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Collabo 10 便利な代物を買えるのはありがたい

 外に出ても、こんな格好をする輩はごくまれにいて、あまりおかしいことでもないからか、変に凝視してくることはない。それだけは助かっている加奈。なんて思いながら、ムーナに教えてもらった店にたどり着く。

 店構えは少し特殊で、路地王らの少し奥まったところに不気味な雰囲気を醸し出していた。


「らっしゃい。若い嬢ちゃんが何の用だ」


 渋い声だ。しゃがれた声から察するに老人か?まぁいい。あまり長居するつもりもないし、さっさとやることをやっちまう。

 それだけ思うとおもむろに、カウンターになっているところにツカツカと歩いていき、その姿を確かめる。

 ……歴戦を重ねた爺さんか?物おじしない態度を見て、おそらく近衛兵か何かを経験しているのだろうと思う。


「戦闘食を買いに来た。とりあえず、30日分は欲しい」

「なにをそんなに。無理なダイエットか?それなら売らんぞ」


 なるほどな。そういえば、戦闘食は1粒食べるだけで食事を終わらせることになるし、栄養のバランスもとれている。若いやつらがこぞって買っていくのを聞いたことがある。

 ただ、私はそんなものではない。


「スノードロップのエルトゥーヤ・エディーナだと名乗ったのなら?」

「証拠はあるのか?」


 次から次に面倒なやつだな。そう思いながら、尻のポケットに入れている身分証を取り出し、爺さんに見せる。


「ほらよ。これでいいか」

「政府の高官か。何の用じゃ。うまい飯も食えるだろうに、こんなものに頼らんといけないのか?」

「少なくともな。この先、まともな食事ができる時間が無くなると予想されるから買いに来た。本音を言うなら、私たち、スノードロップのアジトにもまだたくさんある。だが、取りに行く時間が惜しいからここに来た。それだけだ」


 私がそう答えると、爺さんは、少し考えこむようにして、わざと焦らしてくる。もちろん、これは挑発だろうな。まぁ、そんな挑発に私が乗るはずがない。

 我慢できなくて「早くくれ」と言ったやつは、中毒症状があるやつだと思われて販売しないんだろうな。

 とはいえ、私らも小さいときから、たまに食っているが、中毒症状なんてなにひとつでていない。成人男性と同じ体質をしているからか?そこまでは正直わからないが、兵士はみな男で、中毒症状を引き起こしたなんて聞いたことがない。

 もしかしたら、副首長になって日が浅いからかもしれないが。


「そうか。その目は本気じゃな。いくつ欲しいと言った?」

「やっとわかってくれたか。とりあえず30日分だ。それで足りないようなら、私の部下に買いに来させる。一度来たことがある奴だ」

「……あぁ、あの小娘か。そういうことならいいだろう。あの小娘がくるなら、いくらでも売ってやる。わしが認めたもんしか売らんから安心せい。とりあえず、持ってくるからそこで待ってろ」


 少し上から目線ってところが少々腹立つが、ここで怒らせるわけにはいかない。そう思い、少しの間だけおとなしく待つ。

 そして、数分もしないうちに、爺さんは袋を持って戻ってきた。


「政府の高官じゃ。少々安くしてやろうか?」

「バカなことを言うな。言い値で買う。私はそこら辺にいるボケたクズ議員じゃない。一緒にするな」

「その飯草、なかなかに芯のあるやつじゃの。気に入った。1000リャンだけおくれ。それで取引しよう」


 なかなかの強気な言い値をつけてきたな。30日分だろ?そこまで強気に行けるとは思ってないから、3万リャンも用意してきたとしたのに。


「たったそれっぽっちでいいのか?何か裏があるんじゃないのか?」

「そんなことはない。お前さんがこれを乱用することはないと信じての値段交渉だ。不満か?」

「そうじゃない。適正価格で言うなら3万リャンはくだらんだろ。あまりにも価格崩壊しすぎている。それが怪しいと思ってしまうんだ」

「ふっ。リスク管理もばっちりじゃな。さすがのお前さんでもこの辺りは感づくか。試すようなことをして申し訳ないよ。わしが持ってきたのは、配合を失敗した駄作じゃよ。なにかしらの栄養素が抜け落ちていたり、過剰に入っていたりする。いわば、廃棄品じゃよ」


 えぐいことをしてくるな、この爺さん。あまりの安さに飛びついたら、廃棄するものをくれるつもりだったのかよ。飛びつかなくてよかった。

 そんなことを考えていると、モノを取り換えにいった爺さんが戻ってきた。


「約束通り1000リャンだけもらおうかの。お前さんの勝ちじゃ。お前さんの部下が名乗る奴がきても同じ値段で売ってやるよ」

「……感謝するよ」


 少し間が開いたのは、瞬間的ににおいをかいで、異臭がしないかどうかを確認したかった。

 こういうのは、一つでもはずれを引けば、全部が不良品だと判断して早岐しないといけない。だからこそ、こういう戦闘食を購入するときは、より慎重になる。


「不良品はないぞ。それに関してはわしが保証する。帝国海軍で料理人をしていたわしがな」


 モノにはかなりの自信があるようだな。そこまでいうなら信じようか。これでダメなら訴えるまでだ。とはいっても、戦闘食自体が非合法なところもあるんだが……。


 少し怪しいところはあったものの、1箇月ほど食事に困らなくて済むかな。と少し思いながら、次の目的地に向かう。


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