97/100
夜が明けたら君は②
コンクリートの縁に立って海を眺めていた。
隣には献花と真新しいぬいぐるみが置いてある。
階段を下れば砂浜で、手招きでもするみたいに、波が音を立てて私を待っている。
「こんなところで何してるの」
びっくりして振り返えると、少女が立っていた。
青白い肌に長い黒髪、白いワンピースを着た儚げな少女は、まるで幽霊か何かのようにしか見えなかった。
「海を、見に」
「わたしも」
微笑んだ少女は裸足だった。
私が明日から遠のいたから、きっと、見えちゃいけないものが見えているのだろう。
少女は小脇に抱えた袋からロウソクと花火を取り出して、「ライター持ってない?」困った顔で言った。
私たちはロウソクの火を挟んで座り、花火を近づけた。
湿気っているのか中々火がつかない。
一本、二本、三本、花火を壊しながら、波間を縫うように、「自殺しにきたんでしょ」少女は私がここに来た理由を当てて見せた。




