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勇者の剣
毎日毎日、ひっきりなしに外から人が訪れる。
腕自慢から学術研究員、どこぞの王侯貴族からスラムの浮浪者、貧富聖穢、非凡英傑凡庸下劣下賤三下を問わず、古今東西海、向こうの大陸すら越えて、あらゆる人々が、村にある勇者の剣を抜こうとやってくるのだ。
村の中央、台座に刺さったその剣を手にした者は、神のごとき力を得ると言われている。
そんなおとぎ話、あるわけないのに。
一人一日一回五分の挑戦、受け付けは日の入りから日没まで。
今日も今日とて誰一人抜くこと叶わず、とぼとぼと村を去って行く。
肩を落として斜陽を受ける背中は皆一様に哀れで、また愚かなものだった。
「よいしょっと」
皆が帰った頃合いを見計らい、僕は剣を引き抜いた。
持ち帰ってきれいに整備するのも一苦労である。
明日も早起きをして、元に戻しておかないと。




