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高揚あるいは統合
村は男の言っていた通り魔女の住処であった。
誰一人逃がすことなく、女も男も老人も子どもも殺して回り、家々の一軒一軒に火をつけていく。
火は浄化である。悪魔に魅入られ、魔女になった魂の浄化なのだ。
「俺の見込んだ通りだな」
男は恍惚とした表情を浮かべて言った。
「なあ、簡単に魔女を絶滅させる方法があるって言ったら、どうする?」
沈黙を肯定と受け取ったのか男は続ける。
「さっきみたいに、神の教えを聴かないやつは魔女だ」
私は頷いた。
「んで、いろんなとこであんたが神の声を教え説く」
「それをしてあなたに何の得が?」
「俺はよ、殺しができればいいんだ」
この世には神も悪魔も、まして魔女もいないのかもしれない。
全ては人間のやることだったのだ。
また一つ、罪に気付いてしまった。
しかし、男は男の提案を受け入れることにした。




