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夢は現実を誇張する
小さなボートで大きな河に漕ぎ出した。
川幅が広すぎて向こう岸は見えなかったが、幸いなことに流れは緩やかで、渡れるだろうと楽観していた。
こちら岸の見えなくなるくらいまで進んだ。
地球は丸い。だから水平線の先は臨めない。それは分かる。
目の前には巨大な渦があった。河なのにである。そしてすでに、俺は渦中にいた。
そうか。俺が漕ぎ出したのは海だったのか!
合点がいって、中心へと吸い込まれた。
落ちる。落ちる。落ちていく——。
渦に呑まれ、目が覚めたら部屋が水浸しになっていた。
スマホからは災害アラートが鳴り響いている。
はあ、会社に連絡しないと。




