99/100
天使の取り分
主様に怒られてしまった。当分は下界に行けない。
天界の窓から下界を眺めてため息を吐いた。
これも全部ぜんぶ、人形たちのせいだ。
悪魔は魂を対価に願いを叶えるのだという。
死神は残りの寿命を対価に黄泉へと橋渡しを行うのだという。
主様は経験を対価に魂を浄化し輪廻に戻すのだという。
それなのに、私たちには対価が何もないのだ。
だから天界へ案内する対価に愛を徴収した。
愛は素晴らしかった。友人、恋人、夫婦、家族、その他あらゆるものへ向けられ与えられる愛は、どれもこれも私を満たしたのだ。
ずるい。ずるいずるいずるい。
人形ごときが。人形のくせに。こんなにも満たされているなんて!
見境なく徴収していたら、動かなくなった人形がたくさん出てきて、主神様にバレてしまったのだ。
でもさ。たくさんいるんだし、少しくらいいいじゃないか。
私はまたこっそりと下界へと降りた。




