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死語
また一つ言葉が亡くなった。
別に私が殺したわけではない。どちらかと言えば、勝手に死んでしまうのだ。
人間のように、生まれてから死ぬまでのコントラストがあるわけでもない。
誕生を祝われることも、まして終わりを看取られることもない。
死ぬときは、そうであることにすら気付かれることなく、ただ忘れ去られて、それまでである。
そうしてまた死んだあとは、生物のように環境の中を巡るわけでもない。
私は傍らに亡くなっていた言葉を埋葬した。
いつかまた芽吹くかもしれない。新たな命へと変わるかもしれない。
……そんなこと、あるはずもないのに。
私は立ち上がって次の言葉を探しに出た。
ただ一つあるとするならば、誰かがこの墓を掘り起こすことだ。
分かりやすいように名前を刻んでおいた。
死語、と。




