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未来売買
古びた小さな本屋にやってきた。
狭くて埃臭い棚を抜け、居眠りをしている店主を起こす。
——本当にこんな場所で、こんな人が?
「僕の未来を買い取ってください」
眠そうな目を擦り、ずれた丸眼鏡を直した店主は「査定するから待ってな」言って奥へと消えた。
手持ち無沙汰にざっと棚を物色する。どれもこれも古そうな本ばかりで、興味の一つもそそられない。
数分すると、紙を一枚持った店主が戻ってきた。
「あんたいい人生だったよ。査定額は三千万だ」
「さんぜんまん……」
「注意事項はこれに書いてある。余命は一年だ。それと、振り込みは済んでるから確認しなさい」
「ありがとうございます」
僕は査定用紙をもらって頭を下げた。
「ではよい余生を」
「はい、また来ます」




