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行き倒れ
きゅーっとお腹が鳴った。
道で倒れたら、邪魔だと言って蹴飛ばされるから、路地まで行ってへたり込む。
すぐそばでは果物が露天販売されていた。
まっかっかに輝くりんごを見つけて、またきゅーっとお腹が鳴った。
地面に落ちたりんごがひとつ、わたしの方に転がった。
ごくりとのどが鳴る。
わたしはりんごを手に取って、路地から出た。
「あの、落ちてました」
露店のおじさんにりんごを差し出す。
おじさんはじろりとわたしを見ると、りんごを受け取るより先に拳を飛ばしてきた。
「落ちてた? 盗んだの間違いだろクソガキ」
目がチカチカする。
景色がぼやけて歪む。
頭上から舌打ちが聞こえてきた。
ああ、ここは道の真ん中だ。
早く隅っこにいかないと。
でも力が入らない。
きゅーっとお腹が鳴った。
——お母さん。幸せは、いつ、わたしのお腹をいっぱいにしてくれますか。




