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Collbo 6 急遽の訪問者

 そこからどれだけの時間が経っただろうか。集中して作業を進めている中で、部屋のドアがノックされ、ドアの向こうから、レベッカの声が聞こえてきた。


「エル、クラシアが来てるけど、どうする?明日の会談を今のうちに済ませたいみたい。アリアス同伴で」

「……わかった。応接室に通してくれ。私もすぐに向かう」


 一体、こんな時間に何の用だ。まぁ、高官に終業時間はほぼ24時間と言われるが、夜もかなり更けた時間に来るのは違うだろう。と思いながら応接室に向かう。

 そして、応接室の扉を開けると、すでに来客用のソファーにクラシアとアリアスが座っていて、すでにレベッカかムーナが出したのだろう、紅茶をすすっていた。


「こんな時間にどうした」

「緊急の知らせだ。とある情報筋から、ドルペントが獰猛な獣の軍事作戦投入試験に成功したらしいと情報が届いた」

「朝に実験をしているという情報をもらったばかりじゃなかったのか?」

「そうなんだが、秘密裏に計画されて、数カ月前から実験をしていたらしい。それが見事に成功したんだとよ」


 また厄介な。いろいろ厄介すぎるだろ。


「で、何の話に来た?もう軍を動かすのか?」

「あぁ、そのつもりで話に来た。特別攻撃部隊を出陣させて、来たん尾国境付近に配置、防衛に徹してもらおうかなと思っているんだが、あいつはいるか?防衛庁長官」

「防衛庁長官のナターシャはまだ戻ってきておりません。まだ防衛庁にいるかと思います」


 私と話すときとは違って、少し硬くなって敬語を使うレベッカ。まぁ、それが当たり前なのかもしれないが。


「なら、防衛庁で話をまとめるほうが都合いい。防衛庁に出向く形でもかまわんか?

「勝手にしろ。どうせ、私は『イエス』としか言えない立場だ」

「なんだか、あれだな。昔に比べて威厳がなくなったな。あのときが懐かしいくらいだよ」

「なんとでも言え。こんなに政府の仕事を妨害されるとは思ってもないよ。とっとと議員の数を減らせよ。それだけで私らの仕事は減るんだからよ」

「時機に減る。選挙制度の改正も控えているんだ。そこで一気に変わるよ」


 クラシアの言葉に対して、私は「だといいんだが」としか返しようがなく、なたーさにリンクを使い、連絡を取ろうとする。


『エル、どないしたん?』


 リンクで繋いだタブレットの上にナターシャの姿が映る。まだ防衛庁の中にある自分の執務室で何かをしているようだ。


「すまないが、まだそこにいるか?」

『うん、おるで。どないしたん?』

「今から、私とクラシア、あとアリアスがそっちに向かう。お前を含めて話がしたいんだとよ」

『オッケー。まだもう少しかかりそうやし、そのほかにもタイミングがちょうどええわ。うちからもクラシアに速報せなあかんことがあるから、出向く手間省けるからありがたいわ。とりあえず、うちから受付には言うとくから、着いたらつれてきてもらって』

「あぁ、わかった。すまないな、忙しいのに」

『ええってことよ。ほな、待っとるで』


 ナターシャは忙しいのか、それだけ答えると、ぷつりと接続を経ち、私のタブレットは静かになった。


「えらく忙しいようだな」

「だな。勘でしか言えないが、ドルペントの件が絡んでいるんじゃないか?」

「かもしれないな。少し急ぐか。アリアス、テレポートで防衛庁のいりぐちまで飛ぶことはできるか?」

「もちろんでございます。すぐに飛びましょう。エルトゥーヤさん、お手を拝借してもよろしいでしょうか?」

「あぁ、かまわないが何をする?」

「簡単なお話です。私の魔術で防衛庁へ瞬間移動するだけです」


 そんなことができるのか?こいつ。だとしたら、ものすごい能力を持っているんだな。

 そんなことを思いつつ、アリアスに手を差し出すと、アリアスが私の手を握る。


「ありがとうございます。それでは参ります。テレポート。私たちを防衛庁へ」


 アリアスがそう言った後、しばらくすると、目の前が白い光に包まれたような気がした。

 そして、恐る恐る目を開けると、目の前には、まぎれもなく防衛庁の建物があった。

 本当にこんなことができるのか。とびっくりする反面、こんなことができたら、好きなところに行き放題だな。なんて思ってしまう。


「着いたな。受付嬢に言えばよかったか?」

「……あ、あぁ、そうだな」


 アリアスの能力に少し圧倒されながらも、冷静を保ち、私が先に中に入る。

 その私の後ろを負うようにしてクラシアとアリアスがついてくる。


「副首長のエルトゥーヤ・エディーナだ。ナターシャから話は聞いているな?」

「はい。お待ちしておりました。ご案内いたします」


 私よりいくつか年が上だとは思うが、それでも、かなりおしとやかで物腰も柔らかい。ナターシャとは大違いだな。

 そんなことをもいながら、受付嬢に案内してもらい、ナターシャが執務している部屋まで連れてきてもらう。

 そして、受付嬢が扉をノックすると、中から「どうぞー」と間延びした声が返ってくる。

 その声を聴いた受け付け像が扉をスライドさせ、私たちを中に入れてくれる。

 部屋の外で扉をノックされても、ナターシャは何も要件を聞かないんだな。と思ったところはあるけど、中に入ってわかった。

 扉の前に防犯用のカメラが付いていたのか、小さなモニターがナターシャの目の前にあったから、要件を言わなくても、私たちが来たことが分かったのか。

 そんなことを思いつつ、せわしなくあっちを見たりこっちを見たりしているナターシャに声をかける。


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