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いまひとたびの④
初詣に行こうと誘われて、江の島にやってきた。
ロープウェイはやっていなくて、坂やら階段やら人混みやらで口数が減ってしまう。
島の裏側の商店を抜けて階段を下り、波打ち際に迫った遊歩道を歩いていた。
ゆっくり傾いていく太陽、遠くにみとめる数人の釣り人、波の音。
段々に置かれた岩間をとんとんとん、と軽やかに渡る。
私は先行くその背を追うのでいっぱいいっぱいだった。
ふと彼が振り返る。差しのべられた手を取った。
抱き寄せられるように、一足飛んで彼の隣へ下り立つ。
握られた手はそのままに、沈みかけた夕陽を横目に、彼の眼差しは一心に。
「付き合ってください」
「よろしくお願いします」
なんて仰々しく頭を下げて。
来た道を戻って行く。
繋いだ手を恋人のそれにして。




