
「あぁ、あの和泉のことですね。失礼ながら、魔女のお方でしょうか?……おっと、私の言い方で期限を悪くされたのであればもうしわけありません」
「いや、構わない。むしろ、そっちのほうが不気味な感じがして面白い。まぁ、そんなことはいいんだが、どこにあるのか案内してもらえるだろうか?」
「えぇ、構いませんよ。少々歩きますがよろしいかな?」
どれくらい歩くかはあまり気にしない。夕方に私邸へもどれたらそれでいいと思っているくらいだから。
それだけ思って「構わない」とだけ伝えると、住職は、「それではご案内いたします」と言って、森になっている深くへと歩いていく。
ただ、丁寧に手入れされていて、道も整備しているのか、とても歩きやすい。
住職としては、自慢のお寺なのだろうか。なんて思ってしまうよな。
整備されている道を歩くこと10分。住職が足を止めて私に向き直る。
「おそらく貴女さまがお探しになられているであろう泉はこちらが源泉になっております。ただ、なにとぞ、龍神さまを怒らせることはないように願います」
龍神さま?……あぁ、そういうことか。なぜここが龍善寺と呼ばれているのかをようやく理解した。
アジトの誓うの湧水が湧いているところは「女人の涙腺」と呼ばれていた。
シュルムー山をつかさどる女神が流した涙が元だと、歴史書に書いてあったから、私たちスノードロップはそう呼んでいた。
やはり、地域によって呼び方は変わるんだな。なんて思いながら、厳選の近づき、泉に触れる。
……なんだ、この不思議な感覚。
魔力を少し吸い取られるような感覚に陥る。
技を使った時ですら、こんなことにはならないだろう。
「久しぶりの女人で喜んでおられるようですな。ここ数十年は私たち住職しか寄り付かない者でしたから、おそらくそのせいかと」
いや、たぶん違う。おそらく、この泉は死んでいる。
……言い方が悪いか。魔力を出し尽くして、逆に吸い取る泉に変わってしまっている。
理由はわからないが、いかんせん、魔力を出し尽くして、魔力を持つものから吸い取って生き返ろうとしている。
いつまでもここにいると、わたしの魔力が全部吸い取られてしまって、倒れてしまう。さすがに、こんなところで倒れるのはごめんだ。
「住職、すまない。どうやら、その逆で、私が拒否されているようだ。連れてきてもらってすぐで申し訳ないが、帰らせてもらう。再度、道案内を頼んでもいいか?」
「承知いたしました」
少し不思議そうな顔をした住職だが、深追いしてくることはせずに、来た道を戻るように私を案内してくれる。
ただ、やはり気になったのか、私のことをチラチラみて、話しかけようか話しかけまいか悩んでいるように見えた。
正面口に連れて行ってもらえたら、正直に話してみるか。
そんなことを思い、来た道を10分歩いて戻り、最初に住職と出会った場所に。
「住職。急に来て悪かった」
「いえいえ。とんでもない。久しぶりの参拝者でしたので、少し驚いたところはありましたが」
「そうか。それと……言いにくいんだが、おそらく、あの泉は魔力を出し尽くしている。むやみに魔力を持った人間を案内しないほうがいいだろう。さっき、私も、かなり魔力を吸い取られる感覚に陥った」
「さようにございますか。忠告いただきありがとうございます。それでは、副首長様のご忠告通り、魔力を持った人間は通さないようにいたします」
住職がそう言ったあとに、もう一度「急に来て済まなかった」と謝礼を言って、私邸に戻ることにする。




