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砂漠の水やり
砂漠に苗を植えて水を上げていた。
緑地活動の一種で、気候変動による砂漠化を食い止めようとしているのだ。
後ろを振り返ってみると、昨日植えた苗はもう枯れていた。
俺は持っていた水を飲み干した。
世の中には意味のない物事というのがある。
例えば馬の耳に念仏。豚に真珠、猫に小判、貧者に金、富者に安寧。
砂漠に苗を植える。これもまさしく無意味な行為だ。どうせ明日には枯れている。
金がもらえるから仕方がなくやっているけれど、もう辞めてしまおうか。
苗は植えずに捨て、水は自分で飲み、時間を潰して帰る。みんなやっていることだ。
か細く伸びる幹に手を伸ばす。すでに乾き始めている地面が盛り上がって、やっぱりやめた。
残りの水を全部注いで来た道を戻る。
結局、俺が水を飲むということと同じなのだ。




