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否定あるいは対立
幼子は神の使いであり嘘をつかない、と信じられていた。
「あれは魔女です」
男の子は裁判官の前でそう断言した。
周囲にいるたくさんの傍聴人はどよめき、魔女と言われた母親は愕然とした表情を浮かべて涙を流す。
「被告を火刑に処す」
判決が言い渡され、母親は連行されていった。
男の子は母親から虐待を受けていた。密告をしたのも小さな仕返しのつもりだった。
母親は丸太に縛り付けられ、足元に火が焚かれた。
轡の奥から苦痛に満ちた悲鳴が漏れ出ていた。
処刑の様子を囲む民衆は笑っていた。
人の焼ける匂いが鼻腔をくすぐり、男の子はただ呆然としていた。
母親が灰になってようやく、男の子は理解した。
自身の罪と、その罪が過去にしか存在しないことを。




