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声貸し屋
学校からの帰り道にいた『声貸し屋』に興味が湧いて、自分の声を担保にして声を借りてみた。
借りれるのは知り合いのみ、本人から直接「返せ」と申し出があれば強制的に本人へと返還される。だから、クラスにいる内気で無口な女子の声を借りることにした。
授業中に「先生」とだけ発言して質問するフリをしてみたり、他の女子に聞こえるように悪口を言ってみたり、電車内で「痴漢です」と叫んでみたり。
色々やって遊んでいたある日、俺の机に「私の声を返せ」と書かれた文字を見つけた。
しまった! と思ったときにはもう遅かった。
「やっと見つけた。次は、あんたの番だから」
幾度も自分の口から聞いた彼女の声が、教室の端から聞こえてきた。
返せ! 言葉は声にならなかった。




