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誰が為の
「お前は方向音痴だろう。それに、戦う力もない」
村長はそうやって私を村の中に閉じ込めようとしていた。
村の外は骸晶の獣や魔女狩り、野盗なんかがうじゃうじゃしているんだって。
でも私は知っている。
外の世界は広くて不思議でわくわくするものもたくさんあるんだって。
遠い国の地図と女王様の詩と、他にもたくさん、教えてもらったんだもの。
朝起きると、隣の村が骸晶の獣に襲われて無くなったらしいって聞いた。
村人はほとんど殺されちゃったって。
次はここだってみんな暗い顔してる。
今だ!
私は村を飛び出した。
誰も私を追ってこない。誰も私に気付いていない。みんな自分のことで精一杯だから。
そうこうしている内に山をひとつ越えた。
地平の先を臨み、触れたことのない風が喉をくすぐる。
よしよし、さーてさて、まずはどこに行こうか。
私は地図とにらめっこ。
……あれ、今どこ?




