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夜が明けたら君は①

 チャイムと同時に駆け出した。

 財布とスマホと定期券と、ナイフとロープとライターと、「さよなら」で括った手紙を入れた鞄を持って、帰り道とは反対方向の電車に乗る。

 揺れる電車が、藍色の空に押しつぶされそうな夕陽を追い抜いていく。

 生きなければいけない朝は、もはや過去にしかない。

 片道分の切符を手に、私は、わたしは、行けるところまで行くの。

 うとうとしながら夢を見た。

 足元が水に濡れて、嵩が増え、電車が海の中へと沈んでいく夢だ。

 息苦しい。

 顔が紅潮して、涙が泡のように溶けていく。

 鞄の中身がバラバラに飛び散って、私だけが沈んでいく。

 夢から覚めると、世界は夜だった。

 車窓からは真っ暗な海が見えた。

 何かに呼ばれるように、導かれるように、名前も知らない駅に降りて、少しだけワクワクしながら、海を目指した。

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