Collabo 9 いろいろと準備をしないと……
時間が経ち、興奮と緊張からか、あまりいい眠りに着けたとは言い難い朝になった。
久々にこれだけ寝つきの悪い夜を過ごしたかもしれん。
いくら、ショートスリーパーの私と言えど、寝つきが悪ければ意味合いが変わってくる。
なんというか、最悪。途中、どこかでうたた寝していたりして名。まぁ、そんな馬鹿なことは考えないで、朝になっていた。
とりあえず、どこから準備していくか。なんだよな。
昨日の夜?今日の未明?にイルに頼んで戦闘服を用意してもらっていたが、たぶん、今日は着ないだろう。
とりあえず、朝飯を食べながら今日やらなければいけないことを考えるか。
それだけ思い、自室を出て、ダイニングに向かう。
ダイニングではすでに入るとアリンが食事の準備をしていた。
たぶん、イルが寝たのは深夜2時ごろだろ?なのにもかかわらず元気そうな顔でキッチンに立っているとはいるもなかなかのショートスリーパーなのかもしれない。まぁ、どっちなのかわからないが。
「エルトゥーヤ様、おはようございます。ご気分はいかがですか?」
「あぁ、良い調子だ。ありがとう。イルは眠くないのか?深夜2時を過ぎていただろう。私が帰ってきたのは」
「お気遣いありがとうございます。私は平気です。毎日3時間ほどしか寝ておりませんし、それが身についておりますゆえ」
「そうか。それならいいんだが……。早速で悪いが、食事をいただけるだろうか。食事をとったあとは、しばらく自室に籠る。それだけは先に伝えておく。もし、スノードロップの面々に私がどこにいるのか聞かれたら、自室にいると答えてくれ」
「承知いたしました。それでは、こちらが本日の朝食でございます。テーブルまでお持ちいたしますので、お席でお待ちください」
アリンにそう言われ、おとなしく、自分がいつも座っている場所に座り、アリンが食事を届けてくれるのを待つ。
持って来てくれた食事は、朝から少し豪勢で、パンとサラダはもちろんなんだが、そこに牡丹鍋の残り物なのか、猪肉が入ったスープに、ローストされた猪肉もあった。しかも、ばら肉で。
「お前たちが食ってもよかったんだぞ?このばら肉……」
「私たちもいただきましたが、いかんせん、量が多いもので私たちでは……」
「そ、そうか。そうだな。すまない。押し付ける形になって済まない。それじゃあ、私たちも手分けして食うから、食卓にどんどんと出してくれ。それでも肉が傷みそうなら、孤児院に寄付してくれて構わない。それは任せるし、悩んだら、レベッカに聞いたらいい。レベッカに何度か頼んだことがあるから、送り方や処分の仕方も教えてくれるだろう」
「承知いたしました。的確なアドバイス、ありがとうございます」
アリンはそういうと、私に対して深々と頭を下げてきた。
アリンのいつもしない深い感謝の仕方を見れば、たぶん、本気でどうしようか悩んでいたんだろうな……。しばらくナターシャとムーナには狩禁止令を出すか?そうでもしないと、アリンが本気で困りそうだ。
で、たぶん、これを見る限り、メインの食材、猪肉はまだかなり残っているんだろうな。とは思うし、かなり減らしてもらって与えられている予算もかなり余らせているんだろう。
実際に帳簿を見てみないと何とも言えないけど、なんとなくそうなんだ。と思ってしまう。
一見、国民の血税を無駄に使わない、良いお手本のように見えるが、無理して自給自足しているように見られてもおかしくはない。それは私もわかっている。ただ、ナターシャたちは止まらないと、このイメージはずっとついて回るままだ。
まぁ、血税の無駄遣いをしない良い政治家だと思ってくれたらそれでいいか。私にとっては。そっちの方が変に言われることもないだろうし。なんて思いつつ、しっかりと朝食を取らせてもらい、自室に入る。
そこからは、戦争に必要だと思うものを、過去の記憶から引っ張り出してきて、紙に書きだす。
とはいっても、おそらく、私に必要なのは、戦闘食と魔力回復ができるドリンクくらい。
情報を受けとったり、指示を送るための無線機は部隊から借りることはできるだろうし、ほかに必要なのは、本当に何もない気がする。
まぁ、もし必要になったら、ほかの奴らに持ってきてもらったり、兵士から借りたらいいだろう。
となると、一度アジトに言って、戦闘色を取りに行こうか。それとついでに酒も持ってくることはできるだろうか。
少しの酒ならいいんじゃないかと思っている節があるんだが、それはさすがに不謹慎だろうか。
だが、それくらいしないと、さすがに私も私でいられなくなるだろう。そんなことを思いつつ、出変える準備をする。
「アリン、すまない。急用で少し出かけてくる。夕方くらいまで席をはずす。誰か来たなら、3人のうちの誰かに言ってくれ。そうしたら、私と連絡が付くから」
「承知いたしました。お一人で行かれるのですか?」
「あぁ、……いや、駅までイルについてきてもらおうかな。私の列車の切符の買い方の知識がない」
「承知いたしました。すぐに向かわれますか?」
「……いや、やっぱりいいや。街に出てくる。いずれにせよ。私は席をはずしていると伝えてくれ」
「しょ、承知いたしました。帝国の街を巡られるのですね?」
「あぁ、そうだ。警護も要らない。夕方には帰る」
「承知いたしました。それではお気をつけて」
アジトに行くよりも街に出ることを選んだ理由は、移動時間を気にしたからだ。
ただでさえ、アジトまで150キロ以上も移動をしなければいけない上に、急遽クラシアから呼ばれたときの対応ができない。
それなら、街で戦闘食を売っているところをムーナに教えてもらったから、そこに出向くつもりだ。
さすがに、酒を買うのはためらう。まだ齢20になったばかりの小娘が生意気に酒を手にしていることはどうかと思われるからな。
ただ、幸いなことに、自室にまだ封の開けていない東洋の酒を持っている。いつまで戦闘が続くかわからんが、持てるだけ持って戦地に向かおうか。
そんなことを思いながら、クローゼットのある部屋で私の口元と頭を隠すためのスカーフを手に取り、慣れた手つきで巻いた後、外に出る服装に着替え、そのまま街に出る。




