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亡国の友
前王たちの負の遺産はすぐにやってきた。
骸晶に覆われた獣たちの群れは、村々を蹂躙し、王都にまでその牙を届かせる。
「王よ。民を連れて逃げて下さい」
「あなたも私が護る民の一人ですよ」
「私は民であるより、あなたを護る騎士でいたいのです」
違う。民である前に、彼女は私の友なのだ。
けれど私は王であり、彼女は騎士であった。
獣たちはただの一匹たりとも、民を連れた私を追ってはこなかった。
しばらくの後、王都には骸晶の獣がいなくなっていた。
断罪の剣を持つとはそういうことだった。
崩れ果てた王城に、骸晶に覆われた彼女はいた。
彼女は私を見遣ると剣を抜いた。
私も剣を抜き、彼女の心臓に刃を突き立てる。
「ありがとうございます」
微笑む彼女は、ガラガラと音を立てて崩れていく。
残ったモノは。一振りの剣と、断ち切ることのできぬ罪一つ。
宿命の剣を持つとは、そういうことだった。




