Collabo 3 海外の要人と会食
他国の来賓?迎賓?だからと言う理由で、少し離れた席に通訳を担当してくれる者も一緒に乗っているから、さすがにいつものようにゆっくりすることができない。
少し気は張るが、しょうがない。
「今日の相手はどこだった?」
「今日は、西隣国のカノイから国王が安全保障協力と貿易の関係で話がしたいって」
「カノイか。帝国と何か関りがあったか?」
「今はない。過去には、南隣国のシュルツ共和国を介して、食品の売買があったくらい。まぁ、その売買もルーヴァ王国が起点になった感染症の影響で取引がなくなって、今はなにもわからないっていうのが本音かな」
「まぁ、話しを聞くだけ聞いてって感じか」
「聞いた話を持ち帰って、クラシアさんと健闘、議会での会議って感じだろうね」
「二度手間って感覚はとんでもなくあるが、まぁいいか。いっそのこと、アジトで晩餐会をしてもいいんだけどな」
「怯えて出て来なくなるよ。しかも、エルが考えているのって、戦闘服で対峙するんでしょ?余計に出て来なくなるって」
まぁ、それもそうなんだよな。とは言いつつも、晩餐会だけ呼び出すとはどういうことだよ。いろいろ話がしたいって。私らはそんなに暇じゃねぇっつうの。と叫びたくなるけど、いかんせん、レベッカと通訳の前田。我慢するしかない。
車は20分ほど走り、帝都の中でも最上級クラスの食事ができる料亭の近くまで来ていた。
ほんと、こういうのって、私らスノードロップには不釣り合いだよな。
私らのごちそうって言ったら、自分たちでイノシシを狩ったあとのバラ肉やロース肉で作る牡丹鍋だったり、街に出て女将のところで食う定食だったりするのにな。
イノシシを狩ったあとも、普段は、スジ肉だったり、軟骨だったりと、少し遠慮されるようなところをスープにして食っていた。
あのときが本当に懐かしいな。
ただ、今でもたまにナターシャが買ってくることもあるけど、あのときほどの感動はない。
また戻るかと言われたら、首を思い切り横に振るが、懐かしい感覚には浸りたいと思う。
まぁ、そんなことは夢のまた夢なんだろうけど。
「エル、しゃきっとしてよね。ただでさえ、最近姿勢がよくないのに、弱くみられるよ」
レベッカからそう言われ、そういえば、最近デスクワークばかりだったな。なんて思った。
そうなってくると、さすがの戦いの腕も鈍ってくるか。さすがに、それはもったいないから、クラシアの話、まともに受けてみようか。
私が多少前に出ていてもいいだろう。怒られない程度だったら。
「あぁ、すまない。しばらくデスクワークばかりだったからな。背中が曲がらないように気をつけるよ」
それだけ言うと、私は店の中へ堂々とした態度で入って行く。
「お待ちしておりました、エルトゥーヤ様。お席にご案内いたします」
店の暖簾をくぐった瞬間、待ち構えていたように女将が出迎えてくれる。
まぁ、政府の偉いさんが来るなら、こうでもなるか。
あぁ、こんな堅い生活から抜け出したいものだよ。1週間だけでもいいからさ。なんて思いつつ、女将に通された一番奥の座敷。
女将がふすまを開けると、そこにはすでに隣国の役人が数人座っていた。
こちらは、私とレベッカ、そして通訳の3人しかいないというのに、向こうは何人用意しているんだ、本当に。
こうなってくると、圧にやられそうな気もしてくるが、まぁ、こっちには私とレベッカと言うスノードロップとしての圧がある。どうにかなるか。
そんなことを思いながら、上席に座る。
そして、私の右隣にレベッカが、左隣に通訳のゼタ・ネビンが入る。ここでは面倒だから、ネビンと呼ばせてもらうけど。
「ネビン、今日も引き続き頼むな。無礼な言葉があっても遠慮せずに一言一句偽りなく言ってくれていいからな。むしろ、本音をぶつけてほしい。汚い言葉でも」
「承知いたしました。仰せのままに」
まだ通訳の輩は来ていないだろうから、こっちの言葉はわからないだろう。たまにバレそうになれば、スノードロップの構成員同士で方言を使って誤魔化すけど。
それにしても、無機質なロボットのように動かないし、表情がないな。むしろわかりにくいから面倒そうだ。
そんなことを思いながらじっと観察していると、部屋を仕切るふすまがそっと開けられ、女将が顔をのぞかせた。




