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夜が明けたら君は③
「やめなよ」
肯定する気は起きなかった。なぜなら偶々だったから。
「やめなよ」
否定する気は起きなかった。なぜなら本当だったから。
「やめた方がいいよ」
少女の目は、海の奥の奥、夜より暗い場所を見つめている。
「やめなよ」
彼女は何度も「やめなよ」と繰り返した。
「なんで!」
あなただってそうじゃなかったの?
意固地になって吐き出した言葉と同時に、花火の光が弾けた。
たくさんの流れ星のように、一瞬の輝きを放ち続ける花火に目と心が奪われる。
私たちは一緒になって歓声を上げていた。
「ね?」
「うん」
眩しいくらいの笑顔につられて私は泣いていた。
波の音と瞼を掬う朝日に目を覚ます。
隣には、幸せそうに眠る君の姿。




