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看板の向かう先
俺は思わず二度見した。
木の棒と板でできたシンプルな看板を頭に刺した男が、俺の横を通りすぎて行く。
看板には「こちら↓」と書かれていた。
……何が?
道行く人は誰も気に留めない。
おれがおかしくなったのだろうか?
いったい看板の先に何があるというのか。
どうにも気になって仕方がない。
俺は男の背を追った。
道を曲がり、信号に止まり、コンビニに入ってまた歩く。
このままでは会社に遅れてしまう。
「あの」
俺は男の肩を掴んだ。振り向く男はニヤリと笑って忽然と姿を消した。
頭の天辺に小さな違和感が宿る。
風邪を引いたみたいに眩暈がした。
電信柱に手をついて、立ち眩みが収まって。
——行かなきゃ。
俺は歩き出す。
誰かに背を追われながら。




